ペアリングとマリアージュの違いは? ソムリエが解説します
「ペアリング」と「マリアージュ」、どちらもワインと料理の組み合わせを指す言葉としてよく耳にします。しかし、両者の意味の違いを正しく理解している方は少ないかもしれません。今回は、ペアリングとマリアージュの意味や使い方から、ワインと料理の組み合わせ方のコツまで、ソムリエが分かりやすく解説します!
ペアリングとマリアージュの意味は同じ?
それぞれの言葉の違いを理解するには、語源や概念について知る必要があります。まずはペアリングとマリアージュの意味や使い方について解説していきます。
ペアリングとは?
料理とワインの文脈では、「料理とワインを組み合わせる」という意味になります。注意点としては、組み合わせること自体をペアリングと表現するため、組み合わせた料理とワインがマッチするかどうかは意味に含まれません。
マリアージュとは?
料理とワインの文脈では、「料理とワインが完全に調和し、一体化する」という意味合いを持ちます。料理とワインが一緒になることで新たな味わいを生み出す、より高度な組み合わせをマリアージュと言います。
つまり、2つのものをペアリングして、その中でも相性がよいものをマリアージュと表現するイメージです。
ペアリングとマリアージュはどう使い分ける?
ペアリングの使い方としては、「白ワインと牡蠣をペアリングした」といったように、組み合わせた動作自体を表現するのに使います。マリアージュは「カリフォルニアの赤ワインとビーフステーキのマリアージュに感動した」といったような、組み合わせた結果、素晴らしい味わいが生まれた時に使います。
ただ、飲食店などでは基本的にマッチする組み合わせを提案するので、ペアリングもマリアージュも同じ意味で使われることがあります。マリアージュ自体はフランス語なので、レストランやバルなどではペアリングという言葉を使うところが多いかもしれません。
ワインと料理以外の組み合わせもペアリングやマリアージュと言う?
もちろんワインだけでなく、ビールやウイスキー、日本酒など他のアルコール飲料と料理の組み合わせについても使われることがあります。ビールと揚げ物、ウイスキーとスモークナッツ、というような組み合わせは定番です。
また、お茶やコーヒーとお菓子、食材とソース、さらには音楽とアートなど、飲食以外の分野でも、2つの要素が組み合わさることを「ペアリング」、相性が良い高度な組み合わせを「マリアージュ」と表現することもあります。
ワインと料理のマリアージュのコツ
1. ワインと食材の風味を合わせる
2. ワインと食材の色味を合わせる
3. ワインの産地の郷土料理と合わせる
以下で順番に解説していきます。
ワインと食材の風味を合わせたマリアージュ
例えば、樽で熟成させた濃厚でクリーミーな白ワインとクリームソースのパスタを合わせたり、緑やハーブのニュアンスがあるさっぱり系の白ワインに魚の香草焼きやハーブオイルを使ったサラダを合わせると、素晴らしいマリアージュが生まれます。風味や香りから感じ取れる要素を、食材やソースに使うのは定番のテクニックです。
ワインと食材の色味を合わせるマリアージュ
例えば白身魚や鶏肉を使った料理なら、見た目が白いので白ワイン。サーモンや海老などピンクがかった色の食材に合わせるならロゼワインやオレンジワイン、赤身の強い牛肉や鹿肉には色調の濃い赤ワインを合わせる、といった具合です。
味わいの濃さや口に含んだ時のボリュームなどは色調によって強弱が比例することが多いため、最も分かりやすいマリアージュ法ともいえます。付け合わせのソースの色味や完成した料理全体の色合いに着目して、ワインをセレクトしてみてください。
ワインの産地の郷土料理を合わせるマリアージュ
日本でも地酒と郷土料理を合わせる文化があるように、世界のいたるところで「地のもの」を合わせるマリアージュがあります。
マリアージュのコツをおさえて、家飲みでもペアリングを楽しもう
ペアリングとマリアージュは語源や意味合いは違うものの、飲食の世界ではほぼ同義に使われているシーンもあります。あまり堅苦しく線引きする必要はありませんが、ペアリングとマリアージュの違いを知り、理解を深めることでワインと料理の可能性を探る楽しさが出てくると思います。
前述したマリアージュのコツを抑えて、ぜひさまざまなペアリングを楽しんでみてくださいね。
※記事の情報は2023年7月27日時点のものです。
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