カバラン 私のテイスティング・ノート vol.2
カバラン・ブランドアンバサダー 櫻井悠奈さん
台湾発、全世界で注目を浴びる魅惑のシングルモルトウイスキー、カバラン。ブランドアンバサダーの櫻井悠奈さんに、カバランの魅力や楽しみかたを訊いてきました。
ー いま、カバラン・ブランドアンバサダーとしてセミナーで講師をされていらっしゃいますが、受講されている方々の反応はどうですか。
櫻井 セミナーでは、カバランとはどんなウイスキーか、蒸留所の人たちはどういう気持ちでウイスキーを造っているのかなどをお話しています。参加されるのは一般の人でウイスキーの経験値もいろいろですから、反応はさまざまです。まず日頃ウイスキーを飲み慣れている皆さん。たいてい30代から40代以上の男性ですが、カバランのお話をして、飲んでいただくと、たいていの人はびっくりされます。この短い年数でここまでの熟成感。スコッチなら12年とか18年とか熟成させるのにカバランは4年から8年です。その年数でこんなにまろやかな味わいの、美しい琥珀色のウイスキーができることに驚かれるようです。それから、ウイスキーは寒い国でしか造れないと思っていたのに台湾でこんなに魅力的なものができるという驚きです。
ー やはりそこは驚かれるようですね。一方で、ウイスキーを日ごろあまり飲んでいない皆さんはどうですか。
櫻井 女性の多い企業にセミナーに行ったこともあります。ウイスキーをストレートで飲むのは初めてという人がほとんどでしたが、意外なことに、そうした「ウイスキー初心者」でも、カバランは「飲みやすい」と言ってくださいます。慣れない人がストレートでウイスキーを飲むと、たいてい辛いとかピリピリするなどと言われますが、カバランではそういうことはないんです。特にカバラン クラシックやカバラン ディスティラリー セレクトはバランスが良く飲みやすいので、好評でした。それでもストレートはきつい、という人もいますが、まず同量の常温の水を加えて飲んでいただいて、冷たいほうがいい、という人には氷を加えるという方法で、たいていの人にすんなりと飲んでいただけます。
ー 櫻井さんご自身がはじめてカバランを飲まれたときは、どのように思いましたか?
櫻井 はじめて飲んだのは、一昨年の東京バーショーです。スコッチはよく飲んでいるので、スコッチと比較して、ごく最近蒸留所ができてばかりのウイスキーで、熟成年数は若いのにこんなに熟成感のあるウイスキーができること、しかもそのときですでに10種類以上のボトルが出ていたのですから、そんなに短期間でこんなに作れるの、とホントに衝撃でした。
ー ブランドアンバサダーになられて、昨年と今年、蒸留所にも行かれて、カバランのいろいろなことを知ったと思いますが、印象深かったのはどのようなことですか。
櫻井 ご縁があってアンバサダーに任命いただいて、蒸留所を見させていただきましたが、驚きの連続でした。まずはその気候です。暖かくて夏が長い。11月でもジャケットは要りませんでした。ウイスキーに適していると言われるスコットランドや北海道の余市は寒いところです。バーボンの蒸留所があるアメリカの東南部も比較的暖かいと思いますが、カバランではバーボンのような力強く荒々しいウイスキーではなく、繊細な味わいのものができる。すごく研究しているなと思いました。それから、自然の豊かさです。首都の台北とは全然違う環境で、空気もきれい、雪山山脈の軟水に近い水が手に入る。これは絶対おいしいウイスキーが作れる環境だなと思いました。
ー 蒸留所内部はいかがでしょう。
櫻井 蒸留所は、大規模でとても設備が整っています。蒸留工程では、20機のポットスチルがシングルモルトの原酒を造り出していますが、この原酒づくりにすごくこだわっている。ウイスキーの蒸留ではたいてい、蒸留工程の開始時と終わりごろのアルコールは使わず、工程の真ん中あたりだけを使うのですが、カバランはごく一部の真ん中部分だけしかとらない。スコッチが25%くらいなのに対して、カバランでは10%くらいしか使わないというくらい、原酒にこだわっているんです。樽もいい樽だけを厳選して買い付けして、樽の加工も外部業者に任せるところが多いのですが、カバランは蒸留所内ですべてやっています。貯蔵庫もすごく広くて、増産に耐え得る大きさです。
ー 櫻井さんから見て、カバランの魅力は何でしょうか。
