語り出したら止まらない! ごまLOVER座談会
ごまを生業とするごま業界の方たちによって開催された“ごまLOVER座談会”を、「家飲みごま部」がレポートします!
では、ごま推しの面々による、弾みに弾んだごまトークをお楽しみください。読み終わる頃には、いい意味でごまのイメージが覆されるかもしれません!
業務の中で、ごまとどう関わっている?
坂本 はい。私は株式会社真誠(しんせい)という食品メーカーで、企画チームのリーダーをしています、坂本と申します。当社は、ごま100%のすりごま、ねりごまといった商品や、ごまあえの素、ごまパウダー入りのきな粉などを製造している会社です。業務のメインは新商品開発ですが、基礎研究部門のリーダーも兼任していまして、ごまについての基礎的な機能性、どういった機能があるか、他にもっとアピールできるような作用がないかなどをチームとして研究して、もう10年くらいになります。
藤岡 じゃあ次は和泉さん、お願いします。
和泉 はい。伊藤忠食糧株式会社の穀物油脂本部、穀物油脂部、外食開発営業課で4月から課長をしています、和泉と申します。外食開発ということで、主にカフェチェーン向けに営業をしています。当社は原材料の会社なので、ごまを含めた原材料の提案が主ですが、当課は外食さんで販売する消費者向けの商品も納品しているので、穀物油脂本部の中でもちょっと違う観点で営業をかけています。
持田 みなさん「言わされている感」がすごくて、ちょっとわかりづらい(笑)ので、僕が和ませ役を兼ねて要約します(笑)。伊藤忠食糧株式会社の食糧素材部の持田です。伊藤忠食糧は商社なので、ごまなどを輸入して、真誠さんを筆頭にした需要家さんに販売するという仕事がメインです。でも和泉さんのセクションは、コーヒーチェーンでコーヒーと一緒に食べるドーナツやスコーン、ワッフルといった商品のレシピを組んで、提案するわけです。大手カフェチェーンが今年の初めにやっていたごまドリンクやスイーツの企画は、彼女がやっているんですよ。大変だったよね。
和泉 最初、国産のごまを使いたいというお話から始まったんですが、ごまの国産の割合って0.1%以下なんです。その自給率をお客様に説明したら、じゃあそれと同じ割合だけ国産を使いたいということになり、数パーセントだけ国産の、丹波産のごまを使用するということになりました。真誠さんにもお世話になりました。
坂本 会社のみんなで買って飲んでみましたが、女性陣にすごく人気でしたね。黒ごまとスイーツが合うのは分かっていましたが、うちではなかなかスイーツを販売することがないので、黒ごまをメインにしたスイーツドリンクは新鮮でした。ツイッターを見ても、若い子たちのおいしいという意見もけっこうあって、いいねって盛り上がりました。
ごまは“ジャパン”じゃない!?
和泉 あれは日本のイメージです。ジャパンプロジェクトということで。
持田 ジャパン? ごまってジャパンじゃないじゃん。ごまはジャパンイメージなんだ?
和泉 そうみたいですね。実際、私もこの仕事をするまではそうかな、と思っていましたし。
坂本 ごまは当然国産だろうと思っていらっしゃる消費者の方も多くて、産地のお問い合わせをもらった時に、例えばパラグアイと答えると、「あれ、国産じゃないんだ?」と言われることはよくありますね。
藤岡 この業界にいる私たちからすると、ごまのイメージは国産だと言われると「え?」となりますけどね。持田さん、ご説明をお願いできますか。
持田 先ほども話に出ましたけど、日本で流通しているごまのだいたい99.9%は輸入なんですね。ごまは単位面積あたりの収穫量が大豆とかに比べると非常に低いので、アメリカのような国は作らないんですよ。でもその一方で、ごまは暑く乾燥した土地でもよく育ち、播種(種をまくこと)してから3か月くらいで実がなる、つまりごまができあがる。半年くらいかかる大豆に比べても非常に短いので、お金に代わりやすいということ。そういった特性にあった国で作られているんです。
藤岡 具体的にはどういう国でしょうか?
持田 中南米のグアテマラ、ニカラグア、あとはパラグアイ、ボリビアあたりが主要産地ですね。最近は、アフリカのタンザニア、モザンビーク、エチオピア、スーダンあたりも、非常に主要な産地になってきています。あとは、特殊なところで、例えば金ごまはトルコとかエジプトあたりですね。国産のイメージで引っ張られているから和のイメージがあるけど、実態は違うっていうのが、日本でのごまの現状です。ごま業界を盛り上げるとなると、その辺を実際に消費者の方にわかってもらうことがまずは必要かもしれませんね。ごまは、語ると長くなるんですよ(笑)。
いつもどうやってごまを食べていますか?
