シティ・オブ・ロンドン・ディスティラリー

ロンドンのジン巡りの3回目はシティ・オブ・ロンドン・ディスティラリーです。地下にある蒸留所にバーを併設していて、美しい蒸留器を眺めながらジンを嗜むことができる人気スポットをご紹介します。

メインビジュアル:シティ・オブ・ロンドン・ディスティラリー

バー併設の蒸溜所

ロンドンの中心部、金融街として知られるシティは、古代ローマ時代からのロンドン発祥の地です。古い建物が多く残るこの地区に2012年に誕生したのが、シティ・オブ・ロンドン・ディスティラリーです。地下一階の蒸溜所は併設しているバーも人気です。最近は日本でもビールを醸造しているパブが増えていますが、そのジン版ですね。  

バス停から地図を頼りに歩いていくと蒸溜所はすぐにみつかりました。一見ふつうのパブに見えますが、階段を降りていくと思ったよりも広いバーが現れ、奥に蒸溜釜が並んでいました。
蒸留所に併設されているバー
狭い階段を降りるとバーが思ったよりも広くてびっくり
バーの奥の蒸留器
バーの奥にはガラス越しに蒸溜器が見える

毎日開催ジンセミナー

この蒸溜所では毎日、1時間ほどの有料(3500円くらい)のジンセミナーを開催しています。ホームページから申し込めるので、ロンドンのお出かけの際には早めに予約することをおすすめします。  

バーの奥、蒸溜室の隣にある小部屋がセミナールームです。8人掛けのテーブルが2卓あり、私が到着した時にはすでに参加者は揃っていました。

セミナーでは最初に自慢のジントニックが振る舞われます。急いでやってきたのでこれはうれしかったです。ウエルカムドリンクの一杯をゴクリ。ふぅーっと力が抜けリラックスします。

若い男性の講師は、ジントニックをすすめながら、どこから来たのかと参加者に尋ねていきます。ブラジル、ドイツ、ベルギーなどさまざまな答えが戻り、外国人観光客が多く参加しているのだとわかりました。
ジントニック
最初のジントニックがとてもおいしい
トニックウォーター
ここで使っていたのはこのトニックウォーター。ロンドンではトニックウォーターの種類が豊富で、ジンの銘柄だけでなくどのトニックを使うか聞くバーもある

セミナーは説明・試飲・見学

セミナーは10分ほどジンの歴史と製法についてレクチャーがあり、テイスティングに進み、最後に蒸溜室の見学という内容です。

レクチャーは早口の英語で写真や図も使いません。早すぎて半分も聞き取れず、随所でジョークを飛ばす参加者たちにまったくついていけません。とはいうものの内容はジンの基本的なことなので、英語が不得意でもジンのことを少し知っていれば聞き取れる数少ない単語から、大体何の話をしているのか見当がつきます。
早口すぎるイケメン講師さん
早口すぎるイケメン講師さん。5分間くらいに飛ばしに飛ばしてくれました
ほかの参加者
ほかの参加者は早い英語にもしっかりついていっていたよう。ネイティブではない人も多いはずなんですけど、この差は何といつも思います
あらかた話し終えると、講師の彼はジンの基本的なことを参加者に質問してきました。「ジンにはどんなボタニカルが使われているかご存じですか?」とか「ロンドンでつくられていないとロンドン・ドライジンとは呼べないでしょうか?」という、少しジンを知っていればわかる簡単な質問です。ですが「ジュニパーベリーは知っているけれど、ほかのボタニカル?……」とほとんどの参加者は答えられません。日本でも酒蔵を見学して蔵の方から日本酒のことを聞かれても、なかなか答えられないのと同じですね。

テイスティングは4種類

当然ですがテイスティングはすべて自社の商品です。最初にスタンダードなジンを試し、次にジュニパーベリーを強調したタイプと比較します。3つ目は甘味を加えたトム・ジン、最後にスローベリーを漬け込んだスロージンが出ました。スロージンは家庭でつくられていたもので、日本の梅酒のようなものです。このほか独自のボタニカルを使った製品をいくつか試し、参加者が感想を述べ合いました。
試飲サンプル
試飲サンプルはプレイスマットにきちんと置かれて提供される
シティ・オブ・ロンドン・ディスティラリーのスタンダード
シティ・オブ・ロンドン・ディスティラリーのスタンダード
こちらはジュニパーベリーを強くしたタイプ
こちらはジュニパーベリーを強くしたタイプ
おまけでこんなジンも試飲させてもらえました
おまけでこんなジンも試飲させてもらえました

蒸溜室ではボタニカルを投入

続いて蒸溜室で蒸溜釜と、ボタニカルを投入する様子を見学します。ピカピカに磨かれた蒸溜釜は本当に小さく、胴部分の高さは2mほどです。地下なので蒸溜の排熱はどのように処理されるのだろうとか、日本では消防の許可は出ないだろうとか、この規模では割高になるのは仕方がない、などと考えつつ見ました。日本でもこんなバーができるといいのにとつくづく思います。
蒸溜器が並ぶ姿
欧州の蒸溜器が並ぶ姿はいつ見ても美しい
蒸溜釜にボタニカルを投入しニュートラルスピリッツに浸漬する
蒸溜釜にボタニカルを投入しニュートラルスピリッツに浸漬する

  

『さけ通信』は「元気に飲む! 愉快に遊ぶ酒マガジン」です。お酒が大好きなあなたに、酒のレパートリーを広げる遊び方、ホームパーティを盛りあげるひと工夫、出かけたくなる酒スポット、体にやさしいお酒との付き合い方などをお伝えしていきます。発行するのは酒文化研究所(1991年創業)。ハッピーなお酒のあり方を発信し続ける、独立の民間の酒専門の研究所です。

さけ通信ロゴ
  • 1現在のページ