コンビニで見つけた缶入り「本格焼酎ハイボール」を飲み比べ!

昨今のコンビニの家飲みコーナーの充実ぶりはなかなかのもので、おつまみ系フードはおいしさがアップ、酒はコスパの高いものが厳選されている。なかでも注目したいのが本格焼酎のハイボールだ。今回はこれを飲み比べてみた。

メインビジュアル:コンビニで見つけた缶入り「本格焼酎ハイボール」を飲み比べ!

かぼすスピリッツがすごい「いいちこ下町のハイボール」

近くのコンビニの冷蔵庫に並んでいた本格焼酎ハイボールは「いいちこ下町のハイボール」が2種類と「さつま島美人ハイボール」「白岳しろハイボール」の4つ。そばにあるスーパーにも寄ってみると「焼酎ハイボールかのか麦」があった。こちらは麦焼酎と甲類焼酎(タカラ焼酎やキンミヤ焼酎のような癖のないピュアな焼酎)をブレンドした、業界では甲乙混和焼酎といわれるもののハイボールだ。比較のためにこれも加えた。

まずは「いいちこ下町のハイボール」を試してみよう。言わずと知れた麦焼酎のトップブランド「いいちこ」が発売したハイボールは、製造元の三和酒類が威信をかけてリリースした激熱商品である。パッケージデザインはかぼすやライムをイメージさせる黄色がかったライトグリーンで、さわやかさを感じさせる。最初、描かれている金髪のおばさまの名が「いちこ」というのかと思ったが、首のラインの太い部分が「い」で「いいちこ」をイラストに組み込んでいるのだとしばらくしてから気づいた(ちょっと恥ずかしい)。

テイスティンググラスに注ぐと柑橘の香りが立ち上ってきた。フレッシュライムのような自然な香りで人工的につくった感じはない。缶入りの商品でこれを実現するには高度な技術が求められる。

味わいはドライながら、ベースの焼酎由来の甘やかさが支えて酒感がある。後味はきれいにフィニッシュして、全体的にうまくまとまっている。これは幅広いシチュエーションで飲みやすい商品だ。

そして、パッケージに書かれた原材料を見てさらに驚いた。本格麦焼酎とかぼすスピリッツと炭酸だけで、果汁も酸味料も甘味料も使っていないのである。これだけでこの味わいを実現するのは、さすが「いいちこ」である。肝はかぼすスピリッツか。おそらく三和酒類が持つたくさんの本格麦焼酎のなかからかぼすにぴったりなものを選んで、かぼすを浸漬している。かぼすの収穫時期、量、果皮の割合、浸漬時間などかなり研究したはずだ。
「いいちこ下町のハイボール」
プリン体・糖質・香料・甘味料ゼロの「いいちこ下町のハイボール」

丸い熟成感が印象的な「いいちこ下町のハイボール GOLDEN BLEND」

「いいちこ下町のハイボール」には金色のパッケージの「GOLDEN BLEND」がランナップされている。こちらは温かみのあるパッケージで、隈取をした男性が描かれている。先に原料を見るとこれも、本格麦焼酎、レモンスピリッツ、炭酸しか使っていない。

ほのかにバニラ様の甘い香りが立ち上がり、先ほどのものよりも重厚感がある。味わいは落ち着いた印象でベースの焼酎のうま味、後味にやや苦み、舌の奥の脇で収斂味を感じる。これも丁寧に細かい仕事をしているのであろう。樽で熟成させた原酒を組み合わせ、ベース焼酎を決めるのに試行錯誤を繰り返したに違いない。
「いいちこ下町のハイボール・ゴールデンブレンド」
どんな樽で熟成させた焼酎なのかと興味が湧く「いいちこ下町のハイボール GOLDEN BLEND」

まったく癖がない「白岳しろハイボール」

次に「白岳しろハイボール」を試してみよう。米焼酎の有力ブランド「白岳しろ」のボトルをそのまま缶にしたようなパッケージで、「白岳しろ」ファンなら一目でわかる、そのまんまのデザインだ。アルコール度数は7%で、これも糖質、プリン体、香料、甘味料はゼロである。

香りは穏やかでほとんど感じない。柑橘や熟成の印象はまったくなく、味わいは米焼酎由来の甘みがベースにあるだけで、とてもドライだ。ブラインド(目隠しして)で飲んだら甲類焼酎のソーダ割りだと思ってしまいそう。それくらいプレーンな味わいである。
「白岳しろハイボール」
パッケージに「しろ史上、最高のすっきり感」とあるとおり徹底的に軽快でドライ

芋焼酎のソーダ割り「さつま島美人ハイボール」

華やかな香りの芋焼酎。大好きという人もいれば、香りが苦手という人もいて好みが分かれる。だいぶ前から芋焼酎のソーダ割りは広がっていたが、数年前にメーカーがパッケージしたソーダ割り商品が登場するようになった。

焼酎を単に炭酸で割るだけだから、パッケージ商品化するのは難しくないと思うのは誤りだ。アルコール度数が高いほどさまざま香気成分が解けこんでいて、水やソーダで割ると香りはすぐに飛んでしまう。自分で割ってすぐに飲むならおいしいが、そのままパッケージしても思った味にはならないのだ。ベースにする焼酎を製造方法から見直して、ソーダ割りの状態でパッケージしておいしくなるように工夫するのである。

「さつま島美人ハイボール」は芋焼酎特有の硫黄様の香りがかすかにあるが、軽快で飲みやすく仕上げられていた。芋焼酎好きの方には少し物足りないかもしれないが、よくまとまっている。この商品も酸味料と甘味料は使わず、焼酎の味だけで勝負した。
「さつま島美人ハイボール」
瓶やパックの「さつま島美人」のデザインを踏襲したパッケージ

柑橘フレーバーでまとめる「焼酎ハイボールかのか麦」

唯一、甲乙混和焼酎のハイボールで、これまでの4つと異なり香料と酸味料を使用している。味わいは柑橘の香りがとても印象的で、このフレーバーで飲ませるような設計だと感じる。柑橘の香りにはピール(果皮)のニュアンスがしっかりあり、本格的な味わいを期待させるが、味は軽くて薄く仕上げてありイージードリンク向けだ。
「焼酎ハイボールかのか麦」
甲乙混和焼酎のハイボールは混和らしさをどう生かすかが課題になりそう。

今シーズンは本格焼酎ハイボール元年

缶チューハイはレモンサワー競争が続いているが、今年は本格焼酎ハイボールというカテゴリーが本格的に広がりそうだ。おそらく有力メーカーは数年前からソーダ割りのパッケージ化を検討してきているはずで、「いいちこ下町のハイボール」のような完成度の高い商品が次々に登場してくるだろう。今年は本格焼酎ハイボール元年になるのではないだろうか。
飲み比べた5商品
※記事の情報は2022年2月17日時点のものです。
 

  

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