最新!家飲みクラフトビール図鑑①IPA編
コンビニのお酒コーナーや通販サイトに行くと、目にすることが多くなった「IPA(アイ・ピー・エー)」というスタイルのビール。「よく飲んでいるよ」という人も、そうでない人も、IPAに関するアレコレを知って飲むとおいしさ倍増。いつもの家飲みにワンランク上の楽しみをプラスしましょう。
IPAとはホップ増し増しのビール
IPAを最も特徴づけるものはホップです。ホップは“ビールの魂”とも呼ばれ、ビールに香りと苦みをもたらす大切な原料。IPAでは香りも苦みも増し増しに仕上げるために、一般的なビールよりも多量のホップを麦汁と一緒にぐつぐつと煮込んでいます。
さらにフレッシュな香りを移すために、発酵が終盤に差し掛かりほぼ完成に近づいたビールに直接ホップを浸す「ドライホッピング」という手法を使う醸造所も。
とは言っても“ホップの量を増やせばIPAになる”のではなく、大切なのは麦芽とのバランス。例えば、そのままのカカオは苦くてとても食べられませんが、砂糖を加えることによってカカオの風味が引き立ちます。同じようにIPA造りでも、土台となる麦芽の甘みとコクが重要。麦汁の濃度を高くして全体のバランスを取っているのです。
IPAはインドへの輸出ビールだったって本当?
別の説では、もともと英国にホップをきかせた高アルコールビールがあって、それがインドに輸送されたという話も。
現在はホップの香りと苦みがビアファンを喜ばせていますが、昔は抗菌効果が重宝されていたようですね。
英国のIPAは苦くない!?
アメリカに渡って柑橘系アロマの苦いビールに
続々誕生IPAファミリー
W-IPA/インペリアルIPA
ホップの苦みをさらに強く、アルコール度数も7.5~10.5%に高めている。リッチな飲みごたえと強烈なインパクト。
セッションIPA
IPAの特長はそのまま、アルコール度数を5%以下に弱めている。一般的なIPAよりも軽やかで飲み疲れしにくい。
ブリュットIPA
麦芽の糖分を完全に発酵させ、ライトボディでドライな喉越しに。辛口スパークリングワインのような印象。
ベルジャンIPA
発酵にベルギービール酵母を使用。フルーティーかつスパイシーで、奥行きのある味わい。
ブラックIPA
ローストした麦芽を使用し、濃色の外観に。ホップの苦みと香りに、ロースト麦芽のこうばしい香りと焦げた苦みが加わる。
ホワイトIPA
小麦や小麦麦芽を使用し、白濁した外観に。小麦の甘みと滑らか舌触り。
フレッシュホップIPA
収穫後すぐの生ホップを使用。ホップそのもののフレッシュなニュアンス。
特に注目したいIPAのスタイルは?
ホップが持つジューシーさやトロピカル感を引き出したもの。通常のIPAよりさらに多量のホップを使用しているが、苦みは弱くソフトな口当たり。原料に含まれるポリフェノール由来の濁った外観が特徴。小麦やオーツ麦を使用しているものもある。
アメリカ北東部に位置するニューイングランド地方から広まったため、ニューイングランドスタイルIPAと呼ばれる。ジューシーな味わい、濁った外観(ヘイジー)から、ジューシーIPA・ヘイジーIPAとも。
〈代表的な銘柄〉
・Yマーケットブルーイング「New Generation」
・伊勢角屋麦酒「NE IPAねこにひき」
・Far Yeast Brewing「BIRTHDAY GREETING HAZY IPA」
IPAのおすすめ銘柄はこれ!
