世界最古のフレーバードウオッカ「ズブロッカ」とは?

その爽やかな味わいから根強いファンの多いポーランド産ウオッカ「ズブロッカ」。桜餅の香りがすると言われる唯一無二のウオッカの秘密とは? ズブロッカのカクテルやおすすめの飲み方、「ズブロッカ クリア」との違いなど、ズブロッカの魅力をお伝えします。

ライター:青田俊一青田俊一
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10月26日は「ズブロッカの日」だそうです。これは2018年に輸入元のリードオフジャパンが制定し、今年で2年目になります。

今回、このズブロッカの日に合わせ、ポーランドよりブランドアンバサダーのプシェミスワフ・マトゥシェフスキー(通称シャルメック)氏が来日、ブランドセミナーが開催されました。

もちろんズブロッカラバーの私としては行かない理由はありませんので、今回はこのセミナーをズブロッカの基礎知識を交えつつレポートしたいと思います。
シャルメック氏
ズブロッカのブランドアンバサダー・シャルメック氏

最古のフレーバードウオッカ「ズブロッカ」とは?

ズブロッカはポーランドを代表するフレーバードウオッカです。桜餅のような香りがするのが特徴で、個人的には花見のシーズンによく飲みます。

フレーバードウオッカとは、呼んで字のごとくフレーバーのついたウオッカです。ウオッカというと無色でクセのないスピリッツという印象が強いと思いますが、そのクセのないウオッカの特性を活かしてハーブやフルーツ、スパイスなどを漬け込み香味を付けたものがフレーバードウオッカということになります。

そのフレーバードウオッカの中で、世界で唯一無二の存在がこのズブロッカです。

ズブロッカの歴史

ズブロッカの歴史は14世紀、カシミール3世の時代に遡ります。カシミール3世は、法典の整備、通貨の発行など統一国家としての体裁を整備するなど、ポーランドの発展に大きく寄与した人物です。また天文学や法学の研究を主とするポーランド初の大学を設立するなど研究の分野にも貢献したことでも知られています。

その研究の中のひとつが薬学でした。当時のポーランドでは寿命が短かったため、薬学研究も重大な課題だったそうです。この研究の中で目に留まったのがバイソンでした。

バイソンは長寿の動物とされており、観察することで長寿の秘密が分かるのではないかと考えられたからです。その結果、着目されたのがバイソンが食料としている“バイソングラス”でした。

時を同じく14世紀は、錬金術師がポーランドで初めてウオッカの蒸留に成功した時代。ポーランドでのウオッカ人気は急速に高まり、当時のポーランドの開拓者たちはウオッカに様々な自然の素材を加えるようになりました。

この流れの中で長寿の秘訣とされた“バイソングラス”もウオッカに加えられるようになり、1534年に出版されたポーランドの薬草ハンドブックには、このバイソングラスを使用したレシピが記載されます。

その後、何世紀にもわたり自家製ウオッカとして製造され続けたズブロッカは、1894年に初めて商標として登録されます。そして1953年に現在のズブロッカの製法が確立され、世界中で愛されるフレーバードウオッカとなったわけです。

【バイソングラスとは?】ズブロッカの製造工程

ズブロッカの原料は、ライ麦を中心としたミックスグレーンで造ったウオッカと、バイソングラスのエキス、そしてバイソングラスそのものです。味の要はもちろんバイソングラスです。

バイソングラスはそのまま口に入れて噛んでみると、たしかに桜餅の葉のような香りがします。バイソングラスのエキスからはウッディな香りとバニラのようなほんのり甘い香りを感じます。乾燥した葉とエキスではフレーバーが変わってくるようです。

では、そもそもバイソングラスとはどのようなものなのでしょうか。
バイソングラス
乾燥させたバイソングラスの葉
バイソングラスはイネ科の植物で、バイソンが好んで食べることからバイソングラスと呼ばれています。

ポーランドの北東に位置するビアウォヴィエジャの森の限られたエリアにしか自生していない大変希少なもので、栽培することも難しいため、許可を得たわずか20家族の人々によって保護をしながら収穫しているそうです。

