昆虫食はおつまみになるか? 噂のスーパーフード「昆虫」で飲む!
地球の未来を救うスーパーフードとして、今熱い注目を浴びている「昆虫食」。イエノミスタイル編集部でも、この世界的なトレンドに乗り遅れてはいけない! と、昆虫に秘められた「酒のつまみ」としての可能性を探ってみることにした!
昆虫食に世界が注目
2019年の世界人口77億人、これが2030年には90億人を超えると言われています。そんな中、食料、特に動物性タンパク質の不足が大きな懸念となっています。その有望な解決策のひとつが昆虫食というわけです。
タンパク源としての昆虫の可能性は無限大
この大きな潮流を前に、我がイエノミスタイルとしても手をこまねいてわけにはいきません。家飲み目線で昆虫食を体験し「昆虫よ、お前たちは、酒のつまみとしてどうなんだ!」と問いかけてみたいと思うのです。
昆虫は世界中で食べられてきた
FAOの提言を待つまでもなく、人類は昆虫をバンバン食べてきたのです。それもそのはず、栄養学的にはほぼ完全栄養食。動物である人類が体を維持していくための栄養素がまるまる含まれているといいます。牛肉100グラムと昆虫100グラムを比べた場合、昆虫のほうがはるかに豊富な栄養を摂ることができる上、体に良いとされる不飽和脂肪酸も多く含んでいるとか。まさしく良いことづくめです!
昆虫はエビだ!? 汎甲殻類説の衝撃
昆虫とは何か? 分類学を紐解いてみましょう。昆虫は、堅い殻につつまれた複数の節で体が出来ていて、その殻の中に筋肉や内臓を納めた動物、すなわち「節足動物」に含まれます。
この節足動物の代表選手は、ボイルしておいしいロブスター、フライでよし天ぷらでよし刺身でよしの車エビ、唐揚げにしたら箸とビールがとまらない川エビ、さらには、ボイルでも焼いてもうまい毛ガニやハナサキガニも含まれます。すなわちこれらを「甲殻類」と呼びます。甲殻類、まさに美食の宝庫ではありませんか!
以前は、昆虫と甲殻類とはかなり離れた分類群とされていました。しかし、ここ数年で定説になってきているのは、甲殻類と昆虫とがまったく同じ祖先から連続的に多様化していったという説。これを「汎甲殻類説(はんこうかくるいせつ)」といい、現在では、昆虫も甲殻類も「汎甲殻類」としてひとまとめにされているのです。
すなわち、すなわちです、心を広くもち、大局的に、5億年ほどの生命史を眺むれば「昆虫とはすなわち(ほぼ)エビやカニだ!」ということになるのです! 逆に言えば、もはや「エビやカニも実は(ほぼ)昆虫だった!」と言ってしまって良いのではないのか(個人の意見です)!
食べる昆虫を買いに行こう!
ごめんくださーい。
「最近は夏休みの自由研究に昆虫食を選び、買いに来る親子もいらっしゃいます」
ほらね、世代を超えて注目されてますよ、昆虫食。
「エビやカニなどの甲殻類のアレルギーがある方は、食べないでくださいね」
とのこと。ご注意ください! しかし、このことで、先の「昆虫はエビだ(ほぼ)!」説が、計らずとも立証されたことになった?
昆虫食で飲む
コオロギパスタ揚げ
コオロギ
ところが…… 袋から皿にカラカランとこぼれ出たその姿に、一同ささーっと引き気味に……。微妙な緊張感の中、試食は進みます。さて、お味は……?
みんなの感想
コオロギ
「乾燥エビだね」
「香ばしい」
「旨味と苦みのバランスがホタルイカの干物のよう」
「脚と羽が食べにくい」
「サクサクした食感を楽しむ食べ物」
「唐辛子入りマヨネーズつけたい」
というわけで、編集部にたまたまあった、宮崎県の万能スパイス「マキシマム」をつけて食べてみましたが、今度はスパイスの塩気が強すぎてコオロギの味が消えてしまいました。んー、なかなか繊細な食べ物です。
ちなみに約一名、皿の上のコオロギを見て、恐怖のあまり人格崩壊の淵まで行ってしまったメンバーがいました……。すぐにコチラの世界に戻ってきてくれてひと安心でしたが、こういう「まんまの虫」は、まだまだ人を選ぶ食材なのは確かなようです。その逆に、以前ジビエ屋さんでセミを食べて以来、昆虫食に興味を持っていたというメンバーは、終始ニコニコ多幸感に包まれていました。昆虫食に関して今は「まだまだ過渡期」という世間の縮図が、編集部にもまた現れていたというわけです。
幼虫ミックス
皿にあけてみると、一同、意外にもビジュアル面でのショックはコオロギほどはなかったようです。昆虫への拒否感は、あの脚と羽に起因するのでしょうか?一種類ずつ食べてみることにしました。
【ミルワーム/スーパーワーム】
ゴミムシダマシという甲虫(小さなカブトムシ状の昆虫)の幼虫です。栄養も豊富で食べやすい、とか。スーパーワームのほうは、ミルワームよりも大型のゴミムシダマシの仲間の幼虫です。大きいので食べごたえもありそうです。さて、このゴミムシダマシコンビのお味は?
