「世界酒蔵ランキング2022」が発表。1位は宮城県のあの酒蔵!
国内外の主要な清酒コンテストの入賞実績をポイント化し、酒蔵を格付けする「世界酒蔵ランキング」は、2022年の結果を発表しました。さて、栄えある5つ星を獲得したTOP10は? さらに第1位はどこの酒蔵でしょうか?
星の獲得は上位7%の狭き門
① 全国新酒鑑評会
② 全国燗酒コンテスト
③ ワイングラスでおいしい日本酒アワード
④ Kura Master
⑤ インターナショナル・ワイン・チャレンジ
⑥ 全米日本酒歓評会
⑦ ミラノ酒チャレンジ
いずれもプロの審査員がブラインドで選考する厳密かつ公明正大なコンテストです。
最高金賞を受賞すると50点、金賞は30点という具合にポイントを加算して、その年の上位50蔵が格付けされます。1位~10位は5つ星、11位~20位は4つ星……41位~50位は1つ星です。TOP50というのはコンテストに応募した669蔵のなかの上位7%ですから、相当な上位ランクです。ちなみにコンテストに出品された商品数は2,612を数えました。
10位は米澤酒造(長野県)
第10位の米澤酒造は8年前に経営者が変わり、設備を刷新して再スタート、酒のレベルアップを果たしてコンテストでアワードを次々に獲得してきました。お寄せいただいた自己紹介はこちらです。
「10位で2年連続5つ星を獲得したのは、長野県伊那市の米澤酒造です。 南信州 中川村で1907年創業、長年地元を中心に「今錦」「年輪」のブランドで親しまれてきました。
2014年に後継者不足や設備の老朽化などの理由により、同じ伊那谷にあり、“かんてんぱぱ”で知られる伊那食品工業のグループ会社となります。地域への貢献を第一として、農村の原風景を次世代に残すために今年から飯沼(いいぬま)地区の棚田の管理をグループで引き受けました。また、農家さまに協力いただいて酒米の生産を増やし、休耕田を減らす活動を進めています。
近年は国内外のコンクールへの出品をはじめ、グループ本体のラボとも協力し世界中の人々が認める美味しい日本酒を目指しています」
9位は瀬戸酒造店(神奈川県)
こんな自己紹介を寄せてくださいました。
「神奈川県の西部、小田原、箱根に近い開成町にある酒蔵です。慶応元年(1865年)創業ですが、1980年に自家醸造を休止し、2018年に再始動しました。丹沢山系と富士山系の伏流水を仕込み水に、新しい醸造所で、全量小仕込みの丁寧な酒造りを心がけています。
お酒を飲むシーンに寄り添うコンセプトの『セトイチ』を代表銘柄に、地域の酒造好適米と蔵付きの酵母で仕込んだ『酒田錦』、町の花である“あじさい”から分離した花酵母を用いた『あしがり郷』を展開しています。
伝統を守り、洗練された技術と、新しい柔軟な発想を大切に、日本酒の新たな可能性を拓くため、日々、挑戦してまいります」
第8位は南部美人(岩手県)
自己紹介はこちら。
「南部美人は1902年創業、今年120周年を迎えた岩手県二戸市にある酒蔵です。「品質一筋」の家訓を守りながら、南部杜氏の手造り技法と魂で『綺麗で美しい酒』を目指しています。
全国新酒鑑評会でも金賞を多数受賞、インターナショナル・ワイン・チャレンジSAKE部門では2017年に『チャンピオンサケ』を受賞しました。さらには、生まれたてのフレッシュなお酒をお届する新技術『スーパーフローズン』の開発など、日本酒新時代に向けた取り組みにも挑戦しています。
輸出にも積極的に取り組み、世界初のSAKEのヴィーガンの国際認定やNON GMO(ノン ジー エム オー)の国際認定など現在は世界55か国で愛飲されています。『世界中、日本酒で乾杯』を目指して、日本酒の価値を高め、日本の伝統文化の旗手として日本酒の素晴らしさを伝えてまいります」
第7位は出羽桜酒造(山形県)
自己紹介はこちら。
「出羽桜酒造は1892年に初代 仲野清次郎が分家し、山形県天童で酒蔵として創業、今年、130周年を迎えました。 創業以来、地元に根ざした品質第一の酒造りに徹し、1980年には、蔵の看板酒である『桜花吟醸酒』を発売いたしました。
当時『吟醸酒』という言葉は知る人が少なく、鑑評会用に醸造されていました。『吟醸酒の素晴らしさを多くの方に知ってほしい』の一念で発売したこの酒は、吟醸酒の普及に貢献してきたと自負しております。1997年には吟醸酒の素晴らしさを海外の方々にも知っていただきたいと考え、海外輸出をスタートしました。現在では、世界35か国以上にお楽しみいただいています。
これからも手造りで丹念に醸した高品質なお酒をお届けできるよう、蔵人、社員一同、昼夜を問わず精進してまいります」
第6位は八戸酒造(青森県)
自己紹介はこちら。
「安永4年(1775年)に創業し、代々 駒井庄三郎を襲名し、現当主で8代目になります。創業時から地元八戸でご愛飲頂いている辛口の『陸奥男山』、1998年に立ち上げたフレッシュでフルーティな『陸奥八仙』を製造しています。
原料米はすべて地元の青森県産、八戸・三戸・十和田で契約栽培していただいた『華想い』『華吹雪』『吟烏帽子』『レイメイ』で酒を醸しています。
すべての酒を鑑評会出品酒と同じ工程管理をしており、醸造用乳酸ではなく、白麹のクエン酸による高温糖化酒母が特徴です。これが酒全体を引き締め、爽やかでフレッシュな印象を与えます。
『八仙』の目指すフレッシュでフルーティな味わいのために、これからも改良・改善を繰り返し、おいしいお酒をお届けしてまいります」
第5位は平和酒造(和歌山県)
