2022年はビールがブームに? 王者「アサヒスーパードライ」もフルモデルチェンジ
一昨年秋に減税されたビールは、コロナ禍での家飲みシフトも重なって家庭用での消費が好調。このタイミングで「アサヒスーパードライ」は発売36年目にして初のフルモデルチェンジに踏み切る。ビール復活の年となるのか。
キリンは既存ブランド強化
午前10時、東京・八重洲の会場で口火を切ったのはキリンビール。多くのメディアが詰めかける中、堀口社長は「ブランドと人材を磨き上げる」と基本方針を述べ、好調な「キリン一番搾り」と新ジャンルの「本麒麟」の露出をさらに高め、トライアルを促す機会づくりに全力で取り組むとした。新製品を出さず、既存の中核ブランドを磨き上げることに重点を置いた粘りの戦略である。
昨年は家庭用ビールが堅調
最大の特徴は全社とも「ビールが好調」だったことだ。飲食店での酒類消費は低迷を余儀なくされたが、家庭用ではビールがよく動いた。キリンは前年比104%、サントリーは家庭用缶ビールが126%、サッポロも99%と健闘した。発泡酒や新ジャンルなどリーズナブルなビール風の商品が登場してから「ビール」は17年連続で減少してきたが、各社家庭用の缶ビールは前年を大きく上回り復調気配が濃くなっている。
2022年目標はビール2桁増
下表は今季の目標数値だ。全社がビールは2桁増を計画しており、発泡酒と新ジャンルが前年並みの計画であるのとは対照的だ。ここ数年毎年2桁増で推移してきているRTDやアルコールテイスト(ノンアル・微アル)並みの高い目標地となっている。
新「アサヒスーパードライ」は2月下旬から順次
今や「アサヒスーパードライ」は、知名度、好感度ともたいへん高いスーパーブランドである。しかし、経済的な新ジャンルに押され、さらにハイボールや缶チューハイの成長でビール市場全体がシュリンクし、近年は数字を落としてきた。依然としてビールのナンバーワンブランドであり、2位の「キリン一番搾り」を大きく引き離してはいるが、このままじり貧を続ければ輝きを失うことは免れない。
どこかで変えなければならないならば、ビールに追い風が吹いている今が好機と見たのであろう、アサヒビールは今春、「アサヒスーパードライ」を初めてフルモデルチェンジすることを発表した。
新しくなった「アサヒスーパードライ」は2月下旬から市場に投入され、3月17日頃にはすべて切り替わる見込み。既存ユーザーだけでなく新しい「スーパードライ」を試してみたい方は多いだろう。現行タイプを自宅にキープして、新「アサヒスーパードライ」と飲み比べてみることをおすすめする。
糖質ゼロ「パーフェクトサントリービール」もリニューアル
今回のリニューアルでは中身とデザインの両方をブラッシュアップする。味わいはさらに力強い飲みごたえを実現し、糖質ゼロとは思えない仕上がりであった。デザインは「PSB(パーフェクトサントリービール)」のロゴを際立たせ、「糖質ゼロ」を端的にアピールする。
また、飲食店に強いサントリーらしく、業務用の樽生も発売する。飲食店では樽生ビールは一種類しかないことが多い。そこに糖質ゼロの樽生ビールを提案するという。糖質を嫌ってウイスキーハイボールやレモンサワーを選ぶ人は少なくないが、彼らを再びビールに引き戻すことができるかもしれない。
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