【お燗グッズほろ酔いリポート】レンチン専用お燗容器や夜桜仕様の使い捨てお燗器も登場
もう梅が咲いている庭もあるというのに、なんだか寒い2月の終わりです。こんな時には燗酒で家飲みに限りますね。天気がよければぬる燗で、雪が降ったら熱燗で。家でお酒を燗する時に使う、便利なグッズを色々試してみました。ほろ酔いリポートをどうぞ!
アルミ製ちろり /お燗用温度計
画像右:日本計量器工業 酒かん計
第一ラウンドに登場は、アルミ製のいわゆる「ちろり」とお燗用の温度計です。
ちろりは、時代劇の居酒屋屋台で「おい、おやじ、熱いのくんな。あと小芋の煮たのな」「へーい」路地の野良猫がにゃー、ほどなくして「へい、お熱いのおまちどう」「おう……こりゃたまんねぇな、いい酒つかってやがる。おやじ、帰りにお稲荷、みやげに持ってけえるから折り詰め頼むぜ」「へーい」と、人の良い居酒屋店主が熱燗を入れてもってくる、アレです。計量カップみたいな形の容器にお酒を入れ、お湯の中に漬けてお燗をするわけです。
一説には錫(すず)でできたチロリを使うと酒がの味がまろやかになるということなんですが、ちょいとお高いので、アルミ製でガマン。お酒が入る部分は三段階に絞ったデザインになっていますが、実はこれ酒量のメモリなんです。下から90cc180c300cc、となっております。
これに日本酒を注ぎ入れ、どんぶりに張ったお湯の中にとぷんと漬けます。ただ、それだけだと、今どれぐらい温まっているかは飲んでみないとわかりません。試飲して温度を見ているうちに、なくなっちゃった?なんてことになると困るので、温度を測りながらお燗したいと思います。
酒かん計は、燗酒専用の温度計。専用です、専用機! たのもしい。デザインも昭和レトロ感覚でかわいい。パッケージのデザインもいいですね。温度表示も「あつかん」「のみごろ」「ぬるい」と燗酒仕様の三段階。チロリの中にそのまま漬けておけます。これ、けっこう重量があるので、チロリのお酒が少なくてお湯から浮いてきちゃうような場合でもしっかり「重し」として役立ってくれるところが秀逸。歴史のある商品はこういうところが光るのです。
どんな温度に燗がついたのか制御できない「どんぶり燗」、こういった風情のある温度計があると楽しいですね。温度計の機能そのものはもちろん、デザインやパッケージも含めて「お燗でのむとおいし~よ~」という「酒飲み応援します!」感がとっても楽しくてうれしいですね。
電気式お燗器
さて、第二ラウンドは、電気製品、すなわちエレクトロニクスです。ツインバード工業の酒燗器「TW-D418B」、テー・ダブル・ハイフン・デー・よんいちはち・ビーです。型番です。型番でお燗です。はやい話が電熱器の上に酒の容器をおいて温めるというもので、温度調節機能もついています。
さっそく使ってみましょう。なんかこう、今回は骨酒的なというか、出汁割的なというか、なんか入れて燗してみようと思ったのです。小さなコンロに一人用の鍋が乗っているような形状なので、京都の「小鍋」気分?というわけで、酒屋で目についたコアゴ(トビウオの子供を干して焼いたやつ)の珍味を投入して、アゴ酒を試みてみました。
あー、これで燗酒約2合、飲んじゃった。まあ記事書くのに本気飲みしなくていいんですが、だからといってせっかく燗つけた酒を途中で捨てるなんつうのは、人のすることじゃねえしなー。まー、これも仕事だし、こちとらも辛えところだわな、分かってくださいよ、旦那、なんつって。さて、お次は?
電子レンジ専用燗付け器
……といわけで、第3ラウンド。
もっともカンタンな燗の方法として、いわゆる「レンチン」があげられます。コップや徳利に酒をいれたら、電子レンジでチンしてしまうというもの。これは抜群に手軽です。ただ、背の高いコップや徳利では酒が均一に温まらない、という難点が。この現代の日本人ならすべての人が悩んでいる問題を解決すべく開発されたのが、「電子レンジ燗漬け器」です。
黒備前と名乗るだけあって重量感のある備前焼。形はいわゆる「かたくち」ですネ。この微妙に歪んだ形状が理想の燗酒対流を作り出し、均一なお燗ができるのだとか。おそらく、流体力学の先端的な研究成果を取り入れ、スーパーコンピュター(例えば「京」とか「ヘリオス」とかそういうやつかな、たぶん)を使った詳細なシミュレーションの末に設計された製品なのでしょう(イメージです)。さらに、うれしいことに容器の蓋は平盃としてつかえます。さっそく……。お酒を入れてレンジに投入。「牛乳」モードであっためてみました。
携帯おかん器
さて、もう、燗酒3合いっちゃってるので、かなり良い気分で迎える最終ラウンド、そのネタは、来るべきお花見シーズンを見越してラインナップした、「携帯用お燗器5回分」セットです。エレクトロニクス、流体力学、ときてトリを飾りますのは、化学、すなわちケミカルパワーです。おそらくNASAあたりの研究で、宇宙でも燗酒が必須栄養素であることが証明され、ありとあらゆるところで燗酒を飲む必要性が叫ばれたのでしょう。それを受け、まさに燗酒の宇宙的ユビキタス化を目指して開発されたのがこの製品だと感じます(イメージです)。
本体は、防水耐熱加工された紙の袋と、水をかけると熱を発する発熱剤のコンビです。ぺたんこに畳まれた紙製の袋を広げたら、それをテーブルの上に自立させ、発熱剤を入れます。さらに水を入れてしばらくすると、化学反応が起こって発熱し、沸騰してきます。そこにお酒を耐熱コップなどに入れ、袋にいれてお燗をします。今回は、買い置きの菊正宗のカップ酒をそのままいれてみました。
お燗グッズ、なかなか面白いです。個人的には流体力学のレンチンお燗容器が気に入りました。ものぐさは一生なおらないですね(笑)。あとチロリと酒かん計は、日本酒好きなら必須アイテムだと思いました。なんだか「通」になった感じがして気分があがります!
やっぱり燗酒最高!
せっかく日本酒を飲むなら、生酒の冷酒だけじゃなく、本醸造あたりをお燗してゆるゆると酔いに身を任せてみてはいかがでしょう? 燗酒は、飲む端からアルコールが吸収され、二日酔いになりにくい飲み方でもあります。飲んだそばから、ほろほろと酔って、いやー、極楽極楽。でも飲み過ぎにだけはご注意を。今回私飲みすぎてしまいました……。
※記事の情報は2018年2月28日時点のものです。
- 1現在のページ