ランブルスコとは!? コスパ最強スパークリングワインの種類や楽しみ方をソムリエが解説!

手頃な価格で楽しめ、軽やかな果実味と軽快な発泡感、低めのアルコール度数が人気のランブルスコ。ワインを飲み慣れていない方でも親しみやすく、幅広い世代に人気のあるスパークリングワインです。今回はそんなランブルスコの魅力について、ソムリエが解説します!

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ランブルスコは、ワイン初心者にこそ楽しんでほしいワイン

ランブルスコは、イタリアのエミリア・ロマーニャ州を中心とした限られた地域で生産されるスパークリングワインです。全体的に果実味があり、軽やかな微発泡が心地よく、普段ワインをあまり飲まないという方でも飲みやすく、スーパーや一部のコンビニでも購入できたり、ファミレスのサイゼリヤでも定番ワインとなるなど、親しみやすさは抜群。日本での知名度も上がってきています。

ただ、ランブルスコと一口にいっても、産地や品種、糖度の違いなどさまざまな種類があります。産地やランブルスコならではの品種、味わいの特徴などを知っておけば、ランブルスコをより楽しめるようになるでしょう。今回はランブルスコをより美味しく、楽しく飲むために知っておきたい基礎知識を紹介します。
ワイングラスイラスト

ランブルスコの品種

ランブルスコの価格がリーズナブルなのは、多様な品種のおかげで大量生産できるのが理由の一つです。地域ごとに特有の気候や土壌があり、独特の風味を生み出しています。

また、ランブルスコの約9割は赤ですが、ロゼや白も存在し、これらの多様な種類がランブルスコの魅力を一層引き立てています。ここでは主要なランブルスコの品種について3つ紹介します。

●ランブルスコ・ソルバーラ
軽やかでフレッシュ、かつフルーティな味わいと爽やかな酸味が特徴で、ランブルスコ系品種の中では最も高品質といわれています。淡い色調で、バラやスミレのようなフローラルなアロマも。ソルバーラ種はタンニンが少なめなので、ドライな味わいに仕上がる傾向があります。

●ランブルスコ・グラスパロッサ
ランブルスコ系品種の中では、濃厚で力強い味わいが特徴。ブラックチェリーやカシスなどの黒系果実のアロマがあり、色調も濃く、タンニンもしっかりと感じられるため、肉料理との相性が良い品種です。
グラスパロッサ
ランブルスコの品種のひとつ、グラスパロッサ種

●ランブルスコ・サラミーノ
果実味と酸味の調和が取れた品種で、渋みや香りに関しても、ソルバーラ種とグラスパロッサ種の中間的な立ち位置です。さまざまな食事と合わせやすいバランスの取れたスタイルが多い品種です。サラミーノ種は元々ブドウの房がサラミの形状に似ているところから名付けられたといわれています。

ランブルスコの産地

ランブルスコの生産地は、イタリアで最も長い河川として知られるポー川の下流域、イタリアのエミリア・ロマーニャ州とロンバルディア州の州境にまたがっています。7つのエリアがDOC(原産地呼称)として認められ、指定された特定の地域以外で生産された場合は、「ランブルスコ」と名乗ることはできません。ここでは、ランブルスコの産地として知られる7つのDOCについて簡単に解説します。
ランブルスコmap
●モデナDOC
モデナ全域を含むエリアで、サラミーノ種、ソルバーラ種、グラスパロッサ種というランブルスコの3種の品種を扱うことができます。ランブルスコの主要産地として知られています。

●ソルバーラDOC
モデナの北側に位置するエリアで、ソルバーラ種が主要品種とされています。 最高品質と評される、飲みごたえのあるフルボディのランブルスコが造られています。

●グラスパロッサ・ディ・カステルヴェトロDOC
モデナの中心部〜南部に位置する小さなワイン産地で、グラスパロッサ種が主要品種です。タンニンがしっかりとしたフルボディのランブルスコが造られています。
モデナ州カステルヴェトロ近くのランブルスコ・ビンヤーズ
モデナ州カステルヴェトロ周辺のランブルスコの畑

●レッジアーノDOC
レッジョ・エミリアの全域を含むエリアにあたり、モデナDOCと並ぶ一大産地にしてイタリア最大のランブルスコ生産地。サラミーノ種、グラスパロッサ種、マラーニ種、アンチェロッタ種を扱うことができ、カジュアルな甘口タイプが多い。

●サラミーノ・サンタ・クローチェDOC
ソルバーラ村の西側に位置する産地で、サラミーノ種を90%以上使用したランブルスコが主流です。甘口からドライなタイプまで、幅広いランブルスコが造られています。