坂本 伸びつつある業務用に対して、家庭用のごま商品の販売数は若干下がりつつあります。ごまって隠し味的にものすごーくたくさんの料理に使われているんですけど、自分で料理するとなると、どうやって使っていいかわからないという方が多いんですよね。やはりごまは和のイメージから、和食に使うものという印象が強いので、パスタや野菜炒めのようなパッとできる料理にごまを登場させるレシピを、若い人たちが知らないというのも理由かと思います。パスタにも合うんですけどね。
和泉 カルボナーラとかに入れてもおいしそうですよね。
持田 そういった、和を超えたアレンジやレシピが普及してくると、ごまももっと盛り上がるかもしれないですね。
藤岡 ちなみにみなさんは、普段どうやってごまを食べていますか? 私は毎日飲む味噌汁に、ねりごまを入れています。
和泉 私はふりかけとかおむすびが多いですね。
坂本 野菜炒めにねりごまをちょっと入れたり、鍋の時にはがっつり入れたりしますね。あと、ねりごまをたくさん使っている担々麺はおいしいです。好きな人は何にでもかけますよね、納豆とか。
持田 納豆にはすりごまですよね。僕は毎朝、普通のヨーグルトにねりごまを混ぜて食べています。抗酸化のおかげか、肌ツヤがよくなった気がします。
藤岡 あるメーカーさんが、ごま粒にチョコレートをコーティングしたごまチョコを出しているんですけど、それがめっちゃおいしいです! 止まらなくなっちゃうんですよね。
持田 チョコレートは今、健康イメージで爆発的に売れる商品になってきているから、チョコと組み合わせるのは面白いかもね。
藤岡 抗酸化チョコレートですね。
持田 お肌すべすべになるよ(笑)。
こっそり秘めているごま構想、教えてください!
持田 真誠さんはすごくチャレンジブルな商品を出していましたよね? いちご味のごまとか…?
坂本 あ、なくなりました。チャレンジしすぎて(笑)。
和泉 その商品は隠し玉で、いつかカフェドリンクの上にかけられるかなと思っていたんです。面白いなあと思っていたのですが…。
藤岡 そういう話、もっとください!
坂本 ふと思い出したのが、「馬にごまを食べさせたらすごく毛づやがよくなったんだけど、そんな効果あるんですか?」というお問い合わせを、以前いただいたことがあるんですけど…(笑)。
持田 馬、いいもの食べてますね(笑)。やっぱり抗酸化なのかな? 油がいいとか?
坂本 他の草には油分がそんなにないので、油がいいのか分からないんですけど…。ペットフードって人間が口にするもの以上にけっこうこだわる方がいるので、人間が食べるグレードのごまが入っていますよ、みたいなペットフードもありじゃないかと思って。とはいえ、今すぐペットフードを出すわけにはいかないですけど…。
持田 いやそれ面白いですね。ごまの需要拡大になりますよ。ペットの方が大事な人いますからね。子供がある程度大きくなった奥さんからすると、旦那さんより絶対ペットの方が格が上なんだよ(笑)。そこは狙い目かもしれないですよ。
和泉 今、ほうじ茶が流行ってるじゃないですか。ラテとかも各社出されていて。そういうほうじ茶にごまを振りかけると合いそうな気がします。なかなかごまの飲料ってないですよね。
藤岡 豆乳、アーモンドミルクに続く新たなジャンルとして、ごまミルクはどうですか? コーヒーチェーンで、ソイラテでなくて「ごまラテにしてください」とか。カロリーがめっちゃ高くなりそうですけど。
持田 じゃあ和泉さん、それコーヒーチェーンに提案しましょう。あと、コンビニの中食とかスーパーの惣菜コーナーとかがどんどん充実して来ている流れの中で、ごまは何か活躍できないのかな?
和泉 最近は、食品宅配サービスなどでキットがたくさんありますよね。例えば担々麺のキットとかもあって、カットされた状態の野菜とかスープとかがセットになっていて、10分でできます、というような。チンするだけのお弁当だと罪悪感があるけど、ちょっと作っている風なのがよくて、私も実際に使っているのですが、今後たぶんすごく伸びていく市場だと思います。そういうところと組んで、小分けにしたごまを組み合わせたりというのも、面白いなと思います。
坂本 私も体験でやったことがあるんですけど、すごく便利でいいですよね。野菜とかも使う分だけ入っているというのがいいですよね。ごまも、一袋だと多すぎて使いきらないという声もよくあるので、もっと少ない容量でもいいのかなという思いもあります。
持田 ラーメン店によくあるごますり器を、家庭に一個置くようになったらそういった問題も解決しませんかね。マイごますり器みたいに。だからむしろ、家庭用の容器を開発した方がいいかもしれない。
和泉 でもすでに、家庭用のおしゃれなごますり器、ありますよ。ミルみたいなものだったり、電動のものもあります。小さいすり鉢とかもありますしね。すりごまとして販売もしていますけど、自分でする面白さも知ってもらえたらいいですよね。
藤岡 ここでお時間が来ちゃいました。みなさんありがとうございました。ごまを好きになってくれる人が増えて、食卓にいつもごまがあるという家庭が増えるように、ごま業界をもっと盛り上げていきましょう!
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時間制限がなければ延々と続いていたであろう、ごまを愛する人たちによるごまトーク。たかがごまと侮るなかれ、あの小さな粒の中には、たくさんの栄養素と共に大いなる可能性が包まれているのだ、と感じてもらえたのではないでしょうか。この熱きごま愛が、ごまブームを巻き起こしていくかも!?
※記事の情報は2019年4月25日時点のものです。
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