鹿児島おでんと燗酒の楽しみ方〈燗酒ステーション「ご当地おでんに燗酒~両国駅で飲みましょう」その②〉

紀文の「ご当地おでん」シリーズに合う燗酒はどんなタイプ?

メインビジュアル:鹿児島おでんと燗酒の楽しみ方〈燗酒ステーション「ご当地おでんに燗酒~両国駅で飲みましょう」その②〉

両国駅まぼろしの3番線ホームで燗酒

全国の酒蔵が燗酒に向く酒を出品する全国燗酒コンテスト。今年は838点の応募があり最高金賞43点、金賞219点を選出しました。この入賞酒をおでんと一緒に楽しむイベントを来年の1月17日から1月20日まで、JR両国駅のまぼろしの3番線ホームで開催します。 毎日、酒蔵10蔵がブースを出店し、入賞したお酒を燗でご提供します。試飲券10枚とお好みのご当地おでん1人前がついて2000円(税込)です。ホームには撮影スポットとしてコタツもあります。どうぞ、お誘い合わせてお越しください。
詳細とお申し込みはこちらをどうぞ。 
ご当地おでんで燗酒チラシ

手軽に楽しめる「ご当地おでん」パック

というわけで今回は、ご当地おでんと燗酒のお話です。まずは、ご当地おでんについて少し説明します。

全国各地にはさまざまな味のおでんがあります。関東風は鰹と昆布の黄金色のだしで、練りもの、大根、昆布、こんにゃくなどを煮込みます。静岡おでんは醤油味で牛筋など肉系の出汁が加わり、具材は黒はんぺんが特徴です。削り粉(鰹節などの粉末)や青海苔を振りかけて食べることが多いようです。名古屋は八丁味噌ベースで甘辛く煮込んだおでん、そして赤みそと唐辛子仕立てのピリ辛のおでんが人気です。鹿児島は白みそを使った甘口のおでんで、豚骨スープを使うところもあります。

食べ比べてみたいと思う方も少なくないと思いますが、お店には1種類のおでんしかないので、意外と食べ比べられる機会はありません。それを解決してくれるのが紀文食品のレトルト「ご当地おでんシリーズ」です。そのままお湯で5分加熱するだけ。お好みで具材をプラスしてランクアップさせることもできます。
紀文のレトルトおでん。一人前ずつ袋に入っているのがうれしい。「だし自慢 一人前おでん」は関東風。名古屋の「赤から」「味噌煮込み」、「静岡おでん」、「鹿児島風おでん」の5つの味が楽しめる。燗酒ステーションではこの中のひとつを選んで、おいしい燗酒と一緒に味わっていただきます。有料ですが別のおでんも試せます(各500円)
紀文のレトルトおでん。一人前ずつ袋に入っているのがうれしい。「だし自慢 一人前おでん」は関東風。名古屋の「赤から」「味噌煮込み」、「静岡おでん」、「鹿児島風おでん」の5つの味が楽しめる。燗酒ステーションではこの中のひとつを選んで、おいしい燗酒と一緒に味わっていただきます。有料ですが別のおでんも試せます(各500円)
ご当地おでんを袋から出すと中はこんな感じ。それぞれスープが違うことがよくわかる
ご当地おでんを袋から出すと中はこんな感じ。それぞれスープが違うことがよくわかる
調理は簡単。鍋にお湯を沸かしたら袋のまま5分加熱するだけ。鍋に移して加熱しても、器に盛り付けて電子レンジで温めても大丈夫
調理は簡単。鍋にお湯を沸かしたら袋のまま5分加熱するだけ。鍋に移して加熱しても、器に盛り付けて電子レンジで温めても大丈夫

鹿児島おでんに「すこし甘めの純米」

今回、私が試したのは「鹿児島おでん」。これは初めて食べました。九州の醤油や味噌は砂糖っぽい甘さが残ることが多いですが、この出汁は後味がさっぱりしています。最初に甘みが来たあと、口のなかにほとんど残りません。

では最初に鹿児島名物の「イワシ入り棒天」からいただきます。プリプリ、シコシコした食感が気持ちいいひと品です。黒糖と焼酎を使っていると書いてありますが、甘い感じはありません。燗酒がぐいぐい進みました。