●マントヴァーノDOC
マントヴァーノはロンバルディア州の南東部にあたる産地で、主に辛口ですっきりとしたランブルスコが特徴です。マントヴァーノ種のみ使用できます。

●コッリ・ディ・スカンディアーノ・エ・ディ・カノッサDOC
レッジョ・エミリアの中心に位置するエリアで、スカンディアーノの丘陵地帯を中心とする小さな DOC です。イタリアのデザートワイン「パッシート」の産地でもあります。

ランブルスコの種類

ランブルスコを選ぶ際に知っておきたいのが「残糖度*」です。以下の表ように、ランブルスコには辛口から甘口まで幅広い種類があります。

*ワイン中に内在する糖分のことで、ワインの甘さを示す単位。

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ランブルスコの種類

表記 味わい 残糖度 特徴
Secco(セッコ) 辛口 ~15g/L 残糖度が低く、すっきりとしたドライな味わいが特徴。ピザやパスタ、肉料理などさまざまな食事と合わせやすいです。
Semi Secco
(セミ・セッコ)
Abbocato
(アッボッカート)
中辛口 12~32g/L セッコとアマービレの中間で、バランスの良い味わいです。食前酒として楽しむのにもぴったり。
Amabile
(アマービレ)
中甘口 30~50g/L フルーティーでほんのり甘さを感じるタイプ。ワインに飲み慣れていない方でも美味しく飲める親しみやすい味わいです。
Dolce(ドルチェ) 甘口 45g~/L デザートワインとしても楽しめる、しっかりとした甘みが特徴。食後酒としても◎

注意点としては、辛口のセッコは残糖度に幅があることです。6g/L以下であればドライな辛口といえますが、6-15g/Lある場合は辛口というよりは少し甘めのニュアンスが感じられるでしょう。同じセッコの表記でも残糖度によって味わいが大きく変わりますので、購入前にショップにいるソムリエや専門店スタッフに確認することをおすすめします。
 

ランブルスコのおすすめペアリング

ワインに合わせる料理
ランブルスコは、その多彩な味わいと軽やかな飲み口から、さまざまな料理に合わせて楽しむことができます。ランブルスコの種類別に、おすすめのペアリングを紹介します。

▼横スクロールでご覧ください

料理との相性

<Secco(セッコ)>
辛口/ライトボディ 生ハム、エスニック系料理、パルミジャーノ・レジャーノなどの塩味の強いチーズを使った料理
辛口/フルボディ ボロネーゼ、ラザニア、ミートボール、カツレツといったボリューミーな肉料理
<Semi Secco(セミ・セッコ)/Abboccato(アッボッカート)>
中辛口 ハンバーガー、パスタやピザ、鶏肉料理
中甘口 サラミ、バーベキューや甘めのソースを使った料理
<Amabile(アマービレ)、Dolce(ドルチェ)>
甘口 フルーツタルトやクリーム系のデザート、チーズなど

ランブルスコのまとめ

ランブルスコの魅力は、大きく以下三つのポイントといえるでしょう。価格もリーズナブルで飲みやすく、料理との相性も抜群。ワインビギナーにとっても挑戦しやすいワインです。

1.リーズナブル
ランブルスコは非常にコストパフォーマンスが高く、大量に収穫できる品種を使うため、リーズナブルに購入できるのが魅力の一つです。1,500円前後で購入できるものが多く、高価なものでも3,000円ほどで、手が出しやすいワインといえます。

2.ドリンカブル
産地もいろいろあり、甘口から辛口まで多彩な味わいが楽しめます。全体的に果実味があり、軽やかな微発泡が心地よく、飲みやすいのが特徴です。普段ワインに飲み慣れていない初心者でも親しみやすい味わいが魅力です。

3.フードフレンドリー
エミリア・ロマーニャ州は「美食の都」と呼ばれるほど食文化が豊かなエリア。名物として知られるボロネーゼ、ラザニア、パルミジャーノ・レッジャーノ、パルマ産生ハムなど、さまざまな料理と合わせやすいワインです。前述したように、残糖度の違いによって、多種多様な料理と上手にマッチします。

産地や品種をすべて覚えるのは大変なので、まずは「辛口=セッコ、甘口=ドルチェ」といったワインのエチケット表記をおさえるだけでもセレクトしやすくなります。甘めや辛め、合わせる料理のスタイルなど、いろいろな種類のランブルスコを試して、自分好みの一杯を見つけてはいかがでしょうか。

※記事の情報は2024年8月29日時点のものです。
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