シャンパン革命で誕生した「テルモン」のサスティナブルな取り組みとは
スパークリングワインの代名詞とも言えるシャンパン。あなたは「ドンペリ」の他にどんな銘柄をご存じですか? 「クリュッグ」「マム」「テタンジェ」などのメジャーブランドに加え、覚えておきたいサスティナブルなシャンパン「テルモン」を紹介します。
シャンパン「テルモン」の誕生
当時、シャンパンはどの地域まで“シャンパン”と名乗れるかの線引きで揉めていたうえ、待遇を巡ってブドウ栽培農家とメゾンが対立、さらにブドウの不作が続くなかでシャンパンメゾンに他の地域からブドウを調達しようとする動きが表面化して混乱していました。地域間の対立と栽培農家とメーカーの対立が複雑に絡み合った混沌とした状態が続き、1911年に暴動にまで発展したのでした。その後しばらくしてシャンパンの原産地呼称地域が見直され現在の地域に固まりますが、この暴動はシャンパン革命と呼ばれることもあります。
テルモンの創業者アンリ・ロピタル氏はシャンパン製造の中心地マルヌ地区でブドウを栽培する農家でしたが、この暴動のあと自らシャンパンの製造に乗り出します。ワインはブドウ栽培からと言われます。欧州ではワイナリーがブドウを栽培しワインを醸すのが伝統的な生産形態で、ブルゴーニュやボルドーの名だたるワイナリーも自社のブドウ畑を所有しています。しかし、シャンパンメゾンはブドウを農家から買い取る形態が一般的でした。粗悪なブドウを地域外から調達するような不正もあったようで、テルモンはブドウ栽培から関わり高品質なシャンパンを生み出す、ドメーヌ型のメゾンにチャレンジしたのでした。
シャンパーニュながら自社畑の9割が有機認証
有機栽培は殺虫剤・殺菌剤・化学肥料を使用しないため、病虫害のリスクが高くなりブドウの収穫量も減りますが、畑の土壌に棲む微生物を含む生き物の多様性が保たれます。テルモンは持続的なシャンパン造りのために、有機的に結びついた自然のシステムを壊さないことを優先すると言います。
シャンパンボトルの軽量化でCO2削減
パッケージを改善して環境負荷を減らす活動を進めています。ご存じのとおりシャンパンの瓶は高いガス圧に耐えるため分厚く、一般的なもので重量は835g、特殊瓶は900g前後あります。瓶の製造段階で排出される二酸化炭素に加え、重い分輸送による排出量も多くなります。そこでテルモンは製便業者と共同で瓶の軽量化に着手し、35gを軽量化800gに軽量化したボトルを開発しました。
ちなみにテルモンにオスカー俳優のレオナルド・ディカプリオ氏が出資を決めたのは、こうしたサスティナブルなシャンパンに取り組む姿勢に共感したからだそうです。
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