黒ビールの違いを解説! コンビニやスーパーで買える銘柄の味わいは?
黒ビールはツウな人が好むものと思っていませんか? じつは味や特徴は多様で、食事との相性もいいので、普段の家飲みでも楽しめるビールなんです。そんな黒ビールの魅力やビアスタイルごとの違い、初心者におすすめの飲み方まで、ビアジャーナリストがお届けします。
そのうえ、すっきり飲めるタイプからコク深いものまで、バリエーションに富んでいます。
今回は、そんな多様なスタイルが愛されている「黒ビール」を、ビアジャーナリストが詳しく、そして分かりやすく解説します!
黒ビールとは? 一般的なビールとの違いは?
ではなぜ黒ビールは黒い色をしているのでしょうか? その答えは原材料にあります。
ビールの主な原材料は「モルト(麦芽)」「ホップ」「水」「酵母」の4つです。中でもビールの色に大きな影響を与えるのが「モルト」です。モルトとは、発芽させた大麦を高温で乾燥させたもののこと。黒ビールには、高温で焙煎した「濃色モルト」を使用します。
こう聞くと、黒ビールは濃色モルトだけで造られていると思われるかもしれませんが、そうではありません。メインとなるのはビール造りの基本となる「ベースモルト」で、濃色モルトが使われるのは全体のわずか1〜10%程度です。それでもビールの色はしっかり黒くなるのです。
ちなみに濃色モルトは1種類ではなく、焙煎温度や焦げ具合によって「クリスタルモルト(カラメルモルト)「チョコレートモルト」「ブラックモルト」などがあり、色合いもそれぞれ異なります。
黒ビールにはエールタイプもラガータイプもある
ここでは黒ビールを代表する3つのビアスタイルとそれぞれに合うおすすめのおつまみ、代表銘柄を紹介します。
黒ビールの代表的なビアスタイル①│ポーター
当時、新しい褐色エール、古くなって酸味の出た褐色エール、中濃色のペールエールの3つを混ぜた「スリースレッド」というビールが流行していました。この「スリースレッド」というミックスビールの味わいを再現したのが「ポーター」です。
ココアのような甘い香りと、コーヒーのように深いコク。全体的に丸みのある味わいが特徴です。
ポーターは冷やしすぎず、12度〜14度ぐらいで飲むと、香りや味わいを存分に楽しめます。グラスにもこだわりたいという方は、「パイントグラス」や「ハーフパイントグラス」を使って、チビチビ飲むのがおすすめです。
ポーターにおすすめのおつまみ
例えばチョコレート。お互いの濃厚な味わいが強調され、マリアージュが生まれます。アイスクリームなら、甘味と苦みの対照的な味わいが引き立て合いながら、クリーミーさとコクがマッチ。また洋菓子だけでなく、あんこや黒蜜といった和菓子とも高相性です。
スイーツの中でも、ぜひお試しいただきたいのがプリンです。砂糖を焦がして作るカラメルソースがローストしたモルトの香ばしさとマッチし、味わいに奥行きを与えてくれます。
ポーターの代表銘柄
スワンレイクビール ポーター
原材料:麦芽、ホップ
アルコール度数:6%
ビアスタイル:ロブストポーター
ローストしたモルトの香ばしい苦味と、クリーミーな泡の優しい口当たりが特徴。豊潤な味わいとスッキリした後味が共存した上品な1本です。
サミエルスミス タディポーター
原材料:麦芽、ホップ
アルコール度数:5%
ビアスタイル:ポーター
トーストのような香ばしさとコク深い味わいの中に、軽い酸味も感じます。濃厚で奥深い味わいなので、冷やしすぎずに飲むのがおすすめ。
黒ビールの代表的なビアスタイル②│スタウト
「GUINNESS(ギネス)」創始者のアーサー・ギネスが、麦芽化していない大麦をローストして原料に加えたのがはじまりです。ブラックコーヒーのようなシャープな苦みが「スタウト・ポーター」として人気を博し、後に「スタウト」としてアイルランド以外にも広まっていきました。