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「1928年創業。大量生産・大量消費の酒造りではなく、高品質で人生に彩りを添えるお酒を届けたい。そうした想いから4代目蔵元 山本典正は日本酒『紀土(きっど)』、リキュール『鶴梅』を立ち上げました。
同時に旧来の職人然とした酒蔵ではなく、若手社員一人一人の強みが活かされ活躍できる組織へ改革。平和酒造は平均年齢31歳と若い酒蔵ですが、社員のやる気を重視し、若手がプロジェクトリーダーなど重要な役割を担うことも。そうした風土から、当時入社2年目の社員によりクラフトビール『平和クラフト』が誕生しました。
また、日本酒人口を増やすため様々な挑戦をしています。中田英寿氏とのキットカットコラボなど著名人とのコラボレーション、音楽イベントでの日本酒の提供など、従来の日本酒のイメージを変える仕掛けを精力的に展開しています。お酒への情熱を胸に、平和酒造は挑戦し続けていきます」
第4位は渡辺酒造店(岐阜県)
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「北アルプス連峰・飛騨山脈を臨む白壁土蔵の街並みと、鮮やかな錦鯉が泳ぐ川に彩られる飛騨古川。創業152年、国の登録有形文化財に指定される蔵は、代表銘柄『蓬莱』をはじめ地元で愛され続けてきました。
弊社のモットーは『日本で一番笑顔があふれる蔵』です。『お客様に笑顔のためなら、なんでもやる!』と、アッと驚くような商品や企画を生み出してきました。ド派手なチラシとホームページはその象徴です。
ですが、酒造りは超真面目です。飛騨産の酒造好適米『飛騨ほまれ』を贅沢に使用し、伏流水で醸した酒は、国内外の鑑評会で金賞を総ナメし、2020年には世界酒蔵ランキングで第一位を獲得しました。秘訣は、24時間365日吉本新喜劇を酵母に聞かせる『お笑いパワー発酵』、そして、お客様の『ありがとう』の気持ちをお酒に伝える『ありがとうパワータンク』です。
2017年度からは社員蔵人制を導入し、宇宙戦艦ヤマトのように愛と感動をお届けする蔵元を目指しています」
第3位は超老舗、「白雪」の小西酒造(兵庫県)
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「『山は富士 酒は白雪』のキャッチフレーズで親しまれてきました小西酒造は、清酒発祥の地・伊丹で創業472年を迎えました。 清酒銘柄『白雪』は、寛永12年、1635年に小西家2代目宗宅が江戸へ酒樽を運ぶ途中、雪を頂いた富士の気高さに感動し名付けたといわれています。
伊丹は”『伊丹諸白』と『灘の生一本』(なだのきいっぽん)下り酒を生んだ銘醸地、伊丹と灘五郷”として2020年6月に日本遺産に認定されました。
いつの時代もチャレンジを続け『誰も歩いていない道を行く』を実践し、技術力・品質力の研鑽と、常にお客様に寄り添う存在でありつづけられるよう精進してまいります」
第2位は「作」「鈴鹿川」の清水清三郎商店(三重県)
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「1868年創業、2019年の150周年を機に、150プロジェクトとして社屋を新築し、酒の容量を750㎖に変更、ロゴやラベルを一新しました。
酒蔵は三重県鈴鹿市の海の近くにありますが、仕込みに使う鈴鹿山脈の伏流水は軟水で、酒は柔らかな味わいが特徴です。
四季醸造では醸造環境は一年を通じて同じだと思われるかもしれません。ですが、気候の影響は小さくなく、環境の変化に応じた酒造りが求められます。
杜氏をはじめ蔵人一同、毎日コツコツと仕事に取り組み、コンクールで評価されたり、イベントでお客様に『美味しかった』と言っていただけたりすることを励みに、これからも頑張ってまいります」
2022年の第1位は「伯楽星」「あたごのまつ」の新澤醸造店(宮城県)
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「『伯楽星』『あたごのまつ』を醸す新澤醸造店は、東日本大震災で全壊した蔵を、水質がよく水量も豊富な宮城県川崎町に移転し、大崎市に本社を残しつつ150年の歴史を重ねています。
1000円以下の『愛宕の松 別仕込本醸造』から、Kura Masterで連続プラチナ賞を受賞した35万円の『零響-Absolute0-(れいきょう アブソリュート ゼロ)』まで、香りを抑え、キレを重視しています。また、今年は酒蔵として『 IWC Sake Brewer of the year』を受賞しました。
酒造りでは、6台の精米機を駆使して、低精白の酒は扁平(へんぺい)精米に、高精白はダイヤモンド精米にするなど、商品に適した工夫を続けています。今後もコンセプトである『究極の食中酒』を追い求め、より良いものお届けできるよう、蔵人一同、精進いたします」
※記事の情報は2023年1月5日時点のものです。
『さけ通信』は「元気に飲む! 愉快に遊ぶ酒マガジン」です。お酒が大好きなあなたに、酒のレパートリーを広げる遊び方、ホームパーティを盛りあげるひと工夫、出かけたくなる酒スポット、体にやさしいお酒との付き合い方などをお伝えしていきます。発行するのは酒文化研究所(1991年創業)。ハッピーなお酒のあり方を発信し続ける、独立の民間の酒専門の研究所です。
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