ロックなお祖母ちゃんの旅物語をポートワインとともに【10月の家飲みショートフィルム】
家飲みのおともにショートフィルムはいかが? 10月のイチオシは、真っ赤な革ジャンが似合うお祖母ちゃんの含蓄あるセリフが心に刺さる作品。人類史上最も長生きした女性が愛したポートワイン&チョコレートとともにどうぞ。
15分といえば、ちょうど1杯のドリンクをゆっくり飲むのにかかる時間。気持ちがオンからオフに切り替わる家飲みのひととき、好きなお酒を用意して、スナック感覚でショートフィルムを楽しんでみませんか?
ショートフィルムが無料で楽しめるオンライン映画館「Brillia SHORTSHORTS THEATER ONLINE(ブリリア ショートショートシアター オンライン)」では、週の真ん中の水曜日に世界のショートフィルムを1作品ずつ配信。
ここでは毎月配信される4-5作品の中から、特に家飲みにぴったりの1作品を「Brillia SHORTSHORTS THEATER ONLINE」編集長の大竹悠介さんにセレクトしていただき、イエノミスタイル編集部員が実際にその作品を観ながら家飲みしてみた感想をご紹介します。
《10月のイチオシ!家飲み作品》
『祖父とのお別れ/Between Mournings』(10/14配信)
〇上映時間 :16分54秒
〇配信期間:2020/10/14~2021/1/13
監督プロフィール:フランスの俳優兼映画プロデューサーで、パリで行われる「48h Film Project」の主催者でもある。2012年から映画監督に転向し、「48h Film Project」に参加した。『祖父とのお別れ』は「48h Film Project」で賞を獲得し、多数の映画祭に選出された。
【あらすじ】
美しい田舎の風景の中を60年代風の車が走りぬける。運転席の女性と弟、そして祖母が祖父の遺灰をまくために始めた旅は、なにやら滑稽な展開に。大切なのは悼むこと? それとも彼女たちと祖父との関係?
いやー、たった17分の中に笑いあり、学びあり、ホロリあり、今回もかなり見応えがありました。
死後3年も経ってお祖父ちゃんの遺灰をどこにまくかで口論になる孫たちに対して、夫の死の哀しみとすでに折り合いをつけている風のお祖母ちゃん。
死別に限らず、大切な人との別れを経験したときって、「もっとこうしてあげればよかった」「あの時、ああしていればよかった」という後悔はつきものですが、このお祖母ちゃんの場合はそういった後悔の念よりも、夫の最期を自分の納得のいくかたちで看取ることができたという思いの方が大きいようです。
大切なのは、「今」をともにする他者と、どれだけ深く誠実に関わることができるのか。お祖母ちゃんは、常にそのことを大事にしながら生きてきたのでしょう。
自分はどうだろう? 観終わったあと我が身を振り返らされる作品でした。
この作品のおとも酒
ジャンヌ・カルマンさんをご存知でしょうか。人類史上最も長生きしたフランス人女性で、ギネス世界記録にも認定されています。
画家のゴッホにも会ったことのあるジャンヌさんは、100歳まで自転車を軽やかに乗りこなし、1997年に122歳で大往生を遂げたのですが、そんな彼女の大好物だったのがポートワインとチョコレート。最期まで、毎日グラス1杯のポートワインと、1週間に1kg(!)のチョコを嗜んでいたそうなんです。ジャンヌさん、やるなー!
私が選んだポートワインは黒ブドウを使った、フレッシュな果実味が味わえる甘口タイプ。チョコレートは、近所のコンビニやスーパーでも買える「meiji THE Chocolate」シリーズからチョイスしました。
▼ポートワインについてはこちら!
《その他の10月配信作品》
『Hello, Again/ハロー、アゲイン』(10/7配信)
〇上映時間:11分34秒
〇配信期間:2020/10/7~2021/1/6
監督プロフィール:これまでに4本のショートフィルムを制作。デビュー作『Unspoken』は48時間コンペティションのために作られ、最優秀作品賞、最優秀監督賞、ベストアクトレス賞を受賞。さらに2014年9月にハリウッドで開催されたDirectors Guild of Americaでも上映された。3作品目となる本作は2015年のBAFTA(英国アカデミーショー)で最終候補に選ばれたほか、7つの映画祭に入選、コルチェスター映画祭のEast Anglian Shorts Showcaseでは最優秀作品賞を受賞した。2015年のオースティン映画祭でプレミア上映された4作品目『Runaway』は、最近オンライン上でも公開され、Vimeo Staff Pickに選ばれた。
【あらすじ】
母親の葬儀の翌日、一睡も出来ずに朝を迎えたオーエンは、父親を避け一人で母親の墓参りをすることにした。ちょっとした勘違いから、亡くなった父親の墓を訪れていたマウラという女性と知り合う。2人は失ってしまった愛する人とつながる方法を探そうとしていた。
『The Last Will/最後の望み』(10/21配信)
〇上映時間:20分40秒
〇配信期間:2020/10/21~2021/1/20
監督プロフィール:1986年にドイツのボンで生まれる。演劇の演出やアシスタントディレクターの経験を積みながら、長編映画”Rolltreppe abwaerts(2006)”を初監督してドイツの映画館で人気を博す。2007年にはバーデン=ヴュルテンベルク映画学校の監督クラスで学び始め、ショートフィルム監督として数々の賞を受賞している。
【あらすじ】
生まれて初めて父に会いに来た一人の男。父はかつて自分の弟を殺し、精神病院に入っていた。
『A Dog's Life/犬の生活』(10/28配信)
〇上映時間:8分20秒
〇配信期間:2020/10/28~2021/1/27
監督プロフィール:ベルギーのヘント在住のイラストレーター・アニメーター。アニメーションのショートフィルム”A Dog's Life(2014)”の監督を務める。
【あらすじ】
一人暮らしの女性が犬を飼っている。朝女性が家を出ると、犬は飼い主が戻ってくるまでの間、時間を持て余して過ごしているのだ。
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今回ご紹介した各作品は「Brillia SHORTSHORTS THEATER ONLINE」で配信予定です。
※記事の情報は2020年10月16日時点のものです。
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BSSTO編集長・大竹悠介さん
洋画に出てくる老人たちは、日本のお年寄りのような「年寄り」感を感じさせないことが多い気がします。歳をとって身体は老いてはいるのだけれども、いい歳のとり方をしているというか。「老い」が「衰退」ではなく「円熟」としてポジティブにとらえられます。
本作に登場するのはお祖母ちゃんと孫ふたり。孫は兄妹でしょうか、従兄妹でしょうか、ふたりともいい大人です。となるとお祖母ちゃんは80代と見受けますが、颯爽としていて心は若々しい。革ジャンを着て古いアメ車に乗る姿が板についております。
お祖父ちゃんの遺灰をまくためのプチロードムービー。計画通り進まず孫たちは右往左往しますが、お祖母ちゃんがビシッと道を指し示します。う~む、カッコいい。このお祖母ちゃんには、若い人が知らない、カッコいいお酒のたしなみもあるんだろうなぁと想像しました。