黒霧島だけじゃない! 霧島酒造の本格芋焼酎、黒・白・赤・茜・黒EXを飲み比べ!

霧島酒造の芋焼酎、人気ですよね。霧島ブランドには、「黒」「白」「赤」「茜」などいろんな兄弟がいます。これらはいったいどう違うの? 編集部の焼酎好きを招集して各種飲み比べてみました。家に常備するならどの霧島にする?

メインビジュアル:黒霧島だけじゃない! 霧島酒造の本格芋焼酎、黒・白・赤・茜・黒EXを飲み比べ!

霧島五種類飲み比べ開催!

芋焼酎の世界に革命を起こした霧島酒造。初蔵出しは大正5年だそうです。サツマイモの本場である、地元宮崎で獲れた良質なサツマイモと、霧島連山に降った雨がシラス台地で濾過された美味しい水、霧島裂罅水(きりしまれっかすい)で仕込んだ芋焼酎で一世を風靡しました。

製品の中でも「黒霧(くろきり)」の愛称で親しまれる「黒霧島」は、2000年代初頭の芋焼酎ブームを牽引し、国民的な人気酒になりました。今でも今日は焼酎飲むか、という時、酒屋さんでついつい黒霧を手に取ってしまう方も多いのではないでしょうか。

霧島酒造の芋焼酎には、人気の「黒霧島」以外にも「〇✕霧島」という兄弟のようなお酒が色々あります。ついつい、いつものクセで「黒」を買ってしまいがちですが、本当のところ他の霧島ってどんな味なの? というわけで霧島シリーズのうち、手軽に町の酒屋さんで手に入る銘柄を飲み比べてみることに。
霧島シリーズ
今回飲み比べた霧島5兄弟。黒、白、赤は、お店によっては900mlを千円以下で購入可能。茜と黒EXは千円台前半で売られています
今回は、同価格帯の「黒霧島」「白霧島」「赤霧島」に加えてちょっと高価格帯になる「茜霧島」「黒霧島EX」を、編集部のみんなで飲んでみました。

黒霧島はいつもの安心の味わい

黒霧島
みんな大好き黒霧島
定番芋焼酎、黒霧島。霧島酒造のHPを覗いてみると、「トロッと キリッと」というキャッチフレーズが冠されています。かつて「臭い焼酎」としてマニアックな存在だった芋焼酎を人気のお酒にのし上げたのが、この黒霧島です。前述のように2000年代前半の芋焼酎ブームは、この黒霧なくしては考えられない現象でした。今でも常備酒として愛飲している方も多いはず。

霧島酒造創業当時に蔵出しされていた芋焼酎を、最新の設備で再現したものだそうで、いわば、霧島酒造の芋焼酎の原点ともいえるお酒です。原料のサツマイモは、九州を代表する品種、黄金千貫。仕込みに使う麹は、焼酎造りにはポピュラーな黒麹を使用しています。

まずはこの黒霧島をあらためて飲んでみましょう。飲み方はご自由に、ストレートでもロックでも水割りでも。さ、召し上がれ。
 
みんなの感想

みんなの感想

「うーむ、久々に飲んだけどやっぱり美味しいね」

「水で割ると甘みが倍増する感じ」

「やっぱり、いい香り」

「実家(福岡)ではこればっか飲んでた。今でも家で飲んでます」

「奥のほうに、焦がした麦のような香ばしい香りがあるね。おいしい」

「炭酸で割ると甘みに加えて酸味が立ってウマい」

たしかに、これは間違いない!いつもの霧島の芋焼酎。なんかほっとしますね。私のところでは月のうち20日程度はこの黒霧の紙パックがご滞在。滞在中はほぼ毎日黒霧ロックや水割りを1、2杯頂くのが通例です。普段は何気なく飲んでいる黒霧ですが、あらためて注意しながら飲んでみると、甘みはもちろん、香ばしさやアミノ酸系の旨味や酸味が入り混じったとても複雑な味わいであることがわかります。飲み飽きしない、良いお酒です。

編集部員からは「もう、芋焼酎はこれでいいよ、これだけで充分!」という声もありましたが、まぁまぁ、そう言わずに…… 

黒の次は白。白霧島を頂きましょう。

白霧島はガツンと来る !

