【ワイングラスの持ち方】脚を持つのは間違っている!? ソムリエに聞いてみた!
脚を持つのは日本人だけって本当? 外国映画でよく見るあの持ち方は正解なの? ワイングラスの持ち方にまつわる疑問にソムリエがズバリお答え! ワインをより美味しく楽しむヒントが見つかります。
教えてくれたのはこの方!
青田俊一さん
日本ソムリエ協会認定ソムリエ、日本テキーラ協会認定テキーラ・マエストロ。アパレル、インテリア業界と渡り歩いたのち、お酒好きが高じて2009年に名古屋の酒類卸イズミックに入社。
【ワイングラスの持ち方】知っておきたいワイングラスの構造と名称
ワイングラスは「ボウル」「ステム(脚)」「フット(台座、プレートとも)」の3つの部位で構成されています。ボウルの中でも唇が触れる部分を「リム」と呼びます。
【ワイングラスの持ち方】持つべきところはステムか? ボウルか?
ソムリエ青田
私もカジュアルなレストランだとボウルを持つことが多いですね。
編集部員A
え、じゃあステムを持つのは間違いだったんでしょうか…?
ソムリエ青田
いえいえ、間違いじゃありません。でも、確かに海外ではボウルを持って飲んでいる人の姿もよく見かけますね。
どちらが正解ということではなく、TPOによってグラスの持ち方を変えるのが一番スマートなワインの楽しみ方だと思いますよ。
編集部員A
TPOで持ち方を変える?
ソムリエ青田
まずは、ステムを持つ場合とボウルを持つ場合で、それぞれどんな違いやメリットがあるのか見ていきましょう!
【ワイングラスの持ち方】ステムを持つメリットは?
ソムリエ青田
ステムを持つメリットとしては、まずボウルに注がれたワインの色がチェックしやすいのと、手の温度がワインに伝わりにくく香りや味わい、飲み頃を正しく判断できる、という点が挙げられます。
ソムリエの多くがステムを持つのはこうした理由からです。
編集部員A
なるほど~。やっぱりソムリエの方々はステムを持つんですね。
ソムリエ青田
それから「リーデル」などの有名なワイングラスメーカーでは、ステムを持ったときに一番ワインが美味しく感じられるように、人間工学に基づいてグラスが設計されているんです。
編集部員A
へー。じゃあ純粋にワインの味や香りを楽しみたいなら、ステムを持ったほうがいいんだ。
ソムリエ青田
そうです。あと、料理ごとにワインのペアリング提案をしてくれるようなお店では、ワインの種類に適したグラスで提供してくれますよね。お客様にベストな状態で味わってほしいという思いがあるので、そんなお店ではステムを持ってワインの香りや味を堪能したほうが良いでしょう。
編集部員A
ちなみに青田さんはステムのどの位置を持つんですか?
ソムリエ青田
ボウルに近い部分を持つと手の温もりが伝わりやすいので、ステムの中間くらいの位置を、親指、人差し指、中指で持ちます。
【ワイングラスの持ち方】ボウルを持つメリットは?
編集部員A
では、ボウルを持つメリットは?
ソムリエ青田
ひとつは細いステム部分を持つより、ボウルを持ったほうが安定性はあるということ。立食パーティーなどでは、グラスを手にしたまま会話をしたり移動したりするので、ボウルを持ったほうが安全でしょう。
編集部員A
国賓が集まる晩餐会でグラスのボウルを持つ人が多いのも、ワインの味を楽しむというより人との会話を楽しむのが目的だから、安定性が優先されるわけですね。
ソムリエ青田
あとは、ビストロや居酒屋など、小さなテーブルでにぎやかにワインを飲むときも、酔いが回るとグラスを倒してしまう恐れがあるので、ボウルを持ったほうが安全ですね。
編集部員A
家でワインを飲むときは?
ソムリエ青田
家飲みでは、ワインの種類に合わせてグラスを揃えている方ってそんなにいないと思います。家はリラックスしてお酒を楽しむ場なので、ボウルを持ったほうが安心かもしれませんね。
編集部員A
私はグラスをよく倒しがちなので、今度から家ではボウルを持つようにします。
ソムリエ青田
あと、提供されたワインの温度が低すぎる場合、あえてボウルを持って手の温度を伝え、香りを開かせるやり方もあります。
編集部員A
それは上級者テクニックですね! ちなみにボウルはどうやって持てば?
ソムリエ青田
手のひら全体で持つと体温がワインに伝わり過ぎるので、コップを持つように指で持つようにするとよいですよ。
【結論】ワイングラスの持ち方は目的やシーンで変えるのが◎
■「ステム(脚)」を持つのはこんなとき
・ワインそのものの味や香りをじっくり堪能したいとき
・こだわりのあるお店でワインを飲むとき
・ボウルが大きく手で持ちにくいとき
■「ボウル」を持つのはこんなとき
・立食パーティーなどワイングラスを手に持って移動するとき
・カジュアルなお店でにぎやかにワインを楽しむとき
・家でリラックスしてワインを楽しみたいとき
・冷えすぎたワインを温めて香りを開かせたいとき
ワイングラスの持ち方をシーンに合わせて少し変えてみるだけで、ワインとの付き合い方がより広がるような気がします。ぜひ、お試しください!
※記事の情報は2022年1月19日時点のものです。
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編集部員A
この前『大統領の料理人』という映画を観ていたら、フランス大統領がワインを飲むシーンで、ワイングラスのステム(脚)じゃなくてボウルのほうを持って飲んでいたんです。
私はずっと、ワイングラスのステムを持つのが正しい作法だと思っていたんですけど。
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