西村まどかのサケ・コレクション④「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2021」

これは「ワイングラスで日本酒を飲む」スタイルを広めるためのコンテスト。私も審査員として参加してきました。

ライター:西村まどか西村まどか
メインビジュアル:西村まどかのサケ・コレクション④「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2021」

ワイングラスは日本酒の味がよくわかる

4月8日に開催された「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2021」の審査会に審査員として参加してきました。審査員の方々は日本酒の専門家として高名な先生方ばかりです。審査員の一覧に「日本酒唎酒師・西村まどか」と書かれているのが、本当に光栄で嬉しかったです。最年少の審査員として、そして20代女性として率直な意見を出させていただきました。

日本酒はお猪口で飲むイメージお持ちの方が多いと思いますが、最近はワイングラスを使うことが増えてきています。お猪口集めが大好きな私ですら、日本酒を勉強し始めてからは、ワイングラスも自宅に置くようになりました。

唎酒師の試験でもお酒の外観や香りを比べやすいよう、ワイングラスで唎酒することがありました。透明なので色合いもよく見えますし、香りもよくわかります。そしてワイングラスを使うことで合わせる料理の幅も広がりました。イタリアンだったりしたら、日本酒もお猪口よりワイングラスの方が馴染むじゃないですか。

ちなみに最近は、生ハムと日本酒にハマっています。生ハムは塩けがあり味が濃いので、それに負けない芳醇な日本酒を合わせることが多いです。
生ハムと日本酒
生ハムに日本酒を一度お試しください。おすすめです! この日はワイングラスではなくかわいいお猪口でいただきました

ワイングラスで日本酒&フルーツ

昨年、酒文化研究所の山田聡昭さんに案内してもらって、私のふるさと福井で3つの酒蔵にお邪魔した時には、どの蔵も試飲にワイングラスを使っていました。山田さんは「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」のスタートした時から運営に携わっています。それを見てとてもうれしそうな顔をしていました。
『白岳仙』の安本酒造さんでの試飲
『白岳仙』の安本酒造さんでの試飲は香り高くすっきりした味わいのお酒にぴったりのワイングラス
『常山』の常山酒造さんでの試飲
『常山』の常山酒造さんではリーデル純米グラス。濃醇な味わいのお酒はこちらがおすすめ
『黒龍』『九頭竜』の黒龍酒造さんでの試飲
『黒龍』『九頭竜』の黒龍酒造さんではそのものずばりのテイスティンググラスでした
このコンテストを始めた理由を質問すると、日本酒を広めるには「若い人に親しんでもらう」「和食以外の料理と日本酒を楽しんでもらう」「海外での日本酒の普及を促す」ことが大切で、「ワイングラスで日本酒を飲む」スタイルを広めることでそこに繋がっていくと考えたからだそうです。

私もお友達たちとホームパーティーをする時によく日本酒を持って行くのですが、その時もワイングラスで楽しむことが多いです。カジュアルに飲めますし、お猪口よりもたっぷり入るので、ジンジャーエールなどで割ってカクテル風に楽しんだり、フルーツを入れてみたりと様々な楽しみ方ができるので重宝しています。
日本酒とフルーツ
日本酒とフルーツの相性はばっちり。イチゴ、メロン、バナナ、チェリーなど好きなものをトッピングして楽しめる

130種類をワイングラスで審査

審査はテイスティングして、「1点 すばらしい」から「7点 非常によくない」まで 7 段階で評価し、コメント欄に感想を記入します。数が少ないほど高評価です。

5人1組でチームとなり、3時間で120~130点を担当しました。8チームあったので、会場にある日本酒はなんとおよそ1000本です。こんな数の日本酒を見たのは初めてで、圧巻の光景でした。
審査会場の学士会館
審査会場の学士会館は重厚な雰囲気。テレビドラマ「半沢直樹」の会議シーンはここで撮影されたそうです
審査会場におよそ1000本のお酒が並ぶ
審査会場におよそ1000本のお酒が並びました
3時間で120〜130点の日本酒を比べるのも初めてでドキドキでした。ボトルはマスキングされていて、どこの酒造のどのお酒なのかわかりません。プレミアム大吟醸部門やプレミアム純米部門など、部門はわかりますが、精米歩合や原料米、酵母、アルコール度数などスペックはわからない中での審査です。普段はスペックを見ながら飲んでいたので、ちょっと不思議な感じでした。
審査の様子
五感を研ぎ澄まして味わいを確かめました
最初は後でもっといいものが出てきたら困るし、何点にしようかと迷いましたが、10点か20点ほど比べていくうちに、自分の中で基準のようなものができてきて、コツを掴めました。スペックの情報がなく、より集中して味わうので、普段より感覚が研ぎ澄まされた感じがしました。そして、見た目、香り、味を真剣に確かめながら、日本酒ってここまで個性があるのかとあらためて感じた一日でした。
感想と評価のポイントをひとつひとつコメントします
感想と評価のポイントをひとつひとつコメントします

ワイングラスでおいしいタイプとは?

全般においしい日本酒が多く、レベルはとても高かったと思います。ですが、このコンテストは品質の高さを競うことだけが目的ではなく、「ワイングラスでおいしいか」に重きをおいての審査です。

なので、おいしいと思っても、これはワイングラスだと香りが強く出過ぎているのでは?とか、これはぬる燗や熱燗の方が合うのでは?と思うものもありました。こういうのはいいお酒でも点数は伸びないのではないでしょうか。

半分ほど経過した頃には、香りだけで自分の好きな味かどうかわかるようになってきました。その中でパーフェクト、とってもおいしい、ワイングラスとの相乗効果が素晴らしいと感動したものがいくつかあり、その場でボトルの目隠しをとってどこのお酒か見たくなったのは、ココだけの話です。(我慢して見ませんでした)
プレミアム純米酒部門はリーデル純米グラスでテイスティング
プレミアム純米酒部門はリーデル純米グラスでテイスティング
3時間以上かけてなんとか130本の審査を終了。一本一本に、たくさんの時間、労力、歴史、丹精がこめられていることを学んだ唎酒師としては、その一本を数秒で優劣をつけなければならないことが心苦しかったのですが、逆に瞬時に魅力をギュッと感じさせられる日本酒は、本当に素晴らしいなと思いました。

長年の努力も、勝負は一瞬。コンテストはまるでスポーツみたいです。金メダルがどれになるのかとても楽しみです。
最高金賞トロフィーの授与
最高金賞を受賞するとワイングラスのトロフィーが授与される。昨年はプレゼンターを落語家の林家たま平さんがつとめた
第11回を迎えた「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」。今回が過去最多出品だったそうで、これからもどんどん増えて、どんどんハイレベルなお酒達が増えて行くのだと思います。世代、国、料理ジャンル問わず楽しめる「ワイングラスで日本酒」を私ももっと楽しみ広めたいと思います。

今回も貴重な経験をさせていただきました。コンテストを円滑に運営してくださったスタッフの皆様、出品された酒蔵の皆様、そしてお誘いいただいた酒文化研究所の山田聡昭さん、ほんとうにありがとうございました。

「ワイングラスでおいしい日本酒アワード2021」の結果はこちら

※記事の情報は2021年4月22日時点のものです。
 
 
▼参考サイト
西村まどか Instagram Twitter

日本酒のソムリエ唎酒師

  

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