どぶろくを飲んでみよう! 基本知識と家飲みアレンジ

麹甘酒ブームの影響もあって、今「どぶろく」に熱い視線が集まっているそうです。いったい、どぶろくってどんなお酒なのか?

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どぶろく、飲んだことありますか?

みなさんは、どぶろく、飲んだことがありますか? 私は、ほとんど飲んだことがなく、ごくごくたまに居酒屋で見かけたおり、なんとなく「話のタネに」的なテンションで頼んでみる程度です。そんな時は結構お酒もまわっていて「あー、甘酒みたい」程度の感想で、味もよく覚えていない、という始末。しかしながら、どうも最近どぶろくが流行の兆しがあるという情報が漏れ伝わって来てちょっと気になりはじめました。醸造設備をそなえた「どぶろくバー」的なお店も話題になっているようです。そこで、この記事ではどぶろくについて色々調べてみました。

とりあえず、どぶろくを一本買ってみた

どぶろく
ともかく飲んでみなければはじまりません。散歩ついでに近所の酒屋に出かけ、一本買ってみました。小山本家酒造(埼玉県)「天狗のどぶろく」720mL、アルコール度数は14~15度。酒屋さんの弁によると「これ、甘くて飲みやすいよ」とのこと。甘口らしい。ネットでもチェックしたところ評判も上々でした。Amazon価格で1,000円ちょっとですからコスパもなかなかです。

さっそく、お気に入りの蕎麦猪口に注ぎ、真っ白に濁ったやつを一口。見た目どおり「濃いにごり酒」です。お米の味がしっかりして甘く、酸味も感じられ、おいしいですね。まさに甘酒のアルコール入り。韓国のマッコリに似ていると思う方もいらっしゃるかも。

どぶろくってどんなお酒?

どぶろく…この野趣あふれる名前のお酒、お米で作ったジャパニーズ・リキュールです。漢字で書くと、「濁酒」とか「濁醪」です。「濁酒」は「だくしゅ」、そして「濁醪」は「だくろう」と読み、それが変じて「どぶろく」と言われるようになったという説があるようです。が、本当の名前の由来ははっきりしないようです。

このどぶろく、昔々は各家庭で作られ、農作業の合間の栄養補給に好んで飲まれたとか。まさに甘酒のような存在だったようです。自分の田んぼで獲れたお米で自家製どぶろくを作って、みんなで飲む…。日本の農村の良き習慣だったんですね。しかし、これも明治時代に一般家庭の酒造りが禁止され、御法度になってしまいました。

お米のお酒、日本酒の造り方を簡単に書くと、原料のお米を蒸して水を加え、麹菌を投入。お米に大量に含まれるデンプンを麹菌で糖に変え(糖化)、酵母菌を入れて糖をアルコールに変える。充分に発酵したら、搾って濾過。これでできあがりです。

どぶろくは、というと、途中まではほぼ同じですが、最後に「搾って濾過」をしないのです。お米が発酵してアルコールが出来たら、そのまま飲んじゃうお酒。甘酒のアルコール入りのやつ、というイメージですね。このため、酒税法上のお酒の区分では日本酒ではなく「リキュール」になります。日本酒が成立したもっとも初期の形を残すお酒とも言われています。こいつは、まさしく日本酒の「生きた化石」じゃないですか。
どぶろく原材料表示
どぶろくのラベル。清酒にあらず、リキュールなり
どぶろく同様、白く濁ったお酒に「にごり酒」がありますが、これは粕が残るように、軽く濾過した日本酒です。法律上の日本酒(清酒)の定義が「お米をアルコール発酵させて濾過した酒」というものなので、少しでも濾過すれば日本酒(清酒)で、濾過しなければどぶろく、ということになります。ただし、製法としては濁り酒でも、商品名として「どぶろく」的な名称を使っている場合もありますね。

では、買ってきたどぶろく、ゆるゆると飲み進めることにしましょう!