主流である「ドライスタウト」は、心地よい苦みとスッキリした後味が魅力。乳糖を加えた「ミルクスタウト」や、苦みを抑えた「スイートスタウト」、濃厚なチョコレートを思わせる「インペリアルスタウト」など、種類が豊富にあるのも「スタウト」の魅力です。
大きなくびれがあり、飲み口が少しすぼまっている「スタウトグラス」で飲むと、「スタウト」の豊かな風味を引き出し、濃厚な味わいも存分に楽しめます。
スタウトにおすすめのおつまみ
またスタウトの濃厚な味わいは、どんな味も受け入れてくれる懐の深さを兼ね備えています。例えばカレーや麻婆豆腐など、味がしっかりしていてスパイシーなメニューと合わせても、スタウトの力強さなら負けることなく、ビールの甘味が辛味を和らげてくれます。
▼あわせて読みたい
スタウトの代表銘柄
ライオン スタウト
原材料:麦芽、ホップ、糖類
アルコール度数:8.8%
ビアスタイル:ストロングスタウト
リキュールのような上品な甘みと濃厚な味わいが特徴。スパイス香るカレーとの相性もよく「カレーといったらライオンビール」としてもお馴染み。
アサヒ スタウト
原材料:麦芽、ホップ、糖類
アルコール度数:8%
ビアスタイル:スタウト
光も通さぬほどの濃厚な黒色。ローストしたモルト、醤油やシェリーを思わせる複雑な香りが特徴です。しっかりした苦みと程よい酸味、奥行きのある味わいで長い余韻も楽しめます。
黒ビールの代表的なビアスタイル③│シュバルツ
ドイツ語で「黒」を意味するその名の通り、美しい漆黒が印象的です。
チョコレートやコーヒーを彷彿させる豊かなロースト香。ポーターやスタウトと比べるとすっきりシャープな味わいで、ラガービールらしいキレも堪能できます。
淡色ラガービールよりも飲み飽きず、濃色エールビールよりも飲み疲れしないシュバルツは、「黒ビールが苦手」という方にもぜひ試していただきたいビールです。
「ラガーグラス」や「タンブラー」で飲めば、のどごしや香ばしさ、すっきり感を存分に味わえますよ。
シュバルツにおすすめのおつまみ
鶏やタレの焦げた香りは、シュバルツのロースト香と共通します。また甘辛いタレとシュバルツの爽やかな苦みは、お互いの味を補完しあういい関係です。シャープでキレのあるビールなので、口の中に残る焼き鳥の油分をリセットしてくれるのもいいですね。
そして何より、焼き鳥を頬張りながら豪快に飲めるのは、すっきり飲みやすいシュバルツならでは。 焼き鳥の中でも、コクがあって濃厚な味の「レバー」が特におすすめです。
シュバルツの代表銘柄
ベアレン シュバルツ
原材料:麦芽、ホップ
アルコール度数:5.5%
アスタイル:シュバルツ
黒ビールらしい香ばしさはありながら、まろやかな味わいとすっきりとした後味が特徴。ラガービールらしくゴクゴク飲める1本です。
COEDO 漆黒-Shikkoku-
原材料:大麦麦芽、小麦麦芽、ホップ
アルコール度数:5%
ビアスタイル:ブラックラガー
艶のある漆黒と茶白色の泡が美しい1本。ローストやカカオのような香ばしさと、スムーズな軽やかさが特徴です。
コンビニやスーパーで買える黒ビール缶はある?
今回はその中から5本を購入し、実際に飲んでみました。
ドラフトギネス
アルコール度数:4.5%
ビアスタイル:ドライスタウト
ライターが試飲しました!
キリン 一番搾り<黒生>
アルコール度数:5%
ビアスタイル:シュヴァルツ
ライターが試飲しました!
南原
ローストした麦芽の香ばしさ。ほのかに感じる甘みと酸味。「黒ビールは重い」というイメージを、いい意味で裏切ってくれる1本です。黒ビールはチビチビ飲むイメージがありますが、このビールはゴクゴク飲めます。
ジューシーな肉料理から繊細な和食まで、食中酒としてもおすすめ。いつもと同じ料理も、いつもと違うビールと合わせることで、また違った雰囲気が楽しめます。
アサヒ生ビール 黒生
アルコール度数:5%
ビアスタイル:ミュンヒナー
ライターが試飲しました!
