西村まどかの目指せ!唎酒師④ 日本酒に詳しいだけじゃダメなんです!
こんにちは、日本酒が大好きな西村まどかです。いま、日本酒のソムリエ「唎酒師」の合格を目指して猛勉強中です。ときどき進み具合をアップするので応援してください!
日本酒を通じて文化を学ぶ唎酒師
最初に思っていたよりも学びの幅が広く、深いことに驚いています。そして、大好きな日本酒から、化学、生物、農業、地理、栄養、歴史、芸能・芸術、経済、法律など本当に多くを学べることがわかってきました。唎酒師へのチャレンジは人生に豊かにしてくれる、とても有意義な機会になると実感しています。
まどかの学び① サービスや売り方も学ぶ唎酒師
1時間目(90分):真のプロフェッショナルが行うべき「もてなし」
2時間目(125分):日本酒の基礎知識(講義) 自主トレーニング(70分)(香材、水溶液など教材で味覚の把握、比較)&休憩
3時間目(115分):日本酒の基礎知識(テイスティング)
自主トレーニング(15分):サンプルの温度違い比較&休憩
4時間目(65分):日本酒サービスの基礎知識
5時間目(40分):日本酒のセールスプロモーション企画
唎酒師はおいしく日本酒を楽しんでもらうために、おもてなしのプロとしての知識や技術が求められるのです。このセミナーを受講するまで、日本酒に詳しくなれば唎酒師になれると思っていましたが、それではまったく足りません。カリキュラムも3分の1はサービスを学ぶ時間なのです。
まどかの学び② 生酛と山廃がわかりました!
さて、この日のセミナーでようやくわかったことのひとつは「生酛」と「山廃」です。商品のラベルでもよく見かけるのですけれど、説明を聞いても何が違うのかよくわからなくて難問でした。たぶんこれまでに酵母や麹の働きを一から勉強してきたので、セミナーを聞いてわかったのだと思います。
日本酒では発酵をスムーズに進めるために、元気な酵母(お米をお酒にしてくれる微生物たち)がたくさん必要です。それで最初に酵母をどんどん繁殖させる「酒母」をつくるのですが、その時に乳酸菌が活躍します。ヨーグルトに入っている、腸内環境を整えるとか、免疫力を高めるとかいう、あれです。
米麹がつくる糖分はごちそうです。いろいろな微生物が飛び込んで来て、どんどん腐らせようとします。ところがこうした菌のほとんどは乳酸が苦手で、乳酸菌が元気だと繁殖できません。一方、酒づくりの主役で、アルコールや吟醸香をつくり出す酵母は乳酸があってもぜんぜん平気なのです。そう、乳酸菌が頑張ってくれると、酵母は悪い菌に邪魔されることなく元気に育つのです。
だから、酒母づくりのポイントは乳酸菌と酵母が活躍する環境をつくってあげられるかどうかなのです。昔の酒づくり職人たちは経験から、蒸した米と米麹を擂り潰すと(乳酸菌が活動して乳酸を出し)酵母が元気になることを探り出し、「生酛」という酒母のつくり方にたどり着きます。
ですが、桶に山のように盛り上げられた米と米麹を櫂棒で擂り潰す「山卸(やまおろし)」という作業は、重労働で、夜中にも作業しなければならず職人たちは大変でした。(ふぅ~、ようやく説明できた。みんなにわかるように書くことは最強の復習と実感しました)
「山廃」の廃が「廃止」の廃だなんてびっくりですよね。手間暇をかけた製法のようにラベルに書いてあるのに省力化って。でも、ただでさえ時間のかかる日本酒づくりで、生酛や山廃の酒は特に手間暇をかけていることは確かです。少々高いのは当たり前、しっかり味わって大切に飲みたいと思いました。
まどかの学び③ 日本酒は旨味がとってもすごい
テーブルにテイスティング用の試飲サンプルが5つ用意されていました。甘味、酸味、苦味、旨味、アルコールです。甘味、酸味、苦味、アルコールは皆さんもイメージできると思いますが、旨味単体の味サンプルは想像しにくいですよね。この正体はアミノ酸とグルタミン酸の水溶液です。わかりやすく言うと旨味調味料を水で溶いたものなのですが、これがとても参考になりました。
料理のコクは旨味、出汁がポイントです。日本酒は旨味が豊富で、だからいろいろな料理と合わせやすく、料理にも隠し味で使われるのだと思います。ちなみに日本酒には基本の五味(甘味・酸味・塩味・苦味・旨味)のうち塩味だけないそうです。そう聞いて、だからこそ塩辛いアテ達があんなに合うんだなぁと納得しました!
まどかの学び④ 料理と酒の相性は「みんな違ってみんないい」なのだ!
香り高い薫酒(くんしゅ)は羊羹の甘さと寄り添ってくれます。フレッシュな爽酒(そうしゅ)は甘さをスッキリとさせます。滑らかな味わいの醇酒(じゅんしゅ)は甘味とコクのある同系のマリアージュ。熟成して濃厚な味わいの熟酒は羊羹と同じくらいどっしりとしている。何を重視するかで評価が変わるのです。まさに、みんな違ってみんないい。どれが正解とかではなくて、自分の好きを探すのが本当に楽しいなと思いました!
日本酒は辛口ですと出されたものが自分には甘く感じるなんていうこともよくあります。これから人におすすめする立場になったときには、そういうことも理解しておもてなししたいと思います。
まどかの学び⑤ 日本酒を体験したくなるおもてなし
ビギナー層にも興味を持ってもらえる、"最初の一歩"を踏み出すきっかけをつくることが何よりも大切。そのとおりです。私の友達には、日本酒は味の違いがわからない、そもそも注文の仕方からわからない、という子がとっても多いのですから。
だから「日本酒の4タイプ(薫酒、爽酒、醇酒、熟酒)」の表はとてもいいと思います。日本酒の品揃えが豊富な居酒屋さんには、よく4タイプのチャートがありますよね。
また、講義にあったように、季節や行事ごとに楽しめるのは日本酒ならではだと思いました。お正月、お花見、父の日、納涼祭り、秋の行楽、お歳暮、忘年会など、年中行事が豊富な日本。食材にも旬があるように、夏には冷酒、冬には燗酒と飲み方もさまざまに楽しめます。季節商品も豊富でボトルの色も季節に合わせたものを見かけます。
一期一会。
日本酒に限らず言えることですけれど……。
そんなことを考えながら、飲んだり食べたりすると、今まで以上に楽しく、おいしく味わえそうな予感がします。日本酒の魅力をまたひとつ体感し、充実した一日になりました。
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※記事の情報は2020年7月27日時点のものです。
▼参考サイト
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日本酒のソムリエ唎酒師
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