みんなの感想
ミルワーム/スーパーワーム
「旨味、香ばしさはあるがコオロギほどではない」
「ミルワームは小さすぎて味がわからなかった」
「スーパーワームは、旨味が強いものと、味のしないものがある」
「サクサク感あり」
「ノンフライでこれだけ脂感があるのはすごい」
「合わせるなら日本酒?」
【シルクワーム(さなぎ)】
これはみなさんお馴染み、カイコです。これだけは幼虫ではなく、さなぎです。絹を取るカイコの繭の中に入っているのがコレなんですね。養蚕の盛んな地域では、絹を取って残ったさなぎを煎ったり煮付けたりして食べる事も多かったのだとか。ささ、召し上がれ!みんなの感想
シルクワーム
「うまい!」
「香ばしい」
「これ一番好き」
「なんだか後をひく」
「サックサク!」
「ほのかな甘味がある!」
サゴワーム
サゴゾウムシという甲虫の幼虫です。この幼虫は、ボルネオなどでデンプンを取るために栽培されているサゴ椰子という木を食べているそうで、現地では定番の昆虫食材になっているようです。このサゴワーム、このパックにはひとつしか入っていませんでした。当然、ライター特権として私めが試食。噛むと、東日本では幻になってしまったスナック「カール」なみのサクサク食感。中身はなんだか滑らかで粉っぽい感じです。生だったらねっとりした食感かも。旨味はさほど感じないのですが、独特の草のような香りがしてあとをひく……が、一個しか入っていない……。あと2、3個入っていて欲しいです!
蜂の子
クロスズメバチは、長野や岐阜など日本各地の山間部で「おいしい昆虫」として昔から食べられています。産地は岐阜県中津川市付知(つけち)町。この地方でクロスズメバチのことを「へぼ」と呼ぶそうです。
みんなの感想
蜂の子(へぼ)
「とても上品」
「ほんのり甘くておいしい」
「旨味は濃厚」
「小さくて味の実感が乏しい」
「もう少し大きければなあ」
これはオレンジワインに合うのでは?という意見があり、編集部の冷蔵庫から飲みかけを出して合わせてみたところ、うーん、オレンジワインの強さに、味わいがかき消されてしまいました。やはり繊細です。ちなみに一緒に入っているゆずのピール、すごくおいしい。ほどよい酸味と上品な甘さでした。
タガメサイダー
タイワンタガメの香りは、金木犀のようだ、とも、洋梨のようだ、とも言われています。TAKEOさんのショップにある、タイワンタガメのサンプルを嗅がせていただいたのですが、ホントにびっくりしました。洋梨の香りにちょっとシトラスをまぜたような、上品で爽やかな香り。目の前にタガメがあるのに、脳内では「果物の香り」以外の認識ができませんでした。これが昆虫の体から出る匂いとは……。
みんなの感想
タガメサイダー(キンミヤ入り)
「おいしい!」
「このサワー、居酒屋で頼みたい」
「普通にどんどん飲める」
「ホントにタガメの香りなの?」(ホントです)
「このフレーバーでクラフトジンをつくるべき」
結論! 昆虫はつまみになる
今回、昆虫そのものの味が知りたくて、ほとんど味付けされていない物をえらんだのですが、一番感じるのはその旨味でした。エビやカニなどの海産物ほどではありませんが、旨味はしっかりあると思いました。あと、今回は全部乾物なので、その軽快なサクサク感は特筆しておいて良いと思います。
今回試食したどれにも共通していたことですが、旨みと同時に、かすかな「苦み」があります。でも、それが「酒のつまみ」としての重要な要素になっていると感じました。エビやカニ、ホタルイカやイワシのめざしなど、旨い酒のつまみには旨みと苦みしっかりあります。食べると旨味と苦みが同時にやってくる昆虫たちは、酒のつまみの資格は充分だと思います。
しかしながら、普段のおつまみにするには、別の意味で高いハードルが…… それはお値段です。まだまだ高い、高級食材なんですよね~。
昆虫食の近未来
今回の昆虫食パーティの参加者の中には、濃厚な「虫嫌い」のメンバーもいまして(ホントごめんなさい!)、やはり「見た目」の問題は大きいな、と思いました。そんな彼女もコオロギ揚げパスタなら、さほどの抵抗感はないようでした。それと、イモムシ状の幼虫たちよりも、コオロギの方がみんなの拒否反応が大きかったのはちょっと意外でした。脚と羽に拒否感を示す人が多いようですね。コキブリを想起させちゃうのかなあ。
今回色々教えて頂いた昆虫食通販「TAKEO」さんはコチラ!
FAOからのちょっと詳しい昆虫食メッセージはコチラで読めます。
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みんなの感想
コオロギパスタ揚げ
「ふつうにおいしい」
「まったく違和感なし」
「これ、好き」
「歯ざわり抜群」
「むしろお洒落なおつまみ」
「香ばしい」
「外国で食べるお菓子ってかんじ」