どぶろくを色々やって飲んでみる自由研究

どぶろくと試す割材
これだけ味わいの濃いお酒なので、この際、何かで割ってみようじゃないか! というわけで色々やってみました。

・まず、牛乳はどうか?
まずは牛乳。半々で割ってみます。飲んでみると、アルコール感がぐっと押さえられて、すいすい飲める魔法の飲み物になりました。にもかかわらず、アルコールは7度程度でビールより強いのでこれは要注意ですね。けど、うまいです。どぶろくのしつこさがなくなり、いくらでも飲めそうです。これは、いわゆるアブナイ酒です。なぜか、甘いビスケットが食べたくなりました。

・オレンジジュースもイケるのでは?
どぶろくの甘さと酸味は、ヨーグルトみたいな感じです。ならばフルーツ系は合いそうです。というわけで、オレンジジュースで割ってみました。ジュースは控えめに1/4程度。酸味が増してこれもミラクルですね! オレンジ以外のジュースでもバリエーション楽しめそうですね。ジュースは少しだけ、香りつけ程度に抑えた方がどぶろくの風味をそこなわずに美味しくいただけると思います。

・一応、炭酸も試してみる
カルピスソーダ感覚で、炭酸割り。日本酒の炭酸割りも結構おいしいのでこれもイケるかも。半々で割りました。どぶろくサワーですね。まあ、これは予定通りの味。炭酸の刺激が加わって、若干甘さが増した感じも。日本酒炭酸割りに抵抗ない方なら、試してみる価値あり。

・ならば、ハイサワーでもチャレンジ
「♪~割るならハイサワー~!」炭酸つながりで、ハイサワーでも割ってみました。しかしながら、これはレモンの酸味がありすぎて、どぶろくの風味とモロにがっちんこ、失敗でした。割り材の刺激が強すぎます。もっとソフトタッチの割り材がいいんですね。強い酸味はどぶろくの敵!

・ということは、飲むヨーグルトは間違いないだろう
牛乳がイけるなら、ヨーグルトも良いはず。これも半々で。これは、まったく違和感ナシ。飲むヨーグルトがそのままお酒になりました。デザート感覚のヤバイお酒その2の誕生です。

・カフェオレもいける?
コンビニの甘いタイプのカフェオレ。甘酒にコーヒー飲料を混ぜる飲み方が流行っていましたが、それにヒントを得まして、コーヒー系に挑戦。これもうまい。乳製品系が相性いいですね。普通にカクテルとして成立する感じです。

・ブルーベリージャム!
ここまで飲んでくると、当方すっかりほろ酔い気分。いろいろ分からなくなってきた中、ヨーグルトっぽいならこれも行けるぞ、多分…と、まさかのブルーベリージャム投入。ぐるぐるかき混ぜてみます。これは、まあ、悪くはないですが、なんか、ちょっと苦くなったかも。これも酸味が失敗の原因ですね。イチゴジャムの方が合うかもしません。これはリベンジ案件です。

・結局、燗に行き着くのです
そうこうしているうちに、そういえば、と、先日の記事「にごり酒をお燗しよう」の濁り酒のお燗飲み比べで、とろーり系の濁り酒がお燗に向いていたのを思い出したのです。ならば、どぶろくだってうまいに違いない! さっそくお燗してみました。グラスに注いで電子レンジに放り込み、チン燗です。これは、予想通り、どろっとしたのが、ややさらりとした舌触りになり、味わいはさらに濃厚で飲みごたえ抜群に。凝縮した! と言う感じですね。牛乳で割ってあっさりさせた上ででお燗、というのもありだと思います。

なんだか、どぶろくでやりたい放題やってしまいましたが、いやー、うまい、おもしろい。予想以上に楽しめました。家飲みの最大の利点は、自分勝手に好きに飲めるというところですね。大きな傾向としては、乳製品とは抜群に相性が良いという事です。カルピス割りなんていうのも良さそうな気がします。それと、果汁果肉の酸味は要注意。オレンジジュースは美味しかったですが、他は全敗。強い酸味は「お米感」とぶつかってしまうのだと思います。

日本酒好きにこそ飲んでみて欲しい

酒器に入ったどぶろく
日本酒好きの感覚からすると、どぶろくって何か「色物」という感じがして、いまひとつ食指が動かないかもしれません。でも、その成立の仕方を知るとまさに「初期の日本酒の姿」を現代にとどめている、重要なお酒なのです。日本酒好きを自称する方にこそ、味わって欲しいと思いました。今回飲んでみた「天狗のどぶろく」は比較的大手のメーカーさんのものですが、地方の地酒の中には、もっといろんなどぶろくがあります。今後いろいろ探してみようと思います。また、日本酒はちょっと苦手、という方でも、甘酒感覚で飲めるおいしい飲み物です。ぜひチャレンジしてみてください。

※記事の情報は2019年4月15日時点のものです。
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