二品目は「さつま揚げ」。これも黒糖と焼酎をつかっています。先ほどの「棒天」に比べると、柔らかくて種の甘みを強く感じます。甘みが強いのでドライな焼酎のお湯割りが欲しくなりました。

出汁をしっかり吸ったこんにゃくと大根は、少し甘めのボディがある純米酒の燗が合いそうです。辛口の酒でサラッと出しを流すのもよいのですが、酒の甘みと出汁の甘みが釣り合うと、味が一体化して膨らみます。 卵は白身がふっくらしていて、ちょっと上から目線な言い方ですが、レトルトおでんを見直しました。もっと煮締まったように固くなっていると想像していました。
鹿児島おでんは白みそ仕立て。肉系の出汁のコクがあり甘い口当たり
鹿児島おでんは白みそ仕立て。肉系の出汁のコクがあり甘い口当たり
これが名物「鰯入り棒天」。歯触りが抜群によかった
これが名物「鰯入り棒天」。歯触りが抜群によかった
鹿児島と言えばさつま揚げ。この具材のなかでは甘みが一番強かった
鹿児島と言えばさつま揚げ。この具材のなかでは甘みが一番強かった
こんにゃくも出汁が沁みて上々の味わい。食感もしっかり
こんにゃくも出汁が沁みて上々の味わい。食感もしっかり
大根はどうしても軟らかくなってしまう。出汁をたっぷり吸っています
大根はどうしても軟らかくなってしまう。出汁をたっぷり吸っています
卵は食感もよく、味もおいしくレトルトおでんは侮れない(ピンボケでごめんなさい)
卵は食感もよく、味もおいしくレトルトおでんは侮れない(ピンボケでごめんなさい)

燗酒に出汁をちょい足し! 仕上げの「出汁割り」

さて、豚骨入りの白みそ仕立ての鹿児島おでんには、少し甘めの燗酒がよく合いましたが、仕上げに試してみて欲しいのが、燗酒に汁をちょい足しする出汁割りです。フグひれ酒やイワナの骨酒を飲んだことがある方はわかると思いますが、これらは日本酒ベースのお吸い物のような味わいです。生臭みが気にならないようにチンチンに熱くして、ふうふう言いながら飲むのは、酒というよりも吸い物に近いわけです。日本酒がほんらいもっているうま味成分に、酒でフグひれやイワナの骨のうま味が引き出されて、濃厚な出汁の吸い物のようになります。おでんの出汁で日本酒を割ると、うま味とうま味の相乗効果でそれはおいしさが倍増します。鹿児島おでんの出汁割りは濃厚で、冷めてきてもフグひれ酒のように臭みが気になりません。ただ、ぬるいと塩気を強く感じるので、熱いうちに楽しむのがおすすめです。
私の好みは酒3に汁1くらい。逆に酒1汁3くらいで、ほんとうに吸い物感覚で飲むのがおいしいという人も
私の好みは酒3に汁1くらい。逆に酒1汁3くらいで、ほんとうに吸い物感覚で飲むのがおいしいという人も

比較のために同じ紀文食品のレトルト「だし自慢一人前おでん」も試してみました。澄んだ汁の関東風のおでんです。食べ慣れた味で安心感は抜群。軽い味わいなので軽めの酒を燗してもよく合います。 もちろん出汁割りもグッド。どうぞお試しください。
鹿児島おでんと具材の半分は共通だが、出汁と味付けで印象はがらりと変わる
鹿児島おでんと具材の半分は共通だが、出汁と味付けで印象はがらりと変わる
「だし自慢一人前おでん」の出汁割り
「だし自慢一人前おでん」の出汁割り

  

さけ通信』は「元気に飲む! 愉快に遊ぶ酒マガジン」です。お酒が大好きなあなたに、酒のレパートリーを広げる遊び方、ホームパーティを盛りあげるひと工夫、出かけたくなる酒スポット、体にやさしいお酒との付き合い方などをお伝えしていきます。発行するのは酒文化研究所(1991年創業)。ハッピーなお酒のあり方を発信し続ける、独立の民間の酒専門の研究所です。

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※記事の情報は2018年12月22日時点のものです。
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