歩いて楽しむ⑩「上杉家御用達の酒」(山形県米沢市)
気持ちのいい季節になりました。今回は新しい時代にふさわしい酒を求めて、米沢の酒蔵をご案内します。
米沢の銘酒「東光」
『東光』は、酒文化研究所が運営する「全国燗酒コンテスト」や「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」、ロンドンでおこなわれるIWC(International Wine Challenge)のSake部門など、国内外のメジャーなコンテストでたびたび入賞、品質の高さは折り紙付きです。
4月に蔵を訪ねると酒造工場は要所に最新鋭の装置を導入しており、高品質酒を生み出すのは当然と納得しました。たとえば良質な酒には、原料の米の状態に合わせて適量の水を吸わせ、目的に合わせて蒸しあげ、麹が菌糸を米の奥深くまで伸ばすように条件を整える必要があります。実現するには一つ一つの工程にそのための道具・装置と技術が要りますが、この蔵ではすべてしっかり整えられていました。
また小嶋総本店は昔ながらの酒蔵の暮らしと酒づくりを見られる、酒造資料館「東光の酒蔵」を併設しています。酒蔵の一般公開はしていない同社ですが、資料館は一年を通じて見学可能です。連休中に出かけてみてはいかがでしょうか?
圧巻はずらりと並ぶ木製の大桶
現在はステンレスやホーロータンクが多く使われています。これらは洗浄・殺菌しやすく発酵容器を清潔に保つことができます。そのため雑菌に汚染されず優良な菌を培養しやすく、昭和30年代ごろには木桶はこうしたタンクに置き換わっていきました。ただ、きれいになった酒質はおいしいけれどおもしろくないという声があり、近年は発酵容器をあえて昔ながらの木桶に戻すところが出ています。
『東光』は清酒も梅酒も極上の味わい
清酒だけでなく梅酒もありました。この梅酒も大阪の天満天神梅酒大会で、日本一になったこともある名品です。ていねいなものづくりの精神と姿勢が徹底しているメーカーは、何をつくらせても一級品に仕上げるという好例です。
お時間のある方はこの連休中に足を運んでみてはいかがでしょうか?
※記事の情報は2019年5月2日時点のものです。
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