これなんだ? お酒グッズのクイズ ②

お酒に関係するアイテムなのですが、これは何でしょうか? ヒント:とある強いお酒を飲むときに使うものです。

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4つの蛇口から出てくるものは意外にもアレ

写真は、この物体を少し上から見下ろしたものです。よく見ると蛇口が4個ありますね。ということは、容器になっているところに何らかの液体が入っていて、それを蛇口から注ぐのでしょう。ヒント2:液体を入れる容器のところの大きさは、ソフトボールとハンドボールの中間ぐらいです。
4つの蛇口から出てくるものは意外にもアレ
ヒント3:この器具も一緒に使います。これでわかった人も多いかもしれませんね。

それでは、答えを発表します。


 

ピッ、ピッ、ピッ、ポーン。


答え


「アブサンファウンテン」

 


アブサンを飲むときに使う器具です。アブサンは、フランスやスイス、チェコなどで作られる蒸留酒。ニガヨモギなどの薬草を加えたリキュールで、アルコール度数は40から70度とかなり高めです。かつてヨーロッパで、その悪魔的ともいえる魅力にやられて中毒になる人が続出。ゴッホやロートレックといった芸術家もアブサンで身を滅ぼしたといわれ、これをご禁制品にした国も多かったそうです。

で、この器具ですが、全体像はこんな感じです。
全体像はこんな感じです。
ファウンテン=泉というからには、この蛇口からアブサンがじゃぶじゃぶ出てくる…と思いがちですが、違います。この器の部分に氷と一緒に入れておき、蛇口から注ぐのは、意外にも「水」。つまりアブサンファウンテンとは、アブサンに水を注ぐ専用ウォーターサーバーなのです。

アブサンは非常にアルコール度数が高いのと、水を加えると香りが立って味もまろやかになるために、水割りが好まれます。でも、たかが水を入れるだけでこんな大げさなの、いらないだろう…という気がしますが、この器具には理由があって、アブサンに含まれるニガヨモギの油は水と分離しやすく、均一に混ぜ合わせるために、水は一滴ずつ、ゆっくりと加える必要があるのです。
 
水を加えるときは、専用のアブサンスプーンに角砂糖を置き、そこに水滴があたるように、アブサンファウンテンの蛇口を小さく開けます。
水を加えるときは、専用のアブサンスプーンに角砂糖を置き、そこに水滴があたるように、アブサンファウンテンの蛇口を小さく開けます。ポタポタと落ちる水滴が角砂糖を溶かし、アブサングラスに注いだアブサンの中に一滴ずつ落下。緑色だったアブサンは水と反応してなめらかに白濁していきます。気長にひたすら待ち、5倍ぐらいに希釈したところでようやく飲むことができるというわけです。

たとえば、これをバーテンダーさんがスポイトでやってたら、他の仕事ができません。アブサンファウンテンは、アブサンの水割りには不可欠なツールなのです。
 
パリやプラハのカフェでは、テーブルの真ん中にこれがセットしてあって、アブサンが白濁していくのをじっと見つめながらみんなで語り合う
パリやプラハのカフェでは、テーブルの真ん中にこれがセットしてあって、アブサンが白濁していくのをじっと見つめながらみんなで語り合う、という光景が今でも見られるそうです。

ちなみに、アブサンスプーンに乗せた角砂糖にアブサンをしみ込ませて火をつける飲み方が、映画などによく出てきますが、あれはホントにやると危ないし、砂糖が焦げてカラメルの味が強くなるので、実際に火をつけて飲んでいる人はほとんどいないのだとか。

 

ご協力いただいたのは・・・

バー・ツール ナランハ 渡邊隼人さん

バー・ツール ナランハは、東京・板橋区にあるバー用品の専門店。広い店内がバーとお酒に関するグッズであふれている様は壮観です。渡邊さんには、不思議なみかけのグッズをたくさん紹介してもらいました。同店は不思議なことにジャグリング用品と風船の専門店でもあって、数学者のピーター・フランクルさんをはじめ、日本中、世界中のジャグラーが訪れる店としても知られています。

バー・ツール ナランハ 渡邊隼人さん
取材協力:バー・ツール ナランハ

※記事の情報は2018年3月22日時点のものです。
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