ワインの銘柄で見かける「キュヴェ」とは? 語源や意味、店での見方などソムリエが解説します
ワインやシャンパンの銘柄に見られる「キュヴェ」の表記にはどのような意味があるのでしょうか。言葉の由来や、「キュヴェ」と呼ばれるワインが持つ特徴、ワイン選びへの活かし方などをソムリエがわかりやすく解説します。
キュヴェの語源や意味は?
発酵タンク(キューヴ)は、タンクごとによって酵母の状態や発酵の進み具合が違うため、味わいもそれぞれ異なります。そのなかでも特に上質なもの、特別なものに「キュヴェ」とつけるようになりました。
ワインにおけるキュヴェとは?
また、「キュヴェ 〇〇」や「〇〇 キュヴェ」といったように、キュヴェの前後に文字が入るパターンもよくあります。たとえば「Grand Cuvée(グラン キュヴェ)」や「Cuvée de Prestige(プレステージ キュヴェ)」、「Cuvée Reserve(キュヴェ レゼルヴ)」などの表記が見られます。これらは他のキュヴェとは違う上位のキュヴェである場合に使われますが、名付けられる際の規定はないので、実際のところは生産者によって判断基準は異なります。
このような名称の場合だと、正直なところ購入する側には良し悪しがわからないキュヴェの名前もあります。とはいえ、区別を付けているという意味では良いワインであることはわかるので、複数のキュヴェを買ってみて飲み比べをしてみるといった楽しみ方ができます。
シャンパンにおけるキュヴェとは?
※アッサンブラージュとは、複数のぶどう品種をブレンドすることです
・プレステージ キュヴェの場合
シャンパンのなかには「プレステージ キュヴェ(Cuvée de Prestige)」といった表記をされるものがあります。「プレステージ」とは「威信」という意味で、「生産者が威信をかけて生み出したシャンパン」という意味合いになります。プレステージ キュヴェに使われる果汁は、ぶどうを圧搾して果汁にする際、一番搾りの果汁を使用してつくられた特別なシャンパンです。プレステージ キュヴェがついていると、生産者の名にかけて造られる最高級クラスのシャンパンであることが分かります。また、グランクリュ(特級畑)やプルミエクリュ(1級畑)に格付けされるような特別な味わいをもつ高級品にも「プレステージ キュヴェ」と表記されていることがあります。
プレステージ キュヴェと呼ばれるシャンパンの代表銘柄は主に以下が挙げられます。
●クリュッグ・グランド・キュヴェ
世界的にも知名度のあるクリュッグは、伝統的な製法で特別なプレステージ キュヴェだけを造り続けているメゾンです。クリュッグ グランド・キュヴェには、10年以上におよぶ収穫年から得た、120種類以上のワインがブレンドされています。複数年にわたるワインをブレンドすることで、単一年のワインでは表現できない豊かな味わいと香りが表現されています。
●ボランジェ・ラ・グラン・ダネ
ボランジェのプレステージ キュヴェである「ラ・グラン・ダネ」は、「偉大な年」という意味があり、ぶどうの質が特に優良な年のみに造られる特別なシャンパンです。ピノ・ノワールを主体にシャルドネをブレンドし、9年間の長期熟成による複雑なアロマと奥行きのある深い味わいが特徴です。
●ルイ・ロデレール・クリスタル
2世紀以上にわたって家族経営を貫くルイ・ロデレールのプレステージ キュヴェ「クリスタル」は、19世紀にロシア皇帝の要望から生まれたシャンパーニュで、世界中のファンを魅了しています。
・アッサンブラージュされていることを指す場合
シャンパンに使用されるぶどう品種であるシャルドネ(白ぶどう)、ピノ・ノワール(黒ぶどう)、ピノ・ムニエ(黒ぶどう)の中の複数を混ぜ合わせて造られるシャンパンに「キュヴェ」という文言を使用することがあります。▼あわせて読みたい
お店ではどう参考にすればよい?
シャンパンにおいては「プレステージ キュヴェ」と呼ばれるものは贈答品や特別な日にあけるのに最適です。もちろん価格も高いものが多いので、ショップのソムリエと相談して決めるのが良いでしょう。
大切な人への贈り物や記念日でワインを選びたい時などは、ぜひワインショップで「キュヴェ」の文字を探してみてください。
※記事の情報は2024年5月31日時点のものです。
- 1現在のページ