日本ワインの礎マスカット・ベーリーA ~川上善兵衛の夢を継ぐ者たち②
日本のワインぶどうの父が創業した「岩の原葡萄園」を巡ります。
北斜面・礫岩質の土壌
ブドウ畑と工場を、栽培技師長の建入一夫さんに案内していただきました。社屋の後ろに迫る斜面に歩いて向かうと、下の方だけブドウが植えてあります。以前は斜面全体にブドウが植えられていたのかと質問すると頷き、「段々畑のようになっているところもただの急斜面だったと聞いています」と返ってきました。
ひとつは北斜面であることです。農耕に不向きな土地を活用してブドウを栽培することが目的であったことから、ブドウは北向きの斜面に植えられたのです。 2つ目は土壌が礫岩質であることです。麓の田んぼの一帯は粘土質ですが、葡萄園は岩の原という名前のとおり岩がゴロゴロしています。
豪雪というテロワール
見違えたマスカット・ベーリーA種のワイン
岩の原葡萄園ではこれらのワインの品質の指標として、日本ワインコンクールの評価を重視していると言います。つくり手は自身のワインを一番良いと思いがちです。コンテストはワインに精通した第三者による評価であり、市場の評価に通じます。コンテストで入賞する味わいを目標にすることで、独りよがりにならないようバランスをとっているのです。
かつてワイン好きな人々の間では、マスカット・ベーリーA種のワインの評価はけっして高くありませんでした。キツネ臭といわれる香りを嫌う方が多く、実際、品質レベルの低いものもあったのです。しかし、2007年に岩の原葡萄園のワインが、日本ワインコンクールで金賞を受賞すると、ワイナリーの目の色が変わります。栽培や醸造の仕方を突き詰めてブドウの力を引き出せば、高評価を得るワインになると証明されたからです。以来、マスカット・ベーリーA種のワインの品質は急速に上がっています。
「だいぶ前にマスカット・ベーリーA種のワインは飲んだことがあるけれど……」という方に、様変わりしたマスカット・ベーリーA種のワインを試してみることを強くお勧めします。
ちなみに5/15(土)~5/26(日)は岩の原葡萄園で年に1回の人気イベント「岩の原ワインバル」が開催されます。ワインとおいしいフードをお楽しみいただけるほか、セミナーも開催されるそうです。シャトルバスも運行されるとのことですので、どうぞお出かけください。
イベントの詳細は、こちら。
※記事の情報は2019年4月25日時点のものです。
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