いま注目! 白麹で仕込む日本酒を飲んでみた。

日本酒造りには欠かすことのできない「麹」。これまで日本酒造りには黄麹と呼ばれる麹を使うことが定石でしたが、いま白麹で仕込んだ日本酒が注目されています。白麹仕込みの日本酒の特徴とは?

ライター:青田俊一青田俊一
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名古屋の酒類卸イズミックの青田が、いま注目のお酒の情報をバイヤー目線でお届けします!今回は日本酒界隈で新たな潮流として注目されている“白麹”仕込みの商品をご紹介します。

白麹で仕込む日本酒とは?

日本の発酵文化には欠かすことのできないのが「麹」。以前、「麹のスピリッツ」の記事でも取り上げましたが、日本の酒造りを語る上で、避けては通ることのできない存在です。

“麹”にはいくつかの種類があり、古くから味噌、醤油などの製造には“黄麹”と呼ばれる麹菌が使われてきました。同様に日本酒、焼酎のようなお酒の製造にもこの“黄麹”が使われてきました。

と、ここで焼酎ラバーズはお気づきかもしれませんが、現在“黄麹”はあまり焼酎には使われておりません。では何が使われているかと言うと、答えは“黒麹”です。よく焼酎の銘柄で黒○○というラベルを見かけると思いますが、これがまさに“黒麹”を使った焼酎ということになります。

“黒麹”はもともと泡盛に使われていた麹菌です。“黒麹”は“黄麹”と比べ、大量のクエン酸を生成するのが特徴です。このクエン酸が醪を腐らせる雑菌の増殖を防ぐので、醪の腐敗リスクが高い温暖な気候の九州においても安全な発酵が可能になるわけです。この“黒麹”の出現によって、焼酎造りの主役は“黄麹”から”黒麹”に移ることになります。

で、本題の“白麹”とは何者かと言うと、この黒麹の突然変異種になります。黒麹の仕込みは作り手の衣服などが黒く汚れてしまうという欠点があるのですが、この“白麹”ではそういったことがなく造りやすいという理由で広く使われるようになりました。以前に鹿児島の焼酎蔵で黒麹の仕込みを体験したことがありますが、鼻の中が本当に黒ずんだ記憶があるので、“白麹”のありがたみがよく分かります。

そんな“白麹”ですが、最近は日本酒の仕込みにも使われることが増えています。白麹は先述のとおり黒麹の突然変異種ですので、同様にクエン酸を多く生成します。クエン酸は柑橘類や梅に多く含まれる物質。そんなクエン酸の特徴は日本酒の味わいにも影響し、柑橘のような爽やかな酸味の独特なフレーバーをもたらします。そんな味わいに魅了され、“白麹”で仕込む蔵元が密かに増えてきているのです。
 
千代菊 Life
で、今回ご紹介するのは岐阜県の蔵元、千代菊の「Life」。Lifeと聞くと、世代的にオザケンのセカンドアルバムを連想してしまいますが、オザケンのようにラベルデザインもポップです。関係性はないと思いますが。とまあ、おじさんの戯言はさておき、お楽しみの試飲タイムといきましょう。 

白麹仕込みの日本酒の味わいは?

千代菊 Life
グラスに注ぐと一見は白ワイン、薄いイエローの色合いです。香りは爽やかな柑橘系の香りに、ほんのり甘い香りが混ざります。アタックはほんのり甘く、そのあとにグレープフルーツのような酸味を感じます。余韻はまるでソーヴィニヨンブランのよう。味わいも今までの日本酒とは全く異なり、心地の良い酸味が特徴的です。

この特徴的な甘酸っぱさは白麹由来のクエン酸によるもの。合わせるならイタリアンですね。特にトマトソースとの相性は抜群だと思います。あと個人的には揚げ物です。この独特の酸味のおかげで揚げ物もさっぱりいただけると思います。日本酒なのに白ワインのように合わせることができるのが、なんとも優秀です。

食中酒としても優秀なこちら、お値段もお手頃ですので家飲みでデイリーで楽しめるのも嬉しいところ。今までの概念を打ち破る新しい日本酒の世界、ぜひ家飲みでお楽しみください。
 

千代菊 Life【商品概要】

  • 産地:岐阜県
  • アルコール度数:15%
  • 原材料:米(岐阜県海津産ハツシモ)、米麹
  • 精米歩合:65%
  • 容器 / 容量:720ml / 瓶
  • 参考小売価格:1,380円(税別)
  • 製造元:千代菊

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※記事の情報は2019年9月17日時点のものです。

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