「シャンパン」と「スパークリングワイン」の違いは? 基礎知識からわかりやすく解説

「スパークリングワイン」といえば「シャンパン」をイメージする方も多いかもしれませんが、実はシャンパンはスパークリングワインの一種。シャンパンとスパークリングワインの違いは? 製法や種類など、今さら聞けない基礎知識をソムリエがわかりやすく解説します!

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「シャンパン」と「スパークリングワイン」の違いは何?

そもそも、スパークリングワインとは「3気圧以上のガス圧を持った発泡性ワイン」すべてを指します。つまり、「シャンパン」もスパークリングワインの一種です。

下記でも詳しくご説明しますが、イタリアの「スプマンテ」やスペインの「カヴァ」といった、スーパーでよく見かけるようになったワインもスパークリングワインの一種になります。

スパークリングワインの中でも、フランスのシャンパーニュ地方でつくられ、かつフランスの法律が定めた厳しい条件を満たし、さまざまな細かい工程を経てつくられたものだけが「シャンパン」と名乗ることができます。

スパークリングワインの製法は?

ワインタンク
スパークリングワインとは一般的に3気圧以上のガス圧を持った発泡性ワインの総称です。

スパークリングワインの製法には大きく分けて4つの製法があります。つくり方によって味わいやニュアンスに違いが生まれるので、順に見ていきましょう。

スパークリングワインの製法①|瓶内二次発酵方式

こちらは別名「シャンパーニュ方式」または「トラディショナル方式」などと呼ばれています。 瓶内二次発酵方式は、スパークリングワインをつくる上でもっとも手間と時間がかかる製法です。スティルワイン(非発泡性ワイン)を瓶に詰めた後、糖分と酵母を加えて密閉し、瓶内で二次発酵を起こさせるやり方です。

瓶内二次発酵方式でつくられるスパークリングワインは、シャンパンの他、フランスのクレマン、イタリアのメトド・クラシコ、スペインのカヴァなどがあります。きめ細かい上質な泡を作ることができるので、泡持ちもよく舌触りもなめらかな質感に仕上がります。

スパークリングワインの製法②|シャルマ方式

スティルワイン(非発泡性ワイン)を大きな樽に密閉して、中に糖分と酵母を加えて二次発酵させることによってつくられます。短期間で量産できるのでコストを抑えられるうえ、空気と接触しないため、ぶどう本来のアロマをしっかり残したい場合に好まれて使われる製法です。

「シャルマ」という人物がこの方式を編み出したことが由来とされ、そのまま製法名として採用されました。別名「密閉タンク方式」とも言います。

スパークリングワインの製法③|トランスファー方式

ワインの中にある沈殿物を除去するため、瓶内で二次発酵させた二酸化炭素含有ワインを加圧下のタンクに開け、冷却とろ過をして新しいボトルに詰め替える方式です。

製造工程が比較的少なく、低コストでスパークリングワインを製造できるのが特徴です。

スパークリングワインの製法④|リュラル方式

リュラル方式は最古のスパークリング製法と呼ばれています。発酵途中のワインを瓶に詰め、王冠などで栓をして残りの発酵を瓶内で行うやり方です。瓶内で発酵させる際、糖は新たに追加せず、ぶどうが持っている糖分だけで発酵させるため、アルコール度数は低めに仕上がります。

スパークリングワインの製法⑤|炭酸ガス注入方式

加圧下のタンクにワインを入れて、炭酸ガスを吹き込む方式です。比較的安価なスパークリングワインに使われます。注いだときの炭酸の勢いは良いですが、抜けが早いので泡持ちが短いのが特徴です。

シャンパンの製法、味の特徴は?

シャンパーニュ地方
「シャンパン」と名乗るためにはいくつかの条件があり、それらを満たしたものだけが「シャンパン」と名乗ることができます。製造工程は非常に細かいので割愛しますが、おおまかにまとめると以下の3つの条件を満たす必要があります。

シャンパンと名乗るための3つの条件

①地域:フランスのシャンパーニュ地方でつくられていること
②ぶどう品種:シャルドネ、ピノ・ノワール、ムニエの3種類か、いずれかを使っていること
③醸造方法:シャンパン(シャンパーニュ)製法と呼ばれる伝統的な瓶内二次発酵方式でつくられていること

そしてこれらのほか、A.O.C.と呼ばれるフランスのワイン法に規定された条件(収穫高、熟成期間、アルコール度数など)を満たしたものだけがシャンパンと名乗れます。

まとめると、スパークリングワインのなかでも「フランスのシャンパーニュ地方でA.O.C.法に則り、決められたぶどう品種を使って瓶内二次発酵方式でつくられたスパークリングワイン」のことをシャンパンと呼ぶのです。

シャンパンの味の特徴、相性の良いおつまみは?

シャンパンとオイスター
シャンパンにも甘口から辛口までありますが、ほとんどは「Brut(ブリュット)」と呼ばれる辛口のタイプに仕上がります。 なかでも使うぶどう品種によって味わいのニュアンスが変わります。大きく分けて「ブラン・ド・ブラン」と「ブラン・ド・ノワール」があるので、おさえておきましょう。

白ぶどう(シャルドネ)のみでつくられるシャンパンを「ブラン・ド・ブラン」、
黒ぶどう(主にピノ・ノワール)でつくる白のシャンパンを「ブラン・ド・ノワール」と呼びます。


ブラン・ド・ブランはミネラル感が豊富で、上品なアロマが特徴です。魚介類やフルーツを使った前菜やチーズ、生ハムなどと好相性です。

一方、ブラン・ド・ノワールは、シャルドネのみでつくるブラン・ド・ブランに比べると、飲みごたえのある飲み口に仕上がることが多いです。そのため、前菜やサラダだけでなく、しっかりした味わいのパスタやボリューミーな肉料理にも非常によく合います。

「シャンパン」以外のスパークリングワインは?

シャンパンはスパークリングワインの分類の中の一つと述べましたが、他にも国によってさまざまなスパークリングワインがつくられています。
 
【各国のスパークリングワインの名称】
・フランス=ヴァンムスー、クレマン
・イタリア=スプマンテ、フランチャコルタ、ランブルスコ、プロセッコ
・スペイン=エスプモーソ、カヴァ
・ドイツ=シャウムヴァイン、ゼクト

すべて日本に流通していますが、世界的に最も飲まれているスパークリングワインはイタリアの「プロセッコ」です。

フランスのクレマン、イタリアのフランチャコルタ、スペインのカヴァはシャンパンと同じく「瓶内二次発酵方式」を使ってつくられているので、泡持ちの良さや品質の高さに定評があります。

色々なスパークリングワインを楽しもう!

シャンパンで乾杯
スパークリングワインの中には、シャンパンのように厳しい条件をクリアした格式高いワインもあるため、価格が高いというイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、イタリアのプロセッコやスペインのカヴァはスーパーでも1000円前後で手に入れることができます。

日々の晩酌に寄り添ってくれる価格帯のスパークリングワインはたくさんあるので、生産国やラベルの情報を見ていろいろ試してみるのもおすすめです。

もちろん、シャンパンならではのエレガントな飲み口と上品なアロマは何にも代えがたい味わいなので、特別な日にはぜひシャンパンを楽しんでみてくださいね。

※記事の情報は2022年3月24日時点のものです。
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