タイビール7種類を飲み比べ! それぞれの味や特徴、日本のビールとの違いも解説します
タイ料理屋でたくさんの種類を見かける「タイビール」。どんな味のビールなのか、どんな料理に合うのかと悩んだことはありませんか? そんなタイビールの特徴や、味わいの違いを日本のビールとの比較を交えて、日本ビアジャーナリスト協会のビアジャーナリストが解説します。
タイビールの歴史や特徴は?
1990年代に入り、タイではビール製造の自由化が進みました。1955年には「タイ・ビバレッジ社」が「チャーンビール」を発売。以降、タイのビール市場は日本でもおなじみの大手2社による寡占状態が続いています。
タイビールの度数や種類は?
流通しているビールの多くはラガービール。アルコール度数は日本の大手メーカーのビールと同じ5%前後が主流で、クラフトビールにおいてもハイアルコールなスタイルは多くありません。
クラフトビール人気が高まるタイですが、国内で醸造するハードルは高いまま。海外で醸造したビールを逆輸入し、タイのクラフトビールとして販売するものもあります。
また、タイビールには動物をモチーフにしたラベルが多いのも特徴。見た目からもアジアンテイストを感じられます。
タイ現地での飲み方は?
清涼感が増し、見た目も爽やか。本場の気分を味わいたい方は、お気に入りのタイビールに氷を入れて飲んでみてはいかがでしょうか!
タイビール7種類を飲み比べ
①シンハービール
②チャーンビール クラシック
③リオビール
④プーケットビール
⑤チャラワン ペールエール
⑥チャトリIPA
⑦ブッサバー EXヴァイス
日本で最も売れているビール「アサヒスーパードライ」との比較や、合わせて美味しいおつまみについても探ります。
タイビール①|シンハービール
アルコール度数:5.0%
ビアスタイル:ラガー
「シンハービール」は、タイで最も歴史があり、日本を含む世界50ヵ国で販売されるタイを代表するビールです。世界で唯一タイ王室お墨付きの印「神鳥ガルーダ」の紋章を授与され、世界的なビール評論家のマイケル・ジャクソンによる「世界の一流ビール500」(ネコ・パブリッシング)にも選出されました。
ライターが試飲しました!
アサヒスーパードライと比べると?
南原
世界で唯一の辛口「アサヒスーパードライ」と比べると、甘みや酸味を感じ、ややスパイシーな印象があります。
タイビール②|チャーンビール クラシック
アルコール度数:5.0%
ビアスタイル:ピルスナー
世界50か国以上で愛飲されている「チャーンビール クラシック」は、タイで「シンハービール」と双璧をなす存在。地下200m以深の水源から汲みだした軟水仕込みの滑らかな口当たりが特徴です。
ライターが試飲しました!
南原
クセがなく、爽やかでバランスの取れた味わい。
タイの焼きそば「パッタイ」や、鶏出汁で炊いた「カオマンガイ」のような主食のメニューとも合わせやすく、食中酒として楽しむことができます。
アサヒスーパードライと比べると?
南原
キレのある「アサヒスーパードライ」と比べると、「チャーンビール クラシック」の方が麦芽の甘みやコクを感じます。
タイビール③|リオビール
アルコール度数:5.0%
ビアスタイル:ピルスナー
鋭い眼差しを向けるヒョウのラベルが印象的な「リオビール」は、タイビールの中では比較的安価で、タイの庶民に最も愛されているビールのひとつです。
ライターが試飲しました!
南原
とにかくスッキリしていて、ゴクゴク飲めます。今回紹介する7種類の中で、タイ流に氷を入れて飲むのには最も適しているように感じます。
タイでポピュラーな鶏肉のガパオ炒め「パット・ガパオ・ガイ」や豚肉のガパオ炒め「パット・ガパオ・ムー」のように、豚肉や鶏肉を野菜と炒めたシンプルな料理にもよく合います。
アサヒスーパードライと比べると?
南原
「アサヒスーパードライ」と比べても、味わいや炭酸の刺激を含めて、かなりライトに感じます。
タイビール④|プーケットビール
アルコール度数:5.0%
ビアスタイル:ピルスナー
ベトナム原産で、タイで管理されている「プーケットビール」は、厳選された麦芽やホップに加えてタイ特有のジャスミンライスを使用しているユニークなビール。鮮やかなオオサイチョウが描かれたラベルも、東南アジアらしさを感じます。
ライターが試飲しました!