櫻井 ひとつひとつのボトルもとても魅力的なのですが、一番はその魅力的なウイスキーが集まって、いま19種類のバラエティーに富んだラインナップになっていることです。バーボン樽やシェリー樽はもちろん、ブランデーやポートワインなど樽の種類が多彩です。シェリー樽にしても、一般的にウイスキーの熟成に使うシェリー樽はオロロソかペドロヒメネスが主ですが、シェリーは実際はもっと種類豊富で、10種くらいに細分化されています。カバランはフィノやマンサニージャなど多彩なシェリー樽での熟成にチャレンジして、カバランならではの味わいを生み出しています。定番のバーボン樽にしても、一度バーボン樽で熟成させた後に新樽に詰め、バニラやキャラメルを感じさせるようなウイスキーに仕上げるなど、バリエーションは本当に豊かです。
ー 樽の違いで、味わいは全然違うものですよね。
櫻井 全く違うものになります。カバランの原酒はいま、基本的に一種類だけです。味わいの違いはすべて樽と熟成期間で決まります。樽ってこんなにすごいんだ、ということを改めて感じます。原酒が赤ちゃんだとしたら、同時に生まれた赤ちゃんが別々の学校に通って個性豊かに育つようなものでしょうか。特にソリストシリーズは全てシングルカスクで、全部のボトルにバッチナンバーがついています。単一の樽からボトリングしているので、ナンバーによって微妙な味わいが違ってきます。これはおいしい、最高、という出会いがある。そのなかか自分の最高の一本を探し出す、そんなこのうえない楽しみがあります。ソリストシリーズだけでなく、実はカバラン クラシックなどカバランシリーズも、少しずつ、さらに美味しく変化しているんですよ。
ー そうなんですか。スコッチの蒸留所だったら「全く変えない」ことを信条にしていますよね。
櫻井 カバランはまだ開設から13年ですから、熟成感や飲みやすさなど、まだまだ向上の途上にあります。樽も育っているし、熟成年数も上がってきています。いま飲むカバラン クラシックは、昔飲んだのと違うのかもしれない。いま飲んだカバランを忘れないようにしてください。次はもっとさらに美味しいカバランに出会えることを大いに期待していただきたいと思っています。
ー お店にいらっしゃるお客さまにも、個性豊かなカバランの世界をぜひ体験していただきたいですね。
櫻井 そうですね。いま、うちにはウイスキーを知りたい、という20代のお客さまがとても多くいらっしゃるようになりました。ウイスキーファンは確実に広がっていますよ。私は、お客さまそれぞれの「好き」「美味しい」を探すのが仕事だと思っています。はじめから一種類にこだわるのではなくて、最初のうちはいろいろ試して、本当に自分にあったお酒をみつけていただきたいんです。個性が豊かで、自分のお気に入りを見つけるのがとても楽しいのがウイスキー。カバランは、それをひとつのブランドのなかだけで実現できてしまう魅力あふれるブランドなので、そういう観点でもぜひご紹介したいです。
お客さまの「好き」のために。バーテンダーになりたてのころは寝る暇も惜しんで酒類関連の書籍を読み、同店にある800種類のボトルは全て試飲したという櫻井さん。奥深い世界が広がるカバランのブランドアンバサダーは、探求心に満ちた櫻井さんにとってピッタリの役割のようです。櫻井さん、お忙しいなか貴重なお話をお聞かせいただき、本当にありがとうございました。
櫻井さんが選んだカバラン
カバラン ソリスト
フィノ シェリー カスクストレングス
Tasting Note
〈タフィー、ファッジ、すっきりとした甘さ。カバラン特有のトロピカルフルーツの感じは全体にある。繊細なフィノシェリーカスク。ただしカバラン独特のパンチ力、重厚感も残しているので飲んでいてとても面白い〉「複雑味がある美味しいウイスキー。こういうシェリーカスクがあるんだなと再発見です。もう一杯いこうかなと思わせる、飲み飽きない味わいです」
店名から想像できるように、「シェフ」として料理もできるバーテンダーさん(桜井さんもその一人)がいるバー。常時約70品目の料理を提供し、ウイスキーやラム等とご一緒に料理を楽しめる。10メートルのロングカウンター、ゆったりとした白いソファー、800を超えるボトル、席数60席の 大人のためのオーセンティックバー。カバランの品揃えも豊富。
住所:〒141-0022 東京都品川区東五反田1-17-7 大宗五反田ビル 5F
電話:03-6450-4237
営業時間:月~土 18:00~5:00
定休日:日曜日
カバランに関するお問い合わせ
リードオフジャパン株式会社
03-5464-8170(代表)
107-0062東京都港区南青山7-1-5 コラム南青山2F
http://www.lead-off-japan.co.jp/
※記事の情報は2018年11月20日現在のものです。
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