イタリアのワインのプロもおすすめ! 良質な安・旨ワインも教えてくれるガイドブック
イタリア留学経験もあり、イタリア語講師として多数の著作がある京藤好男さん。イタリアの食文化にも造詣が深い京藤さんが在住していたヴェネツィアをはじめイタリアの美味しいものや家飲み事情について綴る連載コラム。今回は、ピエモンテのワイン醸造家に教わったワインのガイドブックをご紹介します。
試飲だけでは評価しない! 作り手重視のガイドブック
「高くて美味しいワインならいくらでもある。イタリアの安くて、旨くて、掘り出し物のワインを、失敗なく見つける方法をズバリ教えてくれ」
そんなものがあれば、私が教えて頂きたい、とツッコミたいところだ。ウマイ話はそうそう転がってはいない。だが、それで匙を投げていては「家飲みコラムニスト」の名が廃る(そんな名だったかどうか知らないが)。「ズバリ」と行くかどうかはわからないが、私の友人、ピエモンテのワイン醸造家に教えてもらった「お役立ちガイド」をお教えしよう。
『Slow Wine』という、年刊のワイン格付けガイドブックである。普通、「格付けガイド」というと、高級ワインしか相手にしない。だが、このガイドは、出来上がったワインの味だけをみて格付けするものではなく、1軒1軒のワイナリーを訪ね歩き、その土地や作り手を評価する方法を取っている。従って、ワイン作りの真摯な姿勢はもとより、「価格設定」も評価の対象という、家飲み好きにうれしいものだ。
今回ご紹介したいのは、そんな『Slow Wine』ならではのカテゴリーだ。
Vini quotidiani「日常ワイン・カテゴリー」
これは、生産者とその長年の実績、ブドウ畑の個性(テロワール)とそれを活かした製造過程を評価した上で、市販価格がなんと「10ユーロ以下」の超優良コストパフォーマンスのワインを評価するカテゴリーなのだ。これを見れば、品質が良く、なおかつ「安い」という、家飲み好きに最適のデイリー・ワインに出会えるわけだ。
だが、ちょっと問題がある。これはあくまでも『ガイドブック』なのだ。つまり本なので、本屋さんなどで買わなければ読めない。しかも、中身は全部イタリア語だし、それを通販サイトで注文する、となると、ちょっとハードルが上がるだろう。そこでウラ技の伝授だ。
ガイドブックの公式サイトから格付けリストを見つけ出すウラ技
「Slow Wine 2017 Piemonte」
つまり、Slow Wineのあと、評価された最新の「年」と興味ある「地方(州名)」を一緒に入力するのだ。すると、googleの場合であるが、必ずトップに表示されて出てくるのがSlow Wineの「格付けリスト」である。すなわち、ホームページ上では、リストが「地域別」に分けて表示されているのだ。そのように見つけた該当ページを下にスクロールしてもらうと、一番下に出てくるカテゴリーが「Vini quotidiani」である。
ただ、そこにあるのは単なるリストでしかない。本だと詳細情報が記載されているが、あくまでもネット上の簡略的紹介なので、ワインの名前がただ並んでいるだけだ。そこで、気になる1本があれば、さらにワインの専門サイトで詳しい情報を取っていただく。おすすめとしては、
Trovino.it イタリアで流通するワインを網羅する。イタリア語。
Wine-searcher.com 世界のワインを扱う通販サイト。英語。
Vinmonopolet ノルウェーのワイン専売公社のサイト。ノルウェー語。
以上のサイトは、私がワイン探しに重宝しているものだ。これらはいずれも価格表示を行なっている。特にWine-searcher.comは、日本円での表示もあるので、通販購入の目安となりえるだろう。『Slow Wine』のリストに上がるものは、輸入されていない銘柄もかなりあるので、外国のサイトで探さないと見つからない。つまり、うまく見つかれば「掘り出し物」だ。もし、日本にあるかどうか知りたい時には、検索サイトにワインの銘柄を入力したあとに「通販」と日本語で入れてもらうとよい。輸入されていればヒットするはずだ。イタリア人が認める「安旨ワイン」とは何か。それを知る最良の手がかりになるだろう。
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