日本で3番目の国際品種「山幸(やまさち)」《ブドウ品種のお話③》
ソムリエがブドウ品種の魅力を紐解きます。今回は日本で3番目の国際品種として2020年12月に登録されたばかりの品種「山幸(やまさち)」についてご紹介!
ブドウ品種をソムリエがわかりやすく解説
第3回目は赤ワイン用ブドウ品種「山幸」をご紹介します。
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日本で3番目の国際品種「山幸」
日本の固有品種がOIVに登録されるのは甲州、マスカット・ベーリーAに次いで3番目。で、この国際品種として登録されるとどうなるかと言いますと、EUでの販売の際にラベルに品種名を記載することができるようになるというもの。
EU域外で生産されたワインのラベルに品種名を記載する場合は、その生産国のブドウ品種の表示に関する規則に従っており、かつこのOIVなどの国際機関のリストに記載されていることが要件となります。
これによって今後の世界的な広がりが期待されることから、いま注目の品種となっているというわけです。
赤ワイン用ブドウ品種「山幸」の特徴
皆さまご存じのとおり北海道の冬は寒いです。それはブドウの生育にとっては適しているとは言い難く、むしろ過酷な環境とも言えます。そんな環境に耐えうる品種として開発されたのがこの「山幸」になります。
開発に携わったのは北海道の池田町にある十勝ワインというワイナリー。十勝ワインは日本初の自治体が運営するワイナリーで、池田町の農業振興のために設立されました。で、その農業振興における課題がまさにこの寒冷地に適したブドウの栽培方法と独自品種の開発でした。その結果として生まれたのがこの「山幸」です。
「山幸」は、フランスで育成された「セイベル13053」というブドウを基に開発された「清見(きよみ)」という固有品種に、在来種である「山ブドウ」を掛け合わせて開発されました。ワイン醸造用ブドウ品種に山ブドウを掛け合わせるという画期的な交配によって耐寒性に優れており、かつワイン用としても高品質な品種ができたというわけです。
注目の国産品種「山幸」の味わいとは?
というわけで期待に胸を膨らませ試飲タイムといきましょう。ご紹介するのは「十勝ワイン 山幸」です。
優しい果実味の中に山ブドウの野性味が同居する味わいは、まさにジビエにぴったりです。とはいえ家飲みでジビエを日常的に食される方はほとんどいないと思いますので、おすすめするなら個人的には焼鳥、とりわけレバーがおすすめかと。たれでも塩でもどちらも可です。
また独特の酸味が黒酢を使った料理なんかにマッチしそうなので、餃子や小籠包と楽しむのもありかと。もちろん黒酢だれで。
続いてもうひとつご紹介。なんと十勝ワインでは山幸を使ったアイスワインもつくっているんですね。
山幸で造られる希少な極甘口ワイン「山幸アイスワイン」の味わいは?
こちらも例に漏れずなかなかのお値段ですが、味わいはいかがでしょうか。
デザートワインとして楽しむのがセオリーだと思いますが、バニラアイスにかけて贅沢な大人のデザートとして、なんてのもありではないでしょうか。
どちらも深い味わいがとても印象的でした。日本で3番目の国際品種として期待される「山幸」ですが、甲州やマスカット・ベーリーAとはまた異なる趣があり、今後が非常に楽しみな品種です。生産者の苦労が生みだしたその味わい、ぜひ一度お試しいただければと思います。
十勝ワイン 山幸【商品概要】
- 産地:北海道池田町
- 原料品種:北海道池田町産 山幸
- 容量 / 容器:720ml / 瓶
- 参考小売価格:2,611円(税抜)
- 製造元:池田町ブドウ・ブドウ酒研究所
十勝ワイン 山幸アイスワイン【商品概要】
- 産地:北海道池田町
- 原料品種:北海道池田町産 山幸
- 容量 / 容器:200ml / 瓶
- 参考小売価格:4,580円(税抜)
- 製造元:池田町ブドウ・ブドウ酒研究所
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