香る芋焼酎はソーダ割りがうまい!
糖質ゼロ&プリン体ゼロの焼酎は、糖質制限中の身にはうれしいお酒です。なかでも最近気になっているのが、フルーツのような香りが漂う芋焼酎です。ソーダで割ると香りがはじけて春先にピッタリです。
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白いも、赤いも、橙いも。芋の色で香りが違う芋焼酎
個性を競うように成長してきた芋焼酎ですが、近年、芋の品種によって特徴的な香りがあることがわかってきました。
芋焼酎の原料に使われる芋は大きく3タイプあります。ひとつはもっともポピュラーな白いも系です。黄金千貫が代表的で、レモンのような柑橘のニュアンスやラベンダーやミントのようなフローラルな香りが特徴です。白いも系ではこうした特徴がさらに際立つジョイ・ホワイトという品種をつかった焼酎も時々見かけます。
もうひとつは芋の断面が紫の紫いも系です。頴娃紫やムラサキマサリはこの種類で、ヨーグルトや赤ワインに通じる香りが出ます。
そして三つ目は橙いも系。芋の断面がニンジンのようなオレンジ色をしており、カロテンを豊富に含んでいます。このタイプの芋からはマンゴーやパイナップルなどのトロピカルフルーツに似た香りが出ます。
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香る芋焼酎ソーダ割りおすすめ①|ほのかな柑橘とクリアーな香り『さつま島美人』
そのままストレートと香りがわかりやすいソーダ割(1:1)で試してみました。グラスはラグビーボールのような形状の切子です。甘いニュアンスの香りはクリアーでバランスのよさを期待させます。味は期待通りにまとまっていて嫌味がありません。ソーダ割りにすると香りが立ち、飲み込んだ後に戻ってくる香りにほのかに柑橘を感じました。
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香る芋焼酎ソーダ割りおすすめ②|パイナップルが香る『一刻者〈茜〉』
香りは強い甘い香りとトロピカルフルーツを思わせる華やかな香りが混じりあっています。 香りが濃いので強く冷やしてソーダ割で飲みたくなりました。グラスはバカラマッセナのタンブラーを選びました。グラスには半分ほどしか注がず、上半分に香りがたまるようにしてみました。
味わいはトロピカルな甘い香りを裏切り、ドライで後味がさっとキレます。香りと味のメリハリがあり、目鼻立ちがはっきりした味わいと言えばいいでしょうか。ひと通りの飲み方で試しましたが、これから夏にかけてはソーダ割りが一押しです。
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香る芋焼酎ソーダ割りおすすめ③|『だいやめ』のライチの香りは完熟いも由来
臭いと嫌われた香りは、原料の芋の鮮度が悪かったことに由来していました。かつて南九州の芋は主に澱粉の原料として栽培されていたため、栽培農家は澱粉用の芋の出荷を優先し、焼酎用の芋の出荷は後回しにしていました。サツマイモは水分が多く鮮度が落ちやすい作物です。掘りだしてから時間が経って出荷された芋は状態のいいものばかりではなかったはずです。
芋の栽培農家を焼酎用の芋をいち早く出荷するように説得し、畑から工場へスピーディに搬入する物流を組めるようになって、芋焼酎から嫌われていた香りが消えていきます。鮮度のよい芋で焼酎を仕込む仕組みができ、朝掘った芋をできるだけ早く仕込む、鮮度を重視する姿勢は今も続いています。
ところがライチが香ると謳う芋焼酎『だいやめ』(濵田酒造)は、あえて原料芋を熟成させてから仕込みます。詳細は明かされていませんが、おそらく掘り出した芋を一定の条件で貯蔵・熟成させ、香りの素となる成分を豊富にしたうえで仕込んでいるのでしょう。
甘く厚みのあるトップノートは強く重い印象です。グラスから少し離した方がライチのような香りがわかりやすかったです。リーデルの大吟醸グラスを使ったため、香りの立ち上がりがより顕著になったのかもしれません。
この商品もおすすめの飲み方はソーダ割りです。フルーツを思わせる香りが特徴なので、ソーダで割って香りをたたせて楽しんでみてください。
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※記事の情報は2020年3月28日時点のものです。
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