南原
フルーティで爽やか。後から心地よい甘みと酸味を感じます。
プーケットのあるタイ南部の料理は「辛味」「酸味」「甘味」の三つ巴が特徴。「豚キムチ」や、唐辛子をたっぷり入れた「ピクルス」とのペアリングも夏の暑い時期にぴったりです。
アサヒスーパードライと比べると?
南原
「アサヒスーパードライ」と比べても、苦味はほとんど感じません。
タイビール⑤|チャラワン ペールエール
アルコール度数:5.0%
ビアスタイル:ペールエール
「チャラワン ペールエール」は、2010年に誕生したタイのクラフトビールメーカー「フルムーン・ブリューワークス」のフラッグシップビール。タイで最も売れているクラフトビールです。
ライターが試飲しました!
南原
フルーティーな口当たりと長く続く苦味の余韻が印象的。タイのクラフトビールのレベルを知りたい方にはおすすめしたいビールです。
豚肉のガーリック炒め「ムーガティアム」のようなニンニクを使った料理と合わせれば、ホップの香りや苦みを一層感じながら飲めそうです。
アサヒスーパードライと比べると?
南原
「アサヒスーパードライ」の特徴が飲みごたえとキレの良さだとすれば、「チャラワン ペールエール」は力強さと飲みやすさを兼ね備えた絶妙なバランスが魅力です。
タイビール⑥|チャトリIPA
アルコール度数:5.0%
ビアスタイル:IPA
同じく「フルムーン・ブリューワークス」のセッションIPA。コアラのマスクをかぶってムエタイのポーズをするラベルに、何とも言えない愛くるしさを感じます。
ライターが試飲しました!
南原
柑橘系の香りと苦みが感じられ、比較的ライトな味わいが多いタイビールの中で、飲みごたえが欲しいときにおすすめです。
「オイルサーディン」や「鯖のオリーブオイル漬け」のような油分と魚の旨みを感じるおつまみとよく合います。パクチーや生の唐辛子を加えてタイ風にするのもおすすめです。
アサヒスーパードライと比べると?
南原
グレープフルーツを思わせる柑橘系の香りは、オーストラリア産のギャラクシーホップ由来のもの。後からやってくる苦みも「アサヒスーパードライ」にはない特徴です。
タイビール⑦|ブッサバー EXヴァイス
アルコール度数:4.5%
ビアスタイル:ヴァイツェン
「ブッサバー」とは、タイ文学に登場する最も良い香りのする女性の名前。「ブッサバー EXヴァイス」もフレッシュで華やかな香りが心地よいビールです。
ライターが試飲しました!
南原
霞んだ金色と泡立ちの良いクリーミーな泡。ほんのり甘く、後味はスッキリ。いわゆる白ビールと呼ばれるスタイルです。
タイ料理なら、生エビをナンプラーで和えた「クンチェーナンプラー」が合いそうですが、辛い料理が苦手な方は、エビのカルパッチョやお刺身にもよく合います。
アサヒスーパードライと比べると?
南原
「アサヒスーパードライ」や日本の大手メーカーのビールが苦手という方にとっても飲みやすい優しい味わいです。
暑い時期、辛い料理にはタイビールがよく似合う!
スパイスを効かせたタイ料理は日本でも人気が高く、特に夏には食べたくなる方も多いはず。定番のおつまみをちょっとタイ風にアレンジして、ビールをタイビールに変えるだけで、いつもの家飲みも楽しみ方が変わるはず!
今年の夏はタイビールで、家飲みの楽しさを広げてみませんか?
※記事の情報は2024年6月28日時点のものです。
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南原
程よい苦みとスッキリした後味。日本の大手ビールを飲みなれた方にも馴染みやすく、初めてタイビールを飲む方にもおすすめです。
タイ料理全般によく合いますが、ナンプラーが香るタイの焼き鳥「ガイヤーン」との相性は抜群。日本の食事にも合わせやすく、焼き鳥や焼きとんともよく合います。