世界一のブレンダーが創ったウイスキー「富士山麓シグニチャーブレンド」を飲んでみた。
熟成のピークに達した原酒を厳選し世界一のブレンディング技術によって誕生したブレンデッドウイスキー「富士山麓シグニチャーブレンド」をレビューします。
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富士山麓ブランドのプレミアムウイスキー
先日の記事でも国産ウイスキーの原酒不足について触れましたが、今回はそんな状況の中、キリンが満を持して発売する、ジャパニーズウイスキーファン待望の新商品をご紹介します。ご紹介する商品は8月21日に新発売となるウイスキー「富士山麓シグニチャーブレンド」です。「富士山麓シグニチャーブレンド」は以前こちらでご紹介した富士御殿場蒸留所で造られるウイスキー、富士山麓 樽熟原酒50°の上位クラス品にあたります。
「富士山麓シグニチャーブレンド」は熟成のピークに達した原酒を厳選し世界一のブレンディング技術によって誕生したブレンデッドウイスキーです。御殿場蒸溜所の世界的に評価の高いグレーンウイスキー、IOW2017(アイコンズ・オブ・ウイスキー2017)にて世界最優秀賞を受賞したマスターブレンダー、田中城太氏のブレンディング技術によるまさにプレミアムなウイスキーです。
「富士山麓 樽熟原酒50°」と「シグニチャーブレンド」の違いは?
具体的に「富士山麓 樽熟原酒50°」(注:2019年3月下旬出荷分で終売)と何が違うのかというと先述した“ピークに達した原酒”をブレンドしているという点。世間のイメージでは熟成はすればするほど美味しくなると思われがちですが、実際は熟成には飲みごろのピークがあり、原酒の種類や熟成環境によってそのピークも異なってきます。
一般的にグレーンウイスキーはモルトウイスキーより熟成が早く進むと言われており、またモルトウイスキー同士でも樽ごとで熟成のピークは異なります。そこでこのシグニチャーブレンドでは樽ごとの熟成のピークを見極め、ピークを迎えた原酒を厳選しブレンドすることで、最も良い状態のウイスキーに仕上げるという手法を採用しています。
なので、明確に何年物のウイスキーを使用しているというのは公表されておらず、おそらくモルト原酒については10年前後くらいの熟成を経たものを使用しているのではないかと思うのですが、当然ながらヴィンテージ表記はできないので、すべてノンヴィンテージでのリリースとなります。
と、さらっと書いてみましたが実はこれ、世界的にも見てもすごく革新的なウイスキーなのです。特筆すべきはグレーンウイスキーのクオリティです。ウイスキーの本場、スコットランドに数多くの蒸溜所あれど、グレーンウイスキーを製造しているところはほとんどありません。しかしこの御殿場蒸溜所は創業当時からグレーンウイスキーとモルトウイスキーの両方を製造している世界的にも珍しい蒸溜所です。
特にグレーンウイスキーについては、3つの蒸溜機を使い分け様々な個性の原酒を造っており、その技術は世界的にも高く評価されています。
とまあ長々と薀蓄を傾けましたが、要は世界的に高く評価されるグレーン原酒、満足な熟成を経たモルト原酒、そしてそれをブレンドする世界一のブレンダー、これで美味しくならないわけがない。というわけでお楽しみの試飲タイムです。
まずは「富士山麓 樽熟原酒50°」をテイスティング
では早速シグニチャーブレンドを試飲といきたいところですが、せっかくなので基本の味わいと比べたいので、まずは「樽熟原酒50°」のほうから。
「樽熟原酒50°」はいつもハイボールでお世話になっていますが、今回はストレートで。香りは熟成香より少しアルコール感の強いイメージ、味わいは原酒らしく口当たりから力強い風味があり、これからまだまだ熟成の伸びしろのあるイメージです。ハイボールにしても活きてくるパンチのある味わいが一番の魅力だと思います。
「富士山麓シグニチャーブレンド」を飲んでみた
続いてシグニチャーブレンドです。グラスに注ぐと、こちらは樽熟原酒よりも濃厚な色合いで、フルーティーな香りのあとに、バニラやキャラメルのような甘く芳醇な香りが残ります。香りの余韻だけで1時間はグラスを楽しめそうです。
味わいはまろやかな口当たりで、甘く芳醇な樽での熟成を感じます。アルコール度数は同じ50度ですが、前者にはまだ荒々しい感じが残っており、後者はアルコールの高さを感じさせないまろやかで円熟した深い味わいに仕上がっています。まさにいまが飲みごろという完成度の高さ、これはシングルモルト一択という方にもぜひ飲んでいただきたいです。
この深く芳醇な味わいは、ハイボールや水割りでも存分に味わうことができると思いますが、ただ冷やすとどうしてもせっかくの良い香りも弱くなってしまうので、個人的にはトワイスアップで飲むのがオススメです。
「富士山麓シグニチャーブレンド」はここで買えます!
「富士山麓シグニチャーブレンド」の楽しみ方
シグニチャーブレンドの美味しさも分かったところで、せっかくですのでペアリングも探っていきましょう。今回は富士山麓ブランドと同じキリングループの小岩井乳業の商品を用意してみました。ちなみに小岩井農場は山手線の内側の半分と同じくらいの面積だそうです。想像もつかない広さです。豆知識でした。
まずは定番のチーズから。チーズはワインに合わせるイメージが強いですが、そのバリエーションの豊富さで、ウイスキーのフレーバーに合わせて楽しめるので、相性は申し分ないです。最初に用意したチーズは6Pタイプ。小岩井のチーズには代表商品である発酵バターを混ぜているので、他のチーズにはない濃厚な味わいがあります。この濃厚な味わいがシグニチャーブレンドのまろやかな口当たりにぴったりです。
お次はスモークチーズです。市販のスモークチーズは“燻製風”が多いのですが、こちらのスモークチーズはちゃんと桜チップで燻してあり、スモークの風味がしっかりしています。このスモーキーな味わいが樽の香ばしさに合わないわけがありません。
最後はレーズンバターです。レーズンバターというと北海道土産のあのサンドを連想しがちですが、こちらは純粋にバターとレーズンだけのものです。かつてはスナックやバーの定番のおつまみとして出されていたそうですが、最近ではめっきり見かけることがなくなった(スナック好きの私でも出会ったことがありません)ので、ウイスキーのおつまみには意外な感があるかもしれません。が、ウイスキーとドライフルーツは鉄板の組合せ。レーズンとウイスキーが合わないわけがないでしょう。
このレーズンの甘みと、バターの口当たりと塩気がシグニチャーブレンドの芳醇な香り、まろやかな口当たり、樽の風味にベストマッチです。塩をなめながら日本酒をちびちび飲む私にはぴったりのちびちび系おつまみです。このシグニチャーブレンドの贅沢な味わいを、時間を忘れてゆったり楽しめそうです。
というわけで、ジャパニーズウイスキー待望の新商品、「富士山麓シグニチャーブレンド」でたまにはちょっと贅沢な家飲みのひとときはいかがでしょうか。発売は2018年8月21日です。発売まで待てない方は御殿場蒸留所の直売店でも購入できるそうですので、避暑を兼ねての工場見学もオススメですね。ちなみに見学の際はご予約が必要ですので、事前にWEBサイトにてご確認ください。
「富士山麓シグニチャーブレンド」はここで買えます!
※記事の情報は2018年7月19日時点のものです。