2017.06.20
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暑~い夏、アウトドアで冷えた白ワインを美味しく飲む方法

暑~い夏、アウトドアで冷えた白ワインを美味しく飲む方法の写真

イタリア留学経験もあり、イタリア語講師として多数の著作がある京藤好男さん。イタリアの食文化にも造詣が深い京藤さんが在住していたヴェネツィアをはじめイタリアの美味しいものや家飲み事情について綴る連載コラム。今回は、イタリアで出会った、暑~い夏にアウトドアで冷えた白ワインを美味しく飲む方法をご紹介します。

ヴェネツィア仕込み! 夏の白ワインの楽しみ方

夏がやって来た。照りつける太陽、まとわりつく湿気、うだるような暑さ、そんな厳しい季節になると、私は無性に辛口の白ワインが欲しくなる。「軽く、フレッシュで、酸味強めの白」が私の好みだ。そして、それは屋外で飲まれなければならない。

 

暑い日は、外に出て白ワインを飲む。そんな習慣が身についたのはヴェネツィアに留学中のこと。サン・マルコ広場近くで土産物店を営むジャンニ・ヴォラーノさんは、私が講師を勤めていた日本語講座の受講生であり、またアルバイトを提供してくれる友人でもあった。当時44歳。小柄だが筋肉モリモリ、鼻が大きく、ダスティン・ホフマンにちょっと似ている。

 

「ティ・キエード・ウン・ファヴォーレ(頼みたいんだけど)」

 

と、電話がかかる。それがアルバイトの合図だ。仕入れの書類を作ったり、郵便局まで荷物を代わりに受け取りに行ったり、彼が不在のときの店番をしたり。そんな雑用めいた仕事がすむと、

 

「アンディアーモ・アッラ・スピアッジャ(浜辺へ行こう)」

 

と、私を誘うのだ。それがたいてい午後3時頃。断る間もなく、彼は自ら「ピクニック・セット」と呼ぶ、屋外で飲むための用具一式を肩にかけ、店を閉める。シャッターにこんな札を下げて。

 

「準備中、18時開店」

 

「居酒屋か」。ツッコミたくなったものだ。そうして、いつも私たちはサン・マルコの船着場から水上バスに乗り込み、リド島へ向かった。ヴェネツィア本島から15分ほど沖に出たこの島は、今では「ヴェネィア国際映画祭」の会場として有名だが、ここには海水浴ができる砂浜があり、ヴェネツィアっ子が海を楽しむためのリゾート地でもある。

 

その砂浜にシートを広げ、ジャンニが用意したワインを傾けながら、ただのんびりと、波の音に身をまかせ、暑い日の午後を過ごすのだ。こんなときに飲む白は、キリッと冷えていなければならない。そのために彼が行なっていた工夫は、「アウトドア・ワイン」のお手本として、今も私が実践している。ヴェネツィア人直伝の美味しい飲み方をお教えしよう。

 

1.ワインのボトルに濡れタオルを巻いて冷やす

冷蔵庫で冷やしただけのボトルは、当然ながら、移動中に温度が上がってしまう。そこで予め、濡れたタオルを巻いて冷凍室に入れておき、タオルが凍り始めたぐらいの時間に取り出す(30分程度が目安。長く入れすぎると、ワインまで凍りついてしまうので危険だ)。そしてタオルを巻いたままビニール袋に入れて運ぶだけ。30分程度の移動なら十分いける。

 

2.氷水に塩を加えて冷やす

クーラーボックスがある場合は、そこに氷を入れてボトルを冷やせばよい。だがさらに、そこに水と塩を加えると、急速に冷える。塩を加えると凝固点が0度を下回るため、氷だけの状態よりも冷え方が早まるという。塩の量は1本につき、手の平1杯程度が目安。移動時間が短いとき、あるいはワインを現地で調達した場合に、冷蔵庫もなく早く冷やしたいときに使えるワザだ。また、自宅であっても、急な来客でワインを早く冷やしたいときに、この方法は役に立つ。もちろん、ビールにも応用が可能だ。

 

