今夜、ハムエッグで呑むなら? わたしの理想の一皿はこれ!
“おつまみとしてのハムエッグ”について、とことん考える企画。5人の編集部員がハムと卵を使って、各担当酒に合う理想の一皿を追求しました。この記事を読み終わる頃には、きっとあなたもハムエッグを作りたくなること間違いなし!
おつまみとしての「ハムエッグ」を考える
ただ「ハムエッグ」と一口に言っても、ハムの切り方や卵の個数、焼き具合、盛りつけ方など、食堂ごとに千差万別。そして食べる側のほうにも、「ハムエッグはこうでなきゃ」という理想形がうっすらあるような気がします。
そんなわけで今回は、5人の編集部員が「わたしの理想のハムエッグ」について考察します。各人が自分の担当酒に合わせるなら…と思い巡らせて作ったハムエッグ、どうぞご覧ください!
わたしの理想のハムエッグ①|ビール担当Eの場合
「ハムのあるなしに関わらず、目玉焼きは黄身の美味しさを楽しみたい。だから黄身はとろりと半熟がベスト!
ハムの上に卵を乗せて焼くと、卵が滑ってしまったり、うまく乗っても卵とハムがちょうどよく焼けなかったりするので、ハムを半分に切って写真のように並べるとどっちもちょうどよく焼けます。
味付けは塩こしょうをしっかりめに。特に黒こしょうをたっぷりかけるのがポイントです。ビールがすすみます。
食べるときは、卵黄は潰して、ハム&白身をディップしながらいただきます。添え物はレンチンの蒸しキャベツにしっかりめに塩こしょうしたものを。お皿に残りがちな卵黄をしっかり受け止めてくれます。
このハムエッグとビールの組み合わせは想像通り最高でした。今回は黒こしょうを効かせましたが、お好みでクミンなど他のスパイスに代えても素敵かと。たっぷりキャベツを添えたので一皿で大満足のワンプレートおつまみになりました。
わたしの理想のハムエッグ②|ウイスキー担当Yの場合
「ウイスキーと一緒に食べるならハードボイルドのゆで卵が最高!と思ってる編集部員Yです。ウイスキーのなかでも特に、スモーキーなスコッチとの相性がいいんです。アイラとかハイランド、アイランズの、ピートが効いたウイスキーとゆで卵は、ワインとチーズ、日本酒と塩辛みたいに、運命的な出会だと思うんです。
そこで目玉焼きです。目玉焼きでウイスキーを飲むなら、何といっても超堅焼きですね。そのためにターンオーバー、つまりひっくり返して両面を焼くやり方を選択します。
今回はハムエッグです。ところでハムエッグって、食べづらくないスか? 焼けたハムって美味しいけど、ハムエッグの皿に一枚焼かれたハムが載ってても、箸とかフォークでハムをつかむと一枚ぜんぶ、くっついてきます。口でかみ切って皿に戻すのはカッコ悪いから、一度に噛んで飲み込む。すると、ハムはもうなくなっちゃって、ただのエッグになっちゃう。ナイフとフォークでうやうやしく食べるならいいけど、ハムエッグにそこまでしたくない。酒のつまみにするにはなかなか不便です。
だから私はハムを2センチ角に切ってしまいます。これ、『小さい子どもが自分でやるレシピ』みたいな本に載ってて、ウチの娘が小さな頃にやってた方法なんですね。
フライパンにバターを溶かします。なんかいま 『グラスフェッドバター』が『肉のハナマサ』で普通のバター並みの値段で売ってるので、最近それに凝ってます。ブランドに弱いので、どことなく美味しい気がしてます。
バターが溶けたら、フライパン全体に塩を振ります。これ、ロブション氏だったかな、有名なシェフが本で紹介してたやり方で、こうすると塩味が均一について美味しくなるんだとか。
卵は2個。一人分で2個焼くのは、卵が好きなので1個では足りないからです。
弱火でじっくり焼きます。これ5分くらいかかる。予想以上に長いです。白こしょうをふりかけます。
卵の片面を焼いてる時に、上に切ったハムを載せてしまいます。ちなみにハムは、安くて薄いヤツのほうがいいです。厚いとなかなか焼けないから。