ちなみにこのビアウォヴィエジャの森は1992年にユネスコの世界自然遺産に登録されています。

バイソングラスの刈り取りは、香りが最も豊かになる初夏に行われます。刈り取られたバイソングラスは自然乾燥したのち、エキスが抽出されます。このエキスによってズブロッカ独特のフレーバーが生み出されるわけです。

そして大事な最終工程、バイソングラスを瓶に入れる工程です。これは機械で入れることができないため、世界中のどの国に出荷する製品も同様に1本ずつ手作業で入れているそううです。

バイソングラスは収穫から瓶に入れられるまで驚くほど人の手が関わっているんですね。

ズブロッカのノンフレーバードウオッカ「ズブロッカ クリア」とは?

と、ここまでバイソングラスについて説明しましたが、2018年からバイソングラスの入っていないノンフレーバードウオッカも日本で発売となっています。それが「ズブロッカ クリア」です。

ズブロッカ クリアは、2010年にポーランドで発売開始となったズブロッカのスタンダードウオッカです。ズブロッカ バイソングラスと同様に7回の蒸留を経たのち、チャコール、セルロース、プラチナを使ったフィルターで濾過された雑味のないクリアな味わいが特徴。2014年以降、ポーランド国内でのウオッカの売上ナンバーワンブランドになっています。

実際に試飲してみると、ズブロッカはバイソングラスが特徴的なバイソングラス由来のアーモンドやバニラ、シナモンのような味わいなのに対し、ズブロッカ クリアのほうは雑味がなく、口当たりの柔らかいグレーン由来のほんのりとした甘さを感じます。カクテルベースとして使い勝手がよさそうです。
ズブロッカ クリア
ズブロッカ クリア

ズブロッカの美味しい飲み方

ズブロッカはストレートでも十分に美味しいのですが、炭酸やトニックウォーターで割ったりカクテルにしたりしても楽しめます。

特にりんごとの相性が良いとのことで、本場ポーランドでは、アップルジュースで割って飲むことが多いそうです。このカクテルは「シャルロッカ」と呼ばれています。ちなみにシャルロッカとはポーランド語でアップルパイのことだそうです。

今回のセミナーではりんご果汁100%のスパークリング・ジュース、アップルタイザーでスパークリングシャルロッカにして試してみました。
ズブロッカとアップルタイザー
アップルタイザー割り
スパークリングシャルロッカのお味はというと、飲み口はとても爽やか、桜餅のような香りとりんごの優しい甘みが調和しています。たしかにりんごとの相性は抜群ですね。

普通のアップルジュースを使うよりアップルタイザーのほうがより爽やかで飲みやすくなっていると思います。

他にもクランベリージュースと炭酸で割った「ピンクバイソン」やズブロッカで作るモヒート、「ズヒートラム」などいろいろカクテルレシピがあるそうです。
ズブロッカ 認定証
ブランドセミナーの受講証
ズブロッカは日本ではまだまだ馴染みが薄いお酒ですが、桜餅のような香りは日本人にはとても馴染みのある香りなので、たぶんハマる人も多いはず。カクテルも手軽なレシピで楽しめるので、1本あれば家飲みで重宝すると思います。

セミナーでは最後に受講証をいただくことができたので、ズブロッカの伝道師として今後がんばっていきたいと思います。家飲みのラインナップにズブロッカ、おすすめです。
 

ズブロッカ バイソングラス【商品概要】

  • 産地:ポーランド
  • アルコール度数:37.5%
  • 容器 / 容量:700ml / 瓶
  • 参考小売価格:1,440円(税抜)
  • 輸入元:リードオフジャパン
  • ※ほかに500ml、200ml、50mlのラインナップあり

ズブロッカ クリア【商品概要】

  • 産地:ポーランド
  • アルコール度数:37.5%
  • 容器 / 容量:700ml / 瓶
  • 参考小売価格:1,180円(税抜)
  • 輸入元:リードオフジャパン
  • ※ほかに500mlのラインナップあり

※記事の情報は2019年12月16日時点のものです。
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