うまさ溌剌! 日本酒ソーダ割り その2
日本酒ソーダ割りの実飲レポート第2弾。今回は少しグレードの高いお酒でもチャレンジしました。
すごい酒をソーダで割ります
1つ目は全体の味のボリュームが大きくて味わい豊かな『西の関 純米酒』(萱島酒造・大分)です。濃醇なのにくどさが残らない、関さば、関あじ、城下かれいにフグと、おいしい食材とともに育った酒です。
2番目は『西の関』の対極にある『越後杜氏 本醸造』(金鵄盃酒造・新潟)。新潟らしい淡麗辛口ですがきちんとうま味があります。するすると軽快にテンポよく飲める酒で、最近はやりのジューシーな酒と違って、落ち着いていただけます。
3番目は『瑞穂 黒松 剣菱』(剣菱酒造・兵庫県)です。地元兵庫の山田錦をぜいたくに使い山廃もとで仕込む剣菱のなかでも、2年以上熟成した酒のみをブレンドした一品。濃醇で複雑な味わいです。 ここまではお察しのとおり、燗をしてうまさがぐんと増すタイプ。燗酒で飲むのを想像するだけで口の中に涎が……。でも、我慢。今日はソーダ割りです。
4番目は『いづみ橋 生もと 純米吟醸 生原酒』(泉橋酒造・神奈川)です。冬季限定のフレッシュなタイプですが、濃醇で辛いなかに酸味がある輪郭のはっきりした酒です。この蔵元は自分で酒米を栽培していることでも知られています。海老名駅から歩ける距離ですし、直営レストラン「蔵元佳肴」は絶品のペアリングコースを楽しめます。
そして最後は『澤乃井 大吟醸』(小澤酒造・東京)です。ここはJR青梅線の沢井駅から歩いて5分ほどのところにあり、公共交通機関でアクセスしやすい酒蔵です。多摩川の流れを見ながらおいしい料理をいただける「ま々ごと屋」はこの蔵の直営レストラン。酒蔵見学も受け入れています。
西の関 手づくり純米|ソーダで割っても崩れない
そして思い切ってソーダで1:1に割ってみます。アルコール度数は7~8度に下がりましたが、甘みと酸味のバランスは崩れず、軽快にまとまって、チリチリと炭酸の刺激を感じます。う~む、これはこれでうまい。2倍に薄めても、味の輪郭そのものが変わらないのは驚きです。
越後杜氏 辛口 本醸造|酸がかたちをつくる
室温で試すと吟醸的な上だち香はほとんどなく、柔らかい口当たりでスーッと舌に乗ってきます。辛口なのにうま味があり、ああ、新潟の淡麗辛口というのはこんなスタイルだったと思い出しました。ぐいぐい飲んでも飲み飽きない、酒飲みに好まれそうな味わいです。アルコール度数は15度~16度と表示されています。
ソーダで1:1で割ってみると酸が後ろからしっかり支える感じで、シャバシャバにはなりません。ほのかにうま味があってきれいにフィニッシュしました。おいしいプレーンのチューハイの日本酒版という感じ。
瑞穂 黒松 剣菱|ソーダで熟成が香り立つ
ソーダで1:1で割ってみました。熟成した甘い香りが強調され、洋菓子店を思い出します。味わいはしっかりしたままで、やさしくきれいな甘みが広がります。室温では重たく感じた酸味が柔らかくなって残り、ソーダの刺激と酸味が舌の脇を心地よく刺激します。これはソーダ割りでもばっちりです。
いづみ橋 生もと 純米吟醸 生原酒|フレッシュ&テイスティ
この酒はソーダで割ると表情が一変しました。フレッシュさが際立って、甘く重かった味わいが軽くドライな印象に変わりました。そしてアフターに甘みが戻ってきます。アルコール度数は17度ですから1:1で割って8~9度です。
澤乃井 大吟醸|上品すぎるソーダ割り
こんな酒をソーダで割るのはもったいないと思いつつ1:1で割ってみます。甘い香りが強調され、味わいはとても上品です。ほんとうに上品としか言えません。甘みも香りも野暮ったさがまったくなく、おいしい大吟醸はどう飲んでもうまいのだと思ったのでした。
と、今回はテイスティングレポート風にまとめてみました。今回感じたことは、しっかりつくってある酒はソーダで割ってもしっかりしているということでしょうか。
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