酒好きほぼ100人に聞いた「世界遺産にしたい酒」は?

お酒に関連した世界文化遺産は世界中に多数ありますが、あなたはいくつ知っていますか? 酒好きほぼ100人に、世界遺産にしたい日本の酒文化についてもアンケート。果たして結果は…?

メインビジュアル:酒好きほぼ100人に聞いた「世界遺産にしたい酒」は?
フランシスコ・ローマ教皇が来日し、世界文化遺産に認定された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」をはじめ広島、東京など歴訪されました。今回の訪日とユネスコの世界文化遺産登録は直接の関係はありませんが、登録されると多くの人の関心をひき、その文化の周知と理解を促すことはたしかでしょう。

ちなみに酒関連の世界文化遺産も海外に多数あります。あなたはいくつご存じでしょうか? 今回の、酒好きほぼ100人に聞く「酒飲みのミカタ」は、世界文化遺産に認定されている酒についてお聞きしました。

世界遺産「和食:日本人の伝統的な食文化」は7割が認知

アンケートでは次の酒関連の世界文化遺産を列記して、ご存じのものを選んでもらいました。
・フランス ボルドーのサン・テミリオン地区の歴史的建造物とブドウ畑(1999年)
・ポルトガル アルト・ドウロ・ワイン生産地域(2000年)
・ハンガリー トカイワイン産地の文化的景観(2002年)
・イタリア オルチャ渓谷の美しい景観(モンタルチーノなど著名なワイン産地がある 2004年)
・メキシコ リュウゼツラン景観とテキーラ村の古式産業施設群(2006年)
・スイス ラヴォー地区の葡萄畑(2007年)
・ジョージアの クヴェヴリ(土中の甕で醸す伝統製法)によるワイン文化(2013年)
・イタリア ピエモンテの葡萄畑の景観:ランゲ・ロエロ・モンフェッラート(2014年)
・フランス シャンパーニュの丘陵、メゾンとカーヴ(2015年)
・フランス ブルゴーニュのブドウ畑のクリマ(2015年)
・ベルギー 多彩なベルギーのビール文化(2016年)
・日本 和食:日本人の伝統的な食文化(2016年)*酒も一部含まれると考えリストアップしました
・イタリア プロセッコ・ディ・コネリアーノ・ヴァルドッビアーデネの丘の丘陵(イタリアの発泡性ワイン産地 2019年)
*( )の年号は登録年
酒関係の世界文化遺産で知っているものアンケート結果
たくさんの酒関連の世界文化遺産があるなかで、トップは「和食:日本人の伝統的な食文化」でした。認知度は群を抜き7割にのぼります。

選定のポイントは「多様で新鮮な食材と素材の味わいを活用」「バランスがよく、健康的な食生活」「自然の美しさの表現」「年中行事との関わり」です。ちなみに11月24日は「和食の日」です。
11月24日は和食の日
和食文化会議ホームページより
2位は「ボルドーのサン・テミリオン地区の歴史的建造物とブドウ畑」、3位は「シャンパーニュの丘陵、メゾンとカーヴ」、4位は「ブルゴーニュのブドウ畑のクリマ」とフランスのワイン関係のものが占めました
ドンペリニヨン修道士
シャンパーニュ地方
最高級のスパークリングワインを産するシャンパーニュ地方。冷涼な気候のなかでの農業、そしてワインづくりがたどり着いた姿だ
ベルギービールの蔵
多様なベルギービールはビールでは唯一に登録されている(写真:ベルギー観光局)
プロセッコブドウ畑
今年、世界文化遺産に登録されたプロセッコ産地。斜面に広がるプロセッコのブドウ畑などの景観が評価された(写真:Prosecco Superiore DOCG)

「麹を利用した日本の発酵食品文化」を世界遺産に

次に世界文化遺産にしたい日本の酒文化について、前問と同様にたくさんの例を挙げて選んでもらいました。最も多かったのは「麹を利用した日本の発酵食品文化」です。日本は発酵食品が発達していますが、基になっているのは麹菌です。清酒や本格焼酎・泡盛は麹菌を利用して穀物を糖化してつくります。味噌・醤油・酢もそうです。

続くのは「琉球の泡盛と古酒づくりの文化です。泡盛は琉球王朝が長く古酒を育んできました。独特の「仕次ぎ」という熟成の仕方は、今、一般の民間の愛好家たちに引き継がれています。
世界文化遺産にしたい日本の酒文化アンケート結果
半分土に埋められた甕で熟成する泡盛(山川酒造)
半分土に埋められた甕で熟成する泡盛(山川酒造)
3位以下はそれほど大きな差はありませんでしたが、外来の酒であるウイスキーがランクインしたのは少し意外でした。「ひとつの蒸溜所で多彩なモルト原酒をつくる日本のウイスキーづくり」が21%の方から支持されました。

たくさんの蒸溜所があり、必要なモルト原酒を外部から調達できたスコットランドと異なり、日本ではすべてのモルト原酒を自社でつくらなければなりませんでした。ジャパニーズウイスキーが世界的に高く評価されるようになった理由のひとつと言えましょう。
サントリー山崎蒸溜所
日本のウイスキーづくりの原点であるサントリー山崎蒸溜所

「スコットランドのウイスキー蒸溜所群」を世界遺産に

最後に海外の酒で世界遺産にしたいものを選んでもらいました。
世界文化遺産にしたい海外の酒文化アンケート
予想通りではありますが、「スコットランドのウイスキー蒸溜所群」が圧倒的な1位となりました。ワイン産地が多数認定されていることからすると、ウイスキーでひとつも認定されていないのは違和感がある方が少なくないということでしょう。
スコットランド アイラ島のボウモア蒸溜所
スコットランドには100以上のウイスキー蒸溜所があり、近年は次々に新興のクラフトディスティラリーが誕生している。写真はアイラ島のボウモア蒸溜所
ビールもベルギービールしか世界文化遺産に認定されていません。2位に入ったバイエルン地方のビール文化を推す声があるのは当然のことでしょう。10月のオクトーバーフェストには世界中から大勢のビールファンが集まり大宴会となります。
ミュンヘンのオクトーバーフェスト
ミュンヘンのオクトーバーフェスト。これをモチーフにしたビアイベントが日本でも各地で開催されている

  

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※記事の情報は2019年12月9日時点のものです。
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