日本酒版シャブリ?牡蠣でおいしい日本酒を飲んでみた。
瀬戸内の自然を守るプロジェクトから生まれた日本酒を飲んでみました。
名古屋の酒類卸イズミックの青田が、いま注目のお酒の情報をバイヤー目線でお届けします! 今回は先日の記事でも取り上げられた、里海米という特別な米で造った純米吟醸酒「里海の環」をご紹介します。
牡蠣殻を使った土壌改良
日に日に肌寒く感じるこの季節、やっぱり日本酒が恋しいですよね、ということで今回は久しぶりに日本酒のご紹介です。ご紹介するのは今年の年初に訪問(取材記事はこちら)させていただき、大変お世話になりました梅錦さんの新商品「里海の環」です。
里海の環は里海米という、牡蠣殻を使って土壌改良した田んぼで栽培されたお米を原料に作った純米吟醸酒です。里海米の詳細についてこちらの記事でしっかりと書かれしまっているため、私の出番はないので割愛しますが、要は人工的に石灰質の土壌を作り米を栽培し、その米で日本酒を造ってみたよ、ということですね。おそらく最初は食用米をメインでプロジェクトを始めたことだとは思いますが、あえて酒米である「雄町」を栽培したところが肝です。実際に山梨のワイナリーでも、ヨーロッパのような石灰質の土壌に近づけるため、貝殻を使用し畑の土壌改良をしている例もありますので、酒米でもこういうチャレンジは大いにありだと思います。
と、謎の上から目線で説明させていただいたところで、早速お楽しみの試飲タイムにいってみたいと思います。
飲んでみた。
では試飲タイムです。グラスに注ぐと米の甘く芳醇な香りがします。やわらかな口当たりに、しっかりとした米の旨味、ほんのり酸味も感じます。冒頭でも触れたように梅錦さんには以前お伺いした(こちらの記事です)ことがあるのですが、酒質のイメージとしてはもう少し甘味が強い印象があったので、また新たな一面を見た気がします。
お次はせっかくなのでペアリングも試してみましょう。
というわけで用意したのは牡蠣。牡蠣殻の土壌ですもの牡蠣に合わないわけがないでしょう。牡蠣に合うワインといえば「シャブリ」が有名ですが、このシャブリの土壌は太古の貝殻の化石が多く発掘されるキンメリジャンと呼ばれる石灰質の土壌。この土壌にはミネラルが多く含まれるため、ミネラルが豊富で牡蠣に合うワインが生まれます。対して、この里海米の土壌も牡蠣殻を使うことで、ミネラルやカルシウムが豊富が豊富に含まれています。ならば牡蠣に合わないわけがなかろうもん、という理屈です。
今回は行きつけのちょっとお高めのスーパーに偶々、殻付の生牡蠣(残念ながら岡山の牡蠣ではなく広島の牡蠣です。)がいらっしゃったのでこちらを合わせます。合わせてみると予想通りというか当然のように合います。もともと日本酒と魚介は相性は良いので、合うのは当たり前なんですが、こちらはほのかな酸味が牡蠣のもつミルキーな味わいをより引き立て、後味に生臭さを残すこともありません。より牡蠣に合う日本酒ですね。ちなみにたまたま家に美山錦で造った長野の日本酒があったので比べてみましたが、断然こちらの里海の環のほうがマッチしました。海のものは海に近い蔵の酒、山のものは山の蔵の酒とはよく言ったものです。
今回はシンプルにペアリングしたかったので生牡蠣を合わせましたが、焼きでも蒸しでもフライでもよく合うと思うので、お好きなスタイルで楽しんでいただければと思います。瀬戸内のロマンの詰まった1本、ぜひ瀬戸内の魚介にあわせて家飲みでお楽しみください。
梅錦 里海の環【商品概要】
- 産地:愛媛県
- アルコール度数:15.3度
- 原材料:雄町(里海米)、米麹
- 容器 / 容量:瓶/ 720ml
- 参考小売価格:1,500円(税別)
- 製造元:梅錦山川
※記事の情報は2018年11月19日時点のものです。