南原
チョコレートやビスケットのような芳ばしく甘い香り。光にかざすとブラウンに近い美しく明るい黒をしています。苦みが少なく、コクはあるけど軽やかで優しい甘みが特徴。後味もすっきりしているので、黒ビールの中でも比較的飲みやすい1本です。
「まろやか」という表現が最もしっくりくるビールで、毎日の晩酌にもぴったりです。
ヱビス プレミアムブラック
アルコール度数:5%
ビアスタイル:ダークラガー
ライターが試飲しました!
南原
炭焼きされた麦芽由来の芳醇な香りと、ビターチョコレートのように心地よい苦みに上質なコク。贅沢な「ヱビスビール」らしいプレミアムな黒ビールです。時間に余裕のある時や、頑張った自分へのご褒美として飲みたくなります。
ビール単体でじっくり味わうのもいいですし、バニラアイスと合わせて優雅な気分で楽しむのもおすすめです。
エチゴビール スタウト
アルコール度数:7%
ビアスタイル:ドライスタウト
ライターが試飲しました!
南原
焙煎麦芽の香りとエール酵母由来の芳醇な香りが、複雑に絡み合います。甘味と苦みが絶妙のバランスで重なり合い、重厚ながらも飲みやすいマイルドな味わいです。
この魅力を存分に味わう為には、冷やしすぎは厳禁。12〜15度程度の温度帯でゆっくりと飲みたいビールです。
缶のラベルのように、ジャズを聞きながら、温度変化とともに変わってくる香りや味わいを楽しんでみてはいかがでしょうか?
黒ビールテイストの新ジャンル商品やノンアルコールビールもあります
サッポロ 麦とホップ<黒>(新ジャンル)
原材料:麦芽、ホップ、大麦、スピリッツ(大麦)
アルコール度数:5%
味わいに深いコクを与える黒麦芽を一部使用。じっくりと時間をかけて熟成することで実現した、深みあるロースト香と凝縮された旨みが特徴です。
小樽ビール ノンアルコール ブラック 0.00%(ノンアルコール)
原材料:麦、ホップ、水
アルコール度数:0%
ローストした麦の香ばしさと深いコク、豊かでクリーミーな泡。適度な甘みを感じます。 市場でも珍しい黒のノンアルコールビールテイスト飲料です。
黒ビール初心者におすすめのハーフ&ハーフ! 作り方は?
そんな方には、「ハーフ&ハーフ」がおすすめです。
その名の通り、黒ビールと淡色ビールを1:1の割合で混ぜて楽しむ飲み方です。黒ビールの濃厚な味わいと淡色ビールの爽やかな味わい、どちらもバランスよく感じられるのが特徴です。
淡色ビールだと少し物足りなく感じる方や、飲み飽きてきた方にとっては、黒ビールのコクや香りがプラスされるので飲みごたえが増し、反対に黒ビールの濃い味が苦手な方や飲み疲れてしまった方にとっては、淡色ビールの爽快感がプラスされグッと飲みやすくなります。
またハーフ&ハーフは、ビールを注ぐ順番によって味わいが変化するのがおもしろいところ。淡色ビールを先に注いだ場合は、泡が白くなり、淡色ビールの爽やかな香りが漂います。 一方、黒ビールを先に注ぐと泡は黒くなり、黒ビール特有の甘い香りが強くなります。
使用するビールの種類や、黒ビールと淡色ビールの割合を変えることでも風味が変化するので、自分好みの「ハーフ&ハーフ」を研究してみるのもいいかもしれませんね。
お気に入りの黒ビールを見つけて、家飲みをさらに楽しく!
家で飲むビールは、特定の銘柄で決まっている方もいるでしょう。しかし、たまにはいつもと違うビールを選んでみると、家飲みの楽しさがグッと広がると思います。
食事と一緒に楽しむのはもちろん、気分を変えたいときや、リラックスタイムにも。あなただけのかけがえのない家飲み時間を、黒ビールとともに過ごしてみませんか?
※記事の情報は2023年8月7日時点のものです。
- 1現在のページ
南原
グラスに注ぐと現れる細かい泡のうねり「カスケードショー」は必見です。
2023年3月によりドライで軽やかな味わいにリニューアルされましたが、クリーミーな泡やバランスのよい苦みと甘味は健在。リニューアル以前の「ドラフトギネス」が重たくて苦手だと感じた方や、これから黒ビールを飲もうと思っている方に試していただきたい1本です。