白霧島
なにやら落ち着いた佇まいの白霧島
サツマイモに黄金千貫を使うのは黒霧島と同じですが、麹に白麹を使った焼酎です。白麹はもともと黒麹の突然変異したものだそうで、芋焼酎造りでは黒麹とならんで主流をなしています。白麹の特徴を調べてみると、爽やかで軽快という記述がある一方、優しく丸みがある、という表現もありました。仕込みによって色んなキャラクターになる、ということでしょうか。メーカーHPのキャッチフレーズは「どしっと ほわんと」ですが、さて、実際のお味は?
 
みんなの感想

みんなの感想

「くわっ、ガツンと来る」

「これは、男っぽいねぇ」

「シャープな味、トガッてる」

「飲みごたえが堪らん!」

「辛い!刺激的」

「なんか、ちょっとウィスキーっぽくない?」

「あ! これ、ジンだ!」

確かに、黒霧島とはかなりキャラクターが異なります。黒霧と比較してアルコール感が強く、飲みごたえがありますね。焼酎好きの私としてはとっても好印象です。白霧島の元になっているのは、創業当時からほぼ地元だけで飲まれていた「霧島」という銘柄だそうです。こういうガツっと来る感じが、芋焼酎のふるさとで愛される、芋焼酎らしい味わいなのかもしれません。

編集部のコメントの中に「ジンに似ている」というのがありますが、詳しく聞いてみると、彼の脳裏に飛来したイメージとは「ジュネバ」という伝統的製法で作るタイプのジンだったとの事。本格焼酎と同じく、単式蒸留機(ポットスチル)で蒸留するので原料の風味がよく残る製法だそうです。たまたま編集部のスタジオにBOLSというメーカーのジュネバが転がっていたので、飲んでみると、確かにニュアンスがとっても似ています。原料も全然違うのに、面白い!

さて、白の次は赤。赤霧島を飲んでみましょう。 

赤霧島は繊細な味わい

赤霧島
ドレッシーな雰囲気を漂わせた赤霧島
黒霧島の黒は黒麹の黒、白霧島の白は白麹の白。では、赤霧島の赤は? これは原料のサツマイモの品種に秘密があります。赤霧島に使われるサツマイモは、紫優(むらさきまさり)というポリフェノール豊富な品種。このサツマイモ由来のポリフェノールと、麹が作り出すクエン酸が反応しあい、もろみが真っ赤に染まるのだそうです。それで「赤」霧島。

さらにこの紫優というサツマイモは、でんぷん量が多く、香りも華やかなのだとか。メーカーHPによるとキャッチフレーズは「みやびに するっと」ですが……。ではさっそく味わってみましょう。
 
みんなの感想

みんなの感想

「あー、上品。いつまでも飲んでいられる」

「なんだか、乳酸っぽさがあるよ」

「フローラルなお酒、かな」

「甘みもあるし、酸味もある」

「とっても軽やかだね」

「これは繊細なお酒!」

「すごくおいしいけど、合わせる食事は結構迷うよね」

実は今回飲んだ中で(黒霧を別にすると)編集部内で最も好感度が高かったのがこの赤霧島でした。白霧島とは真逆の方向で黒霧とのキャラの違いが際立ちます。芋焼酎でありながら、繊細な香りと飽きさせない酸味が魅力的です。造りの過程やブレンドなど、いろいろと手をかけての事だとは思いますが、芋の品種が違うだけでこれほど味わいが異なるとは驚きです。黒霧島はどんな食事でも合う万能食中酒だと思いますが、この赤霧島は、食事を結構選ぶ感じはしますね。食中酒というよりは単独で味わう系のお酒かもしれません。

発売当初は限定販売だったので品薄感がありましたが、現在では普通に手に入るようになりましたね。うれしい限りです。

さて、黒、白、赤と来て、次はちょっとだけ高価格帯の茜霧島です。

茜霧島は もはや芋焼酎ではない?

茜霧島
エレガント&ゴージャスな雰囲気で登場、茜霧島
茜霧島の原料は、いわゆるオレンジ芋と呼ばれる「タマアカネ」という品種。オレンジ色をしたフルーティーなサツマイモだそうです。これに加えて、発酵に使う酵母に特徴があります。酵母は、霧島酒造独自の「芋の花酵母」を使用。これは「花らんまん」という観賞用のサツマイモ(そんなものがあったんですね)の花から採取された酵母菌だそうです。香り豊かで、キャッチフレーズは「キラッと はなやか」。さて、どんな芋焼酎なのでしょうか。
 
