ジャパニーズウイスキーの定義をご存じですか?
世界中で大人気のジャパニーズウイスキー。酒齢の長いものは品薄状態が続いていますが、ジャパニーズウイスキーと名乗るにはどんな条件を満たす必要があるかご存じでしょうか? このたび厳しい表示規定ができました。
日本の酒類の輸出はウイスキーがトップ
高評価の基になったアワードの獲得
毎年、ロンドンでおこなわれるISC(International Sprits Challenge)は、主要なウイスキーメーカーのチーフブレンダークラスの技術者が審査員を務める、世界でもっとも権威があると言われる蒸留酒コンテストです。ここでのサントリーのウイスキーの入賞実績を見ると、2003年の『山崎12年』の金賞受賞に始まり、翌2004年には『響30年』が部門最高賞のトロフィーを受賞、この『響30年』は2006年から2008年にかけて3年連続でトロフィーを受賞し世界を驚かせます。
サントリーのスーパープレミアムウイスキー『山崎』『白州』『響』はその後もトロフィーや金賞を受賞し続け、同社は2010年に高品質で多彩な製品を生み出したメーカー1社に授与されるディスティラー・オブ・ザ・イヤーを初めて受賞します。さらに2012年から2014年にかけて3年連続で同賞を受賞する快挙を成し遂げ、ジャパニーズウイスキーの品質の高さは世界に知れ渡りました。
ジャパニーズウイスキーとは?
「2004年に『響30年』がISCでトロフィーを受賞した頃から、他の審査員たちからジャパニーズウイスキーの定義はどうなっているのかと質問を受けるようになりました。海外のセミナーに講師として招かれることも増え、突っ込んだ質問も出てきます。評価が高まると周囲の関心は、日本の酒税法が定めるウイスキーの内容に向かい、ジャパニーズウイスキーの定義をきちんと決める必要があると思うようになりました」
日本産を厳しく定義ジャパニーズウイスキー
こうしたなか日本洋酒酒造組合はジャパニーズウイスキーの定義について検討を進め、2021年2月に「ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」を発表します。原材料や製造・貯蔵に関する主な規定は次のとおりです。
①原材料は、麦芽、穀類、日本国内で採水された水に限ること。なお、麦芽は必ず使用しなければならない。
②製造 糖化、発酵、蒸留は、日本国内の蒸留所で行うこと。なお、蒸留の際の留出時のアルコール分は 95 度未満とする。
③貯蔵 内容量 700 リットル以下の木製樽に詰め、当該詰めた日の翌日から起算して 3 年以上日本国内において貯蔵すること。
④瓶詰 日本国内において容器詰めし、充填時のアルコール分は 40 度以上であること。
これでジャパニーズウイスキーの定義が明確となり、不透明なジャパニーズウイスキーは姿を消していくと期待されています。ただし、この規定から外れるものも「ジャパニーズウイスキー」と表示しなければ従来どおり製造・販売を継続できるほか、経過措置として3年間は現行の表示のまま認められます。
国内で原酒の交換もスタート
「マルスウイスキー」を製造する本坊酒造(鹿児島市)と「イチローズモルト」をつくるベンチャーウイスキー(秩父市)は、6年前に蒸留したばかりのニューポットひと樽を交換して、それぞれの貯蔵庫で貯蔵しました。先ごろ両社はこのモルトウイスキー原酒を自社の原酒とヴァッティング(モルトウイスキーどうしをブレンドすること)したものを商品化しました。本坊和人社長と肥土伊知郎社長は、この試みを単なる原酒交換にとどまらず製造やブレンドの技術を磨くことに繋がり、小規模な蒸留所がお互いに切磋琢磨してジャパニーズウイスキーを盛り上げていきたいと述べています。
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