卵の片面がこんがり焼けてきたらひっくり返します。
もう片面を焼く時間はお好みで。私は1分くらいかけて堅く焼きます。最後にちょっと強火にしてハムに焦げ目をつけます。これでできあがり。
皿に移したら黒こしょうを振りかけます。黄身は堅いし、ハムが切ってあるのでフォークや箸だけで、簡単につまめます。焼けた卵の味わい、少し焦げたハムの香ばしさをバターが完璧にまとめています。
飲んだウイスキーはジョニーウォーカー ブラックラベル。高価なシングルモルトでなくても、1本2000円ちょっと(成城石井が安いです)で、ピートの効いた、たいへん上等なスコッチを味わえます。ハムエッグとスコッチ、今夜も最高です」(編集部員Y)
わたしの理想のハムエッグ③|日本酒担当Hの場合
「小さい頃はハムが苦手だったので、初めてハムエッグを食べたのはたぶん高校生になってからだと思います。そのときから変わらず、私の中でハムエッグの主役は“卵”。黄身が半熟とろとろで白身のふちがカリッと焼けたハムエッグが理想です。
ハムはたまごをそっと引き立ててくれるくらいの、厚切りより薄切り派。味付けは合わせるお酒やその日の気分で変えるのが好きです。
今回は卵2個の目玉焼きと減塩ハムのハムエッグ。辛口の日本酒に合わせて柚子胡椒ソースをかけ、アスパラガスのソテーと砕いたミックスナッツをトッピングしました。
塩こしょうは下味程度でほとんど使わず、柚子胡椒ソースを塩味と辛味のポイントにしています。このソースは、柚子胡椒とオリーブオイル、醤油を混ぜて作ったもの。味はもちろん、柚子胡椒の香りも日本酒に合うと思ったんです。
調理の一番のこだわりは、それぞれの素材の食感を活かすこと。アスパラガスは軽く炒めてシャキシャキ感を残します。塩こしょうも少し振りました。
卵は、黄身が割れてしまったほうは固焼き、もうひとつが半熟になるように焼きました。
それからカリカリ食感要員として、常備おつまみのミックスナッツを『翠』の瓶の底で砕いて散らしました。
食べるときは柚子胡椒ソースをかけて、まずよく焼けたほくほくの黄身とハムを楽しんでから、形の残っている半熟の黄身を潰し、ハムやアスパラガスをそこに付けて味わいます。
途中ナッツだけつまんだり、ソースと白身だけで食べたりして最後まで変化させながら楽しむのがこのハムエッグをおいしく食べるポイントです。
狙い通り、柚子胡椒ソースの爽やかな香りやピリッとした辛味が日本酒によく合います。
ちなみに今回ハムエッグに合わせた日本酒は、ややジャケ買いですが『雪男』のカップ。
わたしの理想のハムエッグ④|ワイン担当Rの場合
「お歳暮などで贈られてくる厚めのハムが大好きなので、ハムエッグも肉々しくて食べ応えのある脂ののったハムが使われているものが理想です。加熱によって脂がじわじわとしみ出した厚切りのハムに、半熟の目玉焼きがとろっとのっかってくれたらもう最高!
ということで、今回はやや厚めのハムを選んでみました。フライパンの上でジュージューと焼かれているハムたちをながめるのもまた一興です。
また、美しく仕上げるため、黄身が真ん中から移動していかないよう、位置が安定するまで菜箸でしばらく抑えながら焼きました。
合わせるのが難しいことでおなじみのワインと卵ですが、両者の間に『甘み』があればうまく手をつないでくれるのではとひらめき、ハニーマスタードソースで味付けをしてみました。
合わせる白ワインは甘みが強いものよりも、辛口ですっきりしたもののほうが卵との相性がよいので、今回はフランス産『カステル バロン ド レスタック ボルドー』の白ワインをチョイスしました。
結果、ハニーマスタードソースのはちみつの甘さと粒マスタードのほのかな酸味、全体的に洋テイストの味付けが功を奏し、辛口の白ワインにぴったり!