\日本の心を持つアメリカ人が造る正統派IPA/
ベアード 帝国IPA
ビスケットのような麦芽の重厚感の中に、柑橘系の甘い香りと牧草のようなグラッシーな香りが感じられます。複雑ながらもキリリとした味わい。イングリッシュIPAとアメリカンIPA双方のニュアンスが感じられます。
醸造所はアメリカ出身のブライアン・ベアード氏により2000年に創業。日本の文化は「複雑さの中にある簡素さと繊細なバランス」と考え、原材料はできるだけ手を加えず、原材料の絶妙なバランスと素材の持つ複雑な奥深さを引き出すことを信念にしています。一次発酵後のビールに糖を加え、ボトルでじっくり二次発酵・熟成をさせることで、複雑な風味を調和させています。
メーカー名:ベアードブルーイング
生産地:静岡県
原材料:麦芽、糖類、ホップ、酵母
アルコール度数:6.5%
\自家栽培ホップの個性が沸き立つアメリカンIPA/
志賀高原IPA
グレープフルーツの皮を齧ったかのような爽快な香りと苦みのインパクトを、麦芽のカラメルのような甘みしっかりとしたボディが受け止めています。ホップと麦芽のバランスが素晴らしく、豊かな味わい。飲みごたえのある1本です。
志賀高原ビールを造る玉村本店は、長野県で200年以上続く日本酒蔵。「自分たちが飲みたいビール」をコンセプトに、本格的なエールビールを造っています。土地に根差し原料から自分たちでつくることにも取り組み、ホップや日本酒にも使用される酒米美山錦を栽培。ウイスキー樽やワイン樽でエイジングしたビールをリリースするなど、進化を続ける醸造所です。
メーカー名:玉村本店
生産地:長野県
原材料:麦芽、ホップ
アルコール度数:6.0%
\飲みやすさとオリジナリティーが共存するセッションIPA/
コエド 毬花-Marihana-
毬花(マリハナ)とはホップの和名。パッションフルーツや柑橘系の果実のようなホップの若々しい香りがあふれます。しっかりとした個性を持ちながらも主張しすぎず、軽快な飲み口。アルコール度数も低めなので飲む疲れすることなく、スイスイと飲めてしまいます。
コエドブルワリーのビールは、蔵づくりの建物が並び「小江戸」と呼ばれる川越市で造られています。商品ラインナップには「伽羅」「紅赤」「漆黒」「瑠璃」があり、名前に日本の伝統色が使用されています。ロゴはホップが家紋のようにアレンジされ、ラベルの地にはCOEDOのローマ字が配されたデザイン。「Beer Beautiful」のコンセプト通り、繊細でうつくしい日本を表現したビールです。
メーカー名:協同商事 コエドブルワリー
生産地/ 埼玉県
原材料/ 麦芽、ホップ
アルコール度数/ 4.5%
おすすめIPAに合うおつまみは?
グラッシーでシトラスでモルティ。複雑な風味が絡み合う帝国IPAには、タイランドの魚醤ナンプラーをあわせてより素材のうまさを引き出してもらいましょう。
「エスニックにんじんサラダ」はにんじんをスライサーで千切りにし、ピーナッツとさくら海老を叩きながら混ぜ、ナンプラーとレモン汁、輪切りの鷹の爪、三温糖、少々の醤油で調味しただけの簡単サラダ。
麦芽の甘みがナンプラーとさくら海老の旨味と手を組み、味わい深く。噛めば噛むほどナッツの香ばしさと、にんじんの風味の豊かさが際立ちます。鼻に抜けるレモンとホップの爽やかな香りがアクセントに。パリパリ触感も相まって、ビールがついつい進んでしまいます。
志賀高原IPA × アジのひらき
ガツンと力強いIPAは、味の濃い料理にも負けません。IPAの柑橘系の華やかな風味を、レモンや柚子の代わりにしてみよう。麦芽のロースト感は、焼き物の焦げにもリンクします。
アジのじゅわっと焦げた皮に麦芽のこうばしさと甘さがマッチ。アジの風味と塩味が口の中で増幅します。ホップのフレッシュな香りが魚臭さを和らげ、キリリとした苦みが舌の上の脂を洗い流し、最後の一口まで爽やかに食べられます。サバの塩焼きなど、香りと塩味が強い焼き魚にもよくあいますよ。
毬花-Marihana- × バスクチーズケーキ
セッションIPAのフレッシュなホップの苦みには、チーズケーキのミルキーな甘みをプラス。今流行のバスクチーズケーキは、スペイン・バスク地方のチーズケーキでまったりとした舌触りと表面の焦げ目が特徴。スペインではバルでお酒と一緒に食べられているとか。
濃厚に舌に絡みつくケーキの甘みが、ホップの華やかな苦みと混ざり合うと、チーズの豊かな風味がくっきりと浮かび上がり、心地よく鼻腔を満たします。焦げ部分のカラメルをふわりとしたアルコール感が受け止め、ぐっと大人の味わいに。
※記事の方法は2020年2月13日時点のものです。
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