ニュージーランドで「全黒」という美味しい日本酒が造られていた!
日本酒と発酵フレンチのお店「SAKE Scene〼福」を経営する日本酒ラヴァー、簗塲友何里(やなば ゆかり)さん。今回は、ニュージーランドの酒蔵リポートです。
ニュージーランドに日本酒蔵が!?
ニュージーランド初の酒蔵「全黒(ぜんくろ)」
酒蔵があるのはクイーンズタウン。ニュージーランド南島のオタゴ地方に位置し、周囲を山々に囲まれ、美しい湖のある大自然もすぐそこのオシャレな街です。2015年、この高級住宅街の一角に、酒蔵が誕生しました。ラグビーで有名なニュージーランドなだけに、蔵の名前は「全黒」zenkuro。ニュージーランドのラグビーユニオンナショナルチーム、ALL BLACKSを漢字で表現して名付けています。Davidさんも昔はラグビーをしていたそうです。
どんな酒造り?
全黒は、温度管理された設備の中で年間通して造る「四季醸造」をしています。今回、ニュージーランドが夏の時期に訪問したのですが、南極に近いせいか夏でも結構ひんやりしていて、薄めのダウンジャケットを着ていたぐらいでした。日本のように夏の猛暑に悩まされることもないため、クーラーで温度管理できていれば酒造りの環境としては心配ありません。壁には一面に、発酵の期間を示す醪(もろみ)日数の計算がびっしりと貼られています。試行錯誤しながら、常にしっかりと日本酒に向き合っているのを感じました。
大切に醸された日本酒は、袋に入れて吊す「雫(しずく)搾り」、石で重しをする「槽(ふね)搾り」といった手作業で搾られ、火入れをし、蔵のこだわりを明記したラベルを手で貼って、出荷です。
クイーンズタウンの地酒
全黒は飲んで見ると、魚料理にも合わせやすく、落ち着いた、長く飲み続けられるタイプの日本酒です。ニュージーランド人がニュージーランドで醸す日本酒、全黒。残念ながら今のところ、日本国内ではごく一部の飲食店で提供されているのみ。見かけたらぜひ飲んでみてくださいませ。Davidさんの優しい人柄が分かる穏やかな味わいと、大自然のクリアーな美しさを堪能できると思います。
※記事の情報は2019年2月21日時点のものです。
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