【管理栄養士が教える】アボカドの栄養成分! 体がよろこぶ効果やカロリーは?
「森のバター」とも呼ばれ、栄養たっぷりのスーパーフードとして愛されているアボカド。実際、どんな栄養が含まれているの? 美容やダイエットには向いている? 管理栄養士の森由香子さんが、アボカドに含まれる栄養素や、おすすめの食べ方について解説します。
アボカドの栄養価は世界一! 種や皮まで使えるって本当?
縦半分に切って種をとり、砂糖、レモン汁などをかけてそのままスプーンで食べてもおいしいですし、すっぱい、しょっぱい、甘いといった味がないため、野菜感覚で肉、魚介、卵といっしょに料理にも使えて便利です。料理にアボカドを加えると、味にコクが出て一段とおいしく仕上がりますね。
また、種はお茶やチップスにして飲食用として利用できますし、皮は美容目的(ひじ、膝、かかとなど皮膚のかたくなった部分をこするとすべすべになるという報告がある)として使えるので無駄がありません。
人気のアボカド、どんな栄養が含まれる?
アボカドには、脂質の中でも体内でつくることができない脂肪酸(必須脂肪酸)のリノール酸、α-リノレン酸が含まれています。
脂肪酸は、脂質の1種で、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸と構造により大きく3つに分けることでき、それぞれ異なる働きをしています。
それらの割合は以下の通りです。
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アボカド(可食部)100g中に含まれる脂肪酸の種類と働き
※アボカド1個250g(可食部175g)廃棄率30%とした場合
脂肪酸名 | 含有量(g) | 働き |
---|---|---|
①飽和脂肪酸 (パルミチン酸など) |
3.03 | エネルギー源や、中性脂肪やコレステロールの原料になります。体内でも合成されるので日常生活で不足することはありませんが、飽和脂肪酸の摂取量が少ない人は、脳出血の発症率が増えるという報告があり、不足すると血管がもろくなることが考えられています。逆に摂りすぎると、血中のLDL(悪玉)コレステロールが増えることがわかっています。 |
②一価不飽和脂肪酸 (オレイン酸など) |
9.96 | 酸化しにくく、血管を傷つける要因となる過酸化脂質になりにくい性質があり、コレステロールを下げる作用もあるため動脈硬化の予防効果が期待できます。 |
③多価不飽和脂肪酸 | 1.85 |
構造の違いにより、さらにn-6系脂肪酸、n-3系脂肪酸の2つに分けられ、働きは微妙に異なります。 ・n-6系脂肪酸(必須脂肪酸のリノール酸など)・・・血液中のコレステロール量を減少させる働きがあります。摂りすぎるとHDL(善玉)コレステロールを減らしてしまう作用があります。 ・n-3系脂肪酸(必須脂肪酸のα-リノレイン酸など)・・・血液中のLDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪を減らし、HDL(善玉)コレステロールを上昇させる作用があります。 |
アボカドの栄養はダイエットに効果的?
しかし、アボカドには、コレステロールを上昇させる飽和脂肪酸も含まれています。さらにカロリーも高いので、適量以上に食べると体脂肪を増やす可能性があるためご注意ください。
アボカドのカロリーと1日の適量は?
健康維持、ダイエットを意識するのであれば1日1/4個程度に抑えたほうが無難といえるでしょう。食べ過ぎにご注意ください。
アボカドには、美容や健康にうれしい栄養素がいっぱい!
ミネラルでは、血圧を下げる効果があるカリウムが100g中590mgと、生食するフルーツの中でも群を抜いて多い含有量です。夏は汗によりカリウムも失いがち。濃い味つけが好きな方は積極的に補給したいミネラルが含まれています。
食物繊維も100g中5.6gと多く、腸内環境を整え、便秘予防や改善、コレステロールの吸収を抑制するなどの効果も期待できます。
また、アンチエイジングビタミンのビタミンACE(エース)、その中でもビタミンEが多いのが特徴です。ビタミンEは、ビタミンAやビタミンCの酸化防止、血行促進、性ホルモン分泌促進などがあります。
他にも、アルコールの代謝に欠かせないナイアシンをはじめ、糖質、脂質、たんぱく質の代謝に欠かせないビタミンB群(ビタミンB12除く)も豊富に含まれています。
β-シトステロール(植物ステロール)というファイトケミカルも含まれ、こちらは血中のコレステロール低下作用が期待できます。
アボカドの栄養を補う、管理栄養士おすすめのおつまみは?
そこで今回、私がおすすめするアボカドを使ったおつまみは、アボカドとエビのブルスケッタです。アボカドに足りないビタミンB12やたんぱく質をエビから、糖質をバゲットから補給できます。
●アボカドとエビのブルスケッタ(12個)4人分
材料
- アボカド 1個
- むきエビ 50g
- レモン汁 大さじ1
- 玉ねぎ(微塵切り) 40g 大さじ3
- *カッテージチーズ 大さじ1
- *ハチミツ 小さじ1
- (*はサワークリーム大さじ1で代用可能)
- 塩麹 大さじ1(味をみて調整)
- バゲット 12枚
- イタリアンパセリ 2枝
- ピンクペッパー 12粒
作り方
- アボカドは縦半分に切り種を取る。果肉を取り出しレモン汁(分量外)かけて口に入れやすい大きさにカットする。
- むきエビは、背ワタを取り、茹でて水切りする。
- 玉ねぎは、みじん切りにする。
- ボウルに、レモン汁、③の玉ねぎ、カッテージチーズ、ハチミツ、塩麹を入れて混ぜ合わせる。
- ④へ①、②を入れて混ぜ和える。
- 焼いたバゲットに⑤をのせ、上にイタリアンパセリ、ピンクペッパーをのせる。
・乳酸菌を含むカッテージチーズ、オリゴ糖を含むはちみつを使うことで腸内環境が整える効果が期待できます。
・エビからビタミンB12を補給することでビタミンB群が整いエネルギー代謝も高まります。
・アボカド、レモン汁、たまねぎからビタミンCがたっぷり摂れますので夏の紫外線対策にも有効です。
・カッテージチーズとハチミツの代わりに乳酸菌を含むサワークリームを使うと、さっぱりした味わいが生まれ、腸内環境を整える効果も期待できておすすめです。
・アボカドは冷凍したものを使うこともおすすめです。カットした状態であれば食べる量を調整しやすいので便利です。
夏本番、栄養価の高いアボカドをおつまみに取り入れることで夏バテを撃退し、健康的な家飲みをお楽しみください。
※記事の情報は2021年8月9日時点のものです。
参考資料
『食の医学館 体に効く食品を全網羅』本多京子(小学館)
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