酒蔵見学におすすめ! 奈良県の梅乃宿酒造に行ってきました
見学できる酒蔵は全国各地にありますが、日本酒造りの各工程を「見せる」工夫を凝らしているところは稀です。その点において今回ご紹介する奈良県の梅乃宿酒造は出色です。「酒造りを知ってほしい」という想いが溢れる酒蔵見学をレポートします。
酒蔵の梅酒のパイオニア
瓶に詰められた既成の梅酒が店頭に並び始めたのは1980年代です。それ以前、梅酒は自家用に自分で焼酎に青梅を漬けて作るもので、買うものではありませんでした。商品化したのは梅酒作りに使う焼酎の製造をルーツとするメーカーたちでした。背景には核家族化が進み、共働き世帯も増えたことがあるといわれますが、漬ける手間をかけずに気軽に梅酒を楽しめるとあって、市場は着々と拡大していきます。
それが2000年ごろから様子が変わります。日本酒で漬けた梅酒や梅のジュースをミックスしたもの、さらに果肉ピューレの入ったものが登場し、一気にバラエティが豊かになりました。パッケージデザインには花鳥風月があしらわれ、ピンクやイエローのカラフルなラベルが並ぶようになって、売場は華やぎます。それまでの梅酒の2倍もする高級品が登場し、大規模な梅酒のコンテストが開催されると、プレミアムな梅酒は一大ブームとなりました。
こうした市場の変化にいち早く対応した酒蔵のひとつが梅乃宿酒造でした。2002年に初めて発売した「梅乃宿の梅酒」は人気商品となり、2007年に本格的に発売した日本酒ベースで梅の果肉のピューレがたっぷり入った「あらごし梅酒」は大ヒットし、同社の看板商品になります。
山の麓の新工場
新工場は近鉄新庄駅から2km、歩くと30分ほどです。道はほぼ平坦で、葛城の歴史を感じさせる街並みを眺めながら楽しく歩けました。10分くらい進んだところで、いい感じの神社を見つけてお参りし、蔵までもうすぐかなと思うようになったところで見渡すと、ぐるりと山が囲っていて、ああ、ここは盆地なのだとわかります。
最後に緩い坂道を5分も歩くと蔵に到着、新工場は山の麓にありました。
蔵見学のスタートは直営ショップ
スタート地点となる直営店内は明るく広々として、梅乃宿酒造のシンボルである梅の古木をモチーフにしたオブジェが壁から天井に伸びていました。日本酒やリキュールなど梅乃宿の主要な商品が購入できるほか、ここでしか飲めないオリジナルのドリンクもあります。日本酒造りの見学だけでなく併設するワークショップルームでは、梅酒&梅シロップづくり体験もできます。
おしゃれでシャープな酒蔵見学
ショップを抜け梅の木のオブジェが伸びる通路を進むと、製造工程をガラス越しに見られるようにした見学用通路が現れます。
ここでの解説は、効率よく搾れる「ヤブタ式圧搾機」、醪を入れた酒袋を積み重ねて上から圧力をかける「槽搾り(ふねしぼり)」、酒袋に醪を入れて吊るし自重で滴り落ちる酒をとる「袋吊り」の3つの比較。同じ量の醪から得られる日本酒の量を比較して見せる展示でした。
ここまで見てくると早く日本酒を試飲したくなりますが、さらに奥にはVIP専用のテイスティングルームがありました。国内外の大切なお客様をもてなすスペースで、葛城盆地を見渡せて、遠くには酒造りの神様、大神神社のご神体である三輪山が見えます。
【梅乃宿酒造】公式HP
【梅乃宿酒造の酒蔵見学】
※記事の情報は2024年11月21日時点のものです。
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