卵のまろやかさとソースの甘じょっぱい味付けを、すっきりとした辛口白ワインが最後にきゅっと締めてくれることで、後味が口の中に残らず、次の一口も気持ちよくいただくことができます。粒マスタードの酸味のおかげで、卵の生臭さもまったく気になりません。驚くほどワインに合うハムエッグが完成したので、自画自賛したい気持ちです。
〈ハニーマスタードソースの作り方〉
はちみつと粒マスタードを1:1くらいの割合で混ぜ、最後にしょうゆをたらりと加えたら完成です。
それからワインには合わなかったので今回は紹介しませんでしたが、ハムエッグにはマーマレードジャムをつけても美味しいです。ハムエッグはプレーンかつ塩気のある味なので、甘いものとも意外と相性がいいんですよ」(編集部員R)
わたしの理想のハムエッグ⑤|焼酎担当Aの場合
「普段からおつまみにハムエッグをよく作って食べます。帰りが遅くなってもハムエッグの材料なら『まいばすけっと』でも手に入るので。
卵は2つ。ハムは上等なものよりもペラペラした薄いもののほうが好みです。添え物はカイワレ大根が私的にベスト。キャベツを千切りにする心の余裕がなくても、カイワレ大根ならさっと洗って根の部分をカットすればOKだし、ピリッと爽やかな辛味が慣れ親しんだハムエッグの味のアクセントになります。
卵の白身はふっくら、黄身はほっくりとねっとりの中間くらいが理想。この絶妙な加減に仕上げるために、重い鉄のフライパンを使うのが最大のポイントです。
油をひいて熱したフライパンに卵を落としたら、半分に切ったハム2枚分を黄身に重ならないようにのせます。ハムを後乗せする理由は、ハムが焦げて硬くなるのが悲しいから。ハムが箸でうまく切れないのももどかしいので、あらかじめ半分に切って乗せるスタイルに行きつきました。
最初は中火で、目玉焼きの縁が少しチリっと茶色くなるまで焼きます。
蓋をして弱火にし、2分くらい蒸し焼きに。このフライパンは蓋も重くてぴっちり密閉されるので、卵やハム自身から出た蒸気がまわっていい感じに蒸されます。
蓋をとったら、『ダイショー』の味塩こしょうを振りかけます。
ハムエッグは、岩塩や黒こしょうを挽くよりも、ちょっとチープな味塩こしょうで食べるほうが大衆食堂っぽくて好みです。ダイショーの味塩こしょうはパウダー状なので、どこを食べても味が均一になるところが気に入っています。
焼けたハムエッグを皿に移し、カイワレ大根をわんさと盛ってマヨネーズを添えたら完成です。
私は、ハムエッグには断然しょうゆ派です。今回は九州のちょっと甘めのしょうゆをかけて。これが麦焼酎の炭酸割りにレモンを搾っただけのシンプルなレモンサワーに最高に合うんだな~!
黄身の部分は狙い通り、いい感じにほっくり、ねっとりに仕上がっていました。
エッグをしばし堪能したら、今度はカイワレ大根をしょうゆのしみたハムにくるっと巻いて、マヨネーズをつけて食べる。レモンサワーを飲む…。
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ハムと卵さえあれば作れるハムエッグですが、ご覧いただいたように五者五様のスタイルや独自の哲学が見えてくるのがこの料理の面白さだと思います。さあ、あなたも今夜台所に立って、理想の一皿を追い求めてみてください!
※記事の情報は2022年9月30日時点のものです。
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