みんなの感想

みんなの感想

「香りがすごいね!」

「これは、芋感ゼロ!」

「ソーダで割ると香りが立つね」

「いや、これはロックが良い!」

「バーのカウンターでオシャレにすするお酒!」

「なんか、切ない味…グッと来るわ」

これは驚きです! 芋焼酎とはまったく違う世界の酒を造ってしまったのでは? というぐらい「芋っぽさ」がない。不思議なお酒です。日本酒でもワイン酵母を使った日本酒らしからぬフルーティで美味なお酒がありますが、それの芋焼酎版、といったところでしょうか。赤霧島の方向性をさらに遠くに伸ばした感じで、これまた黒霧とは一線を画すキャラクターです。これは芋焼酎としてどうこういうよりも、ジャンルを超えた「なんだかおいしいお酒」という新ジャンルのスピリッツになっているのでは?

華やかな香りで、繊細な甘みと酸味があります。さらに、トロピカルな雰囲気も感じますね。食事と合わせるというより、チョコやナッツ、ドライフルーツなんかをちょっとつまみながら、ゆったり飲みたいです。

さて、最後に飲んでみるのは、黒霧島のパワーアップ版、黒霧島EXです。

黒霧島EX はぐいぐい来る!

黒霧島EX
エナジードリンクを思わせるパワフルなルックス
黒霧島EXは、黒霧をベースに、味わいをさらにパワーアップしたものだそうです。黒霧島の味わいの特徴である「トロッと」「キリっと」に加え「あまみ」「うまみ」「まるみ」といった5つの評価軸をすべて引き上げ、アップデート版黒霧島として登場した銘柄です。ラベルに五角形が刻印されていますが、これは上記の「5つの評価軸=おいしさ(デリシャスペンタゴンと呼ぶようです)」を象徴したものだそうです。さて、この黒霧島EX、従来版黒霧をどう超えてくるのか?
 
みんなの感想

みんなの感想

「これ、旨味がすごいね」

「リッチで太い味わい」

「ずんずん迫ってくる感じ」

「コクがあって、しかもなめらか」

「押しが強い!ぐいぐい来る感じ」

「これは芋焼酎界の黒船だ(?)」

従来版黒霧島に比べ、際立つのは圧倒的な「旨味」でしょうか。黒霧、お前一回り大きくなって帰ってきたな! という印象です。従来版黒霧島が食事のそばに寄り添うイメージなのに対して、この黒霧島EXは、食事とがっぷり四つになる、というイメージかな。まさしく、すべての味わいが濃くなった黒霧島リッチバージョンです。ぐいぐい迫ってくる、肉食系芋焼酎?合わせる食事も白身の魚から、脂っこくて甘じょっぱいお肉まで何でも受け止めてもらえそうな、懐の深さを感じます。

黒・白・赤・茜・黒EX、どれにする?

今回、5種の霧島を飲み比べてみて、ああ、同じ霧島でもこんなにも違ってたんだ、と気づいた次第。面白かったです。そしてどれもおいしかったです! 霧島5兄弟、ほんと個性派ぞろいですね。霧島の芋焼酎の中で…… というより、同じくサツマイモで造った焼酎の中でこれだけのバリエーションが生まれて来るのが驚きです。

それにしても、と思うのは、黒霧島の優等生っぷりですね。万人に愛されるバランスの良さ、優しい口当たり、後切れがよく飲み飽きない…。本当によくできた和酒だと思います。その上で……

●より繊細でキレイな焼酎が飲みたい!
定番「黒霧島」の、飲みやすさや甘さ、香りの良さが好きな方は、繊細な赤霧島や華やかな茜霧島を試してみると良いかもしれません。従来の芋焼酎のイメージから遠く離れて繊細、華やか、トロピカルな世界を味わえますよ。

●より飲みごたえを追求したい!
黒霧島のキリっと感や酸味が気に入っている方なら、ガツっと来る白霧島が試してみる価値アリ、かも。芋焼酎の原点に回帰しながらも泥臭くなく、洗練された味わいです。

●よりリッチなものが飲みたい!
黒霧島EXは、黒霧島からのちょっと贅沢な乗り換え先として検討する価値があるのでは? と思います。

さぁて、あなたはどの霧島にする? これから焼酎ロックやソーダ割がぴったりくる季節です。お気に入りの一本を見つけて、ぜひ、おいしい霧島ライフをお楽しみください。

※記事の情報は2020年3月26日時点のものです

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