3.グラスに凍ったブドウを入れて冷やす

せっかくボトルのワインが冷えているのに、注いだグラスが温まっていては台無しだ。だが、屋外ともなれば、ガラスのグラスを持っていくのはちょっとツラい。自ずと紙やプラスチック製のものになりがち。そこで、予め凍らせたブドウを持っていく。それをグラスに入れてワインを注ぐのだ。氷であれば、溶けてワインの味が薄まってしまうが、果物ならそうはならない。特にブドウは皮がしっかりついているので安心。それに、そもそもワインはブドウから出来ているのだから、相性もいい。これで周囲がどんなに暑くても、冷えたワインがぬるまる心配はない。

俺流! アウトドアで美味しく白ワインを飲む方法

ざっとこんなところが、イタリア人も実践する方法だ。さらに、後年私自身が、東京のような都会でも使えるようにアレンジしているのが、次のやり方だ。

 

4.保冷剤使用のワインクーラーで持ち運ぶ

町中では、クーラーボックスを持って歩くのは大変だ。さらに都会ならば電車やバス、タクシーなどを使うことも多々ある。だから荷物はコンパクトな方がよい。最近は、ボトルに直接巻きつけるタイプのワインクーラーが売っている。そうした商品のなかでも、内側が保冷剤になっているものがおすすめだ。予めこのクーラー自体を冷凍しておき、持ち出すときにそのままボトルを覆うのだ。これならば、普通のバッグやリュックに入れてもかさばらず、1時間を超える移動も楽々だ。

5.ワインはスクリュー・キャップのボトルを選ぶ

以前のこのコラムでも書いたが、今や「スクリュー・キャップ」は改良が進み、品質が抜群にアップした。屋外で、コークスクリューを使ってコルク栓を開けるのはちょっと大変だし、人目も気になったりする。そんなとき、スクリュー・キャップならばさりげなく開栓できてスマートだ。イタリア・ワインでも品質の良い白ワインがスクリュー・キャップで手に入るようになった。さらにオーストラリア、ニュージーランド、チリ、カリフォルニアなどのニューワールド系ワインはスクリュー・キャップが主流で、味も悪くない。さらに良いことに、スクリュー・キャップならば、残しても持ち帰りができる。今のスクリュー・キャップなら横にしてもまったく漏れない。

 

6.シリコン・グラスで気分を盛り上げる

アウトドアなのでグラスは何でもいい。と、気を緩めると、紙やプラスチックといった、手軽な使い捨てコップですませてしまいがち。だが近頃は、ガラスのグラスと見間違えるほどの、おしゃれで割れないシリコン製グラスが開発されている。美味しいものは、やはり見た目も大切。1000円程度で十分にいいものが手に入るので、私はシリコン・ワイングラスを愛用している。冷えた白ワインのルックスがグッと良くなり、気分も上昇。グニャグニャと丸まルノで、持ち運びの場所も取らないし、洗えば何度でも使える。実は家計にも、環境にもやさしい。もちろん、紙コップ等よりも、保冷性はずっと高いので、高級白ワインでも十分に対応できるのがうれしい。

このような工夫によって、私のアウトドア・ワイン・ライフは、格段に行動範囲を広げている。先日は、都内の自宅から鎌倉まで遠出をしたが、材木座海岸の砂浜で、愛飲の白をスッキリ冷えた状態で飲めたときには、まるでリド島に戻ったような至福の気分を味わえた。夏の暑さを存分に味わいながら飲む白は、やっぱり最高だ。今度の休日には地元の花火大会がある。近所の公園で涼をとりながら、秘蔵の白をいただくとしよう。

 

※記事の情報は6月20日時点のものです。

京藤好男

京藤好男

東京外国語大学イタリア語学科卒業。1995年ヴェネツィア大学留学。イタリア文学専攻。その滞在期間中、ヴェネト州のヴェローナ、ピエモンテ州のランゲ、トスカーナ州のモンタルチーノなど、ワイン名産地の人々と親交を持ち、イタリア・ワインに親しむ。現在、慶應義塾大学など複数の大学で講師を務めるほか、2006-2008年にNHKラジオ『イタリア語講座』、2007年にNHK『テレビイタリア語会話』で講師を務めるなど、様々なメディアで講師活動をしつつ、ワインを始めとするイタリア文化の普及に努めている。著書に『指せば通じる旅のらくらく会話 イタリア』、『文法から学べるイタリア語』(共にナツメ社)、『中級へのイタリア語文法』(三修社)など多数。

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