酒好きほぼ100人に聞いた日本の「伝統的酒造り」の技術のユネスコの無形文化遺産登録の認知度

日本の「伝統的酒造り」の技術がユネスコの無形文化遺産に登録されたことで、国内外で市場が活性化するという見方について、酒好きほぼ100人に聞きました。

メインビジュアル:酒好きほぼ100人に聞いた日本の「伝統的酒造り」の技術のユネスコの無形文化遺産登録の認知度

9割が日本の「伝統的酒造り」無形文化遺産登録を認知

はじめに「日本のこうじ菌を使った伝統的な酒造り技術」のユネスコの無形文化遺産登録の認知状況を見てみましょう。「よく知っている」が56%と過半数あり、「少し知っている」も33%にのぼりました。合わせると9割が認知しています。後で見ますが他の日本の無形文化遺産登録の認知と比べると、極めて高い認知率です。
「日本のこうじ菌を使った伝統的な酒造り技術」の無形文化遺産登録の認知状況
次に今回の登録は日本酒だけでなく本格焼酎・泡盛も対象であることの認知を聞きました。「知っている」が71%で、無形文化遺産登録を知っている人でも2割はこのことを知りません。回答者は酒好きを自認する方々ですから、一般ではかなり下がるのではないでしょうか。本格焼酎・泡盛や本みりんなども無形文化遺産に登録されたことの広報は課題のひとつとなりそうです。
 
蒸して種麹を混ぜ合わせた米や麦を広げて麹菌を繁殖させる
本格焼酎の麹造り。蒸して種麹を混ぜ合わせた米や麦を広げて麹菌を繁殖させる

和酒の消費増予想は過半数。しかし慎重意見も

登録によって和酒への関心が高まり和酒の消費が活性化するという見方がありますが、酒好きモニターたちはどのように予想しているのでしょうか。

回答は「日本酒と本格焼酎・泡盛の両方が増える」が47%にのぼり、「日本酒は増えるが本格焼酎・泡盛は増えない」の9%と併せると56%は和酒の消費が増えると見ています。ただ「本格焼酎・泡盛は増えるが日本酒は減る」という予想はゼロでした。また、「日本酒も本格焼酎・泡盛も変わらない」という答えは41%あり、「日本酒と本格焼酎・泡盛のどちらかが減る」「両方減る」が合わせて3%です。
登録後の和酒の消費増予想
そう予測する理由として寄せられたコメントを整理すると次のようになります。

●和酒の消費が増えると考える意見
1. PR効果
ユネスコの無形文化遺産に登録されることで知名度が上がり、消費が増える。
2. インバウンド消費
外国人観光客の増加により需要が高まる。
3. 新規関心層の増加
今まで関心を持たなかった人が関心を持つようになり一時的に消費が増える。
4.メーカーや販売店のプロモーション
このニュースに連動してプロモーション施策が打たれることで消費が増える。
5.海外での認知度向上
日本酒や本格焼酎が海外でも知られるようになり、海外での消費が増える。
 
外国人観光客向けの日本酒の販売の風景
地域によっては外国人観光客向けの日本酒の販売は大きなウェイトを占め始めた

●消費が変わらないと考える意見
1.ニュースのインパクト不足
ユネスコの無形文化遺産登録だけでは一般消費者への影響が限定的。
2.若者のアルコール離れ
少子化や若者のアルコール離れが進んでいるため、需要は増えない。
3.ライフスタイルの変化
外飲みも家飲みも減少するなどライフスタイルの変化により消費は増えない。
4.既存のプロモーションとの違いが少ない
これまでも同様のプロモーションが行われており、今回の登録による大きな変化は期待できない。
5.国内市場の限界
国内ではすでに需要が安定しており、大きな増加は見込めない。
ノンアルコールや微アルコール市場需要開発プロモーション
ノンアルコールや微アルコールの市場拡大を見込んだ需要開発プロモーションは盛んだ(スマドリバーのメニューより)

伝統的な日本の酒造りを説明できないが2割

次に日本の伝統的な酒造りを説明できるかを聞いたところ、日本語では「説明できる」が45%と「少し説明できる」が34%で、約8割でしたが、外国語では35%に止まりました。インバウンド向けの広報も必要そうです。
日本の伝統的な酒造りを説明できるか
また、日本のユネスコ無形文化遺産登録の認知を聞いた質問では「和食」が88%と群を抜いて高く、海外の酒類関係の登録では「ベルギーのビール文化」が80%にのぼりました。
日本のユネスコ無形文化遺産登録の認知
海外の酒類関係の登録認知
【調査概要】
期間:2024年12月3日~8日 
調査方法:ネットアンケート 
有効回答数:128人(酒好きな人)


※記事の情報は2025年1月9日時点のものです。

  

『さけ通信』は「元気に飲む! 愉快に遊ぶ酒マガジン」です。お酒が大好きなあなたに、酒のレパートリーを広げる遊び方、ホームパーティを盛りあげるひと工夫、出かけたくなる酒スポット、体にやさしいお酒との付き合い方などをお伝えしていきます。発行するのは酒文化研究所(1991年創業)。ハッピーなお酒のあり方を発信し続ける、独立の民間の酒専門の研究所です。

さけ通信ロゴ
  • 1現在のページ