梅干しの塩分はどのくらい? 適量や栄養、健康効果について管理栄養士が解説!

焼酎や日本酒、サワーなど、お酒と合わせても楽しめる「梅干し」。塩分が多いイメージですが、実際の塩分量や適量はどのくらいなのでしょうか? 梅干しに含まれる栄養や健康効果、お酒と合わせる際の注意点について、管理栄養士の森由香子先生が解説します。

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梅干しにはさまざまな種類がある!

梅干し
焼酎の梅干し割りや梅サワーなど、お酒と合わせることが多い「梅干し」。梅の品種は幅広く、大玉では豊後(ぶんご)、白加賀、中玉では南高、小玉では甲州最小などがあります。

梅干しをご家庭で作るところも多く、家庭の数だけ味の種類も存在します。小学生の頃の話になりますが、梅干し好きの同級生は遊びに行く家々で梅干しを食べさせてもらって味比べをしていたことを思い出します。

梅干しは酸味や塩味がとても強いので、最近ではマイルドな味付けにしたはちみつ漬けや、かつお節を用いた調味漬けも出回っており、味のバリエーションも楽しめるようになっています。

一般的には「梅干し」という名前ですが、梅の実を塩漬けしたものは正確には「梅漬」とされ、関西地方では「どぶ漬」とも呼ばれます。この「梅漬」を夏の土用の頃に2~3回日干ししたものが「梅干し」で、主に関東地方で多く作られています。

梅干しに含まれる栄養は?

それでは、梅干しの栄養を見てみましょう。

梅干しの栄養

食品名 うめ 梅干し 塩漬 うめ 梅干し 調味漬
重量(g) 20 20
エネルギー(kcal) 6 18
たんぱく質(g) 0.2 0.3
脂質(g) 0.1 0.1
食物繊維総量(g) 0.7 0.5
炭水化物(g) 1.7 4.2
ナトリウム(mg) 1440 600
カリウム(mg) 44 26
カルシウム(mg) 7 5
マグネシウム(mg) 3 3
鉄(mg) 0.2 0.5
亜鉛(mg) 0 0
ビタミンA(μg) 0 Tr
ビタミンD(μg) 0 (0)
ビタミンE(mg) 0 0
ビタミンK(μg) 2 (2)
ビタミンB1(mg) 0 0
ビタミンB2(mg) 0 0
ナイアシン(mg) (0.1) 0.1
ビタミンB6(mg) 0.01 0.01
ビタミンB12(mg) 0 (0)
葉酸(μg) Tr 0
ビタミンC(mg) 0 0
食塩相当量(g) 3.6 1.5

※Trは最小記載量の1/10以上かつ5/10未満の微量、(0)は文献等により含まれていないと推計される値を表し、栄養計算上はすべて0で計算しています。
※(数値)は推測値を表し、栄養計算上はカッコを外した値で計算しています。
出典:日本食品成分表(八訂)


梅干し1個を20g(大玉の可食部)とした場合、エネルギー量は6Kcalで、たんぱく質、脂質、炭水化物といったエネルギー産生栄養素はほとんど含まれません。食物繊維、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、ビタミンKがわずかに含まれるにとどまり、残念ながら梅干しから栄養をとることはあまり期待できません。

梅干しの塩分量と、塩分を控えたいときのおすすめは?

上記の表内で一番気になるのが塩分ですね。塩漬の梅干しでは、1個あたり3.6gも含まれています。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2020年版」によると、1日の食塩摂取量の基準は男性7.5g未満、女性6.5g未満です。さらに日本高血圧学会では1日6g未満、WHO(世界保険機関)では1日5g未満とされています。こちらは、かなり食事に気を付けていないと達成するのが難しい値です。これらの基準を満たそうとした場合、梅干し1個を食べるのも気がはばかられそうです。

塩分を抑えたい場合は、調味漬の梅干しがおすすめです。塩分量を半分以下の1.5gに減らせます。また昨今では、減塩タイプの梅干しも出回っていますので、積極的に利用するのも良いでしょう。

梅干しの健康効果は? 肝臓に良いのは本当?

梅干しは、平安時代の医書「医心方」に多彩な効用が記載されており、古来より三毒(食べものの毒、水の毒、血の毒)を絶つと言われています。

また、強力な防腐作用があるベンズアルデヒドや安息香酸も含まれているほか、食欲増進、整腸、疲労回復を助けるクエン酸などの有機酸も含まれており、体に良い効果をもたらします。特にクエン酸は、カルシウムと結合し、腸からの吸収をアップしたり、鉄分の吸収を促進したりする効果もあります。

有機酸の中のピクリン酸には肝機能を高めるという情報もありますが、それを期待して梅干しを摂りすぎるのは危険です。塩分過多になりますので、やめたほうが良いでしょう。

塩分の摂りすぎは、高血圧発症のリスクを高めます。高血圧の発症は、これまで摂取した塩分量に加え、今後摂取する塩分量によって左右されます。そのため、将来のリスクに備えて節塩することはとても意味があります。

梅干しをお酒と一緒に摂るときの適量、注意点は?

梅干し入り焼酎
塩分過多にならないよう、お酒と一緒に梅干しを利用するならば、1個程度がおすすめです。

焼酎を梅干しで割ったり、日本酒の熱燗に梅干しを加えたりとさまざまな飲み方ができますが、その都度梅干しを足すのではなく、例えば1杯目は底に沈めて風味を楽しみ、2杯目でつぶしながら飲んだりと、工夫して節塩するのが良いでしょう。また、しそ風味の焼酎を利用して、梅干しを入れたつもりで楽しむのもGOODです。

梅干し入りのお酒を飲むときは、おつまみにナトリウムを排出するカリウムが多い野菜、フルーツ、イモ類、豆類、キノコ類、魚類などを利用するのもおすすめです。もちろん、味付けは薄味を心掛けたいものです。

美味しい梅干しを賢く利用して、健やかな飲酒ライフをお過ごしください。

※記事の情報は2022年5月18日時点のものです。
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