新國みなみ『きのこくーちか』の再現レシピ《肴は本を飛び出して㉔》
秋の味覚といえば「きのこ」。新國みなみ先生の『きのこくーちか』から、「なめこ」をたっぷり使った3品が登場! 家飲み大好きな筆者が、「小説やエッセイ、漫画に出てきた食べ物をおつまみにして、お酒を飲みた~い!」という夢を叶えるべく、憧れのレシピを再現します!
きのこにまみれたちょっと不思議で美味しい物語に胸キュン!
◾こんな本です
きのこをテーマにした新國みなみ先生の初単行本。さまざまなきのこが描かれた表紙に一目惚れして数年前に購入しました。全2巻となっていますが、ぜひとも続編を出してほしいと切願するほどお気に入りの漫画です。
主人公は、京都のひなびた一軒家で男子ふたり暮らしをする、きのこアーティストのゆん太とロシア雑貨店のロシア人バイヤー・ワーニャ。ひょんなことからルームシェアをすることになったふたりは「きのこくーちか」。クーチカとはロシア語で「仲間」の意味だそうで、ゆん太が作るきのこグッズをワーニャの店で販売したり個展を開いたりしながら、忙しくも楽しい日々を送っています。ゆん太作のグッズやふたりの家のインテリアなど、背景にさりげなく登場するきのこアイテムがはちゃめちゃにかわいくて、本当にこんなショップがあったらいいのに! と何度悶えたことか。
一話ごとにひとつのきのこがテーマとなっていて、大抵は美味しく食べるお話なのですが、中には「それ食べちゃうの……!?」なんてネタも。
登場するきのこは、オニフスベ、ベニテングタケ、ヤマブシタケ、どんこ、なめこ、タマゴタケ、ヒラタケ(以上1巻)、ムキタケ、イボセイヨウショウロ、シネンシストウチュウカソウ、ヤマドリタケ、アミガサタケ、シャグマアミガサタケ(以上2巻)。
この中で私が知っていたのは1/4くらい。ほえ〜、いろんなきのこがあるもんだとお勉強気分も味わえます。ここで読んで気になっていたヤマブシタケを実際にスーパーで見つけたときは嬉しかったな〜。お吸い物にしたらとてもいいダシが出ましたよ。
きのこレシピとしても実用的ですし、全編に散りばめられたきのこの絵を図鑑的に楽しむこともできるのが素敵。
折しも秋はきのこの季節。お手軽なきのこ入門書におすすめです。
ゆん太とワーニャを取り巻く人たちもまるできのこのように個性豊か。ちょっとエキセントリックなワーニャの元妻と、クールな連れ子のつぐみちゃん、ゆん太の唯一の肉親である寡黙な家具職人の叔父さん、ロシアからやってきたワーニャの弟(超絶美少年)などなど。その中でも群を抜いて明るいキャラクターなのが、きのこフェチ女子高生のベニちゃんです。
新國みなみ /小学館 『きのこくーちか①』[なめこ]より
新國みなみ /小学館 『きのこくーちか①』[なめこ]より
新國みなみ /小学館 『きのこくーちか①』[なめこ]より
お品書き
- なめこのバター醤油焼き
- なめこのホットサンド
- なめこごはん(なめこと鮭の炊き込みおにぎり 野沢菜入り)
【きのこくーちか再現レシピ①】なめこのバター醤油焼き
新國みなみ /小学館 『きのこくーちか①』[なめこ]より
・なめこ
・醤油
・バター
<作り方>
① フライパンでバターを熱してなめこを炒め、醤油で味付けする。
② 仕上げに追いバターを乗せる。
味噌汁の具やおろし和えなど和食のイメージが強いなめこが、バターとこんなに合うなんて! ぬめりがあるのでバター醤油の味がよく絡むのも最高です。これ、採れたての天然もので作ったらどれだけ美味しいのかしら……。白ワインを合わせましたが冷酒でもよさそ〜。
【きのこくーちか再現レシピ②】なめこのホットサンド
新國みなみ /小学館 『きのこくーちか①』[なめこ]より
・なめこ(炒めておく)
・食パン
・チーズ
・炒り卵(半熟目に仕上げておくといい)
<作り方>
① ホットサンドメーカーに食パンをセットし、その上にチーズ、炒り卵、炒めたなめこを順番に重ね、もう一枚の食パンでサンドして焼く。
これまた洋風な一品。実は過去にも2回再現しているので美味しさは実証済みです。
漫画の中では特に味付けについては触れられていませんでしたが、私はなめこを炒める時にほんのちょっと醤油を垂らし、炒り卵にはマヨネーズと塩こしょうを加えています。この辺はお好みで。焼く時にさらに火が入るので、炒り卵は半熟気味にしておくのがおすすめです(今回はちょっと火が通り過ぎました)。
ベニちゃんのセリフを借りると「カリッ! とろっ! プリプリや」な、なめこのホットサンド。不思議な食感でクセになりますよ。これにはビールがぴったり!
ホットサンドメーカーがなければ、トーストしたパンでサンドしてもよさそうです。
【きのこくーちか再現レシピ③】なめこごはん(なめこと鮭の炊き込みおにぎり 野沢菜入り)
新國みなみ /小学館 『きのこくーちか①』[なめこ]より
新國みなみ /小学館 『きのこくーちか①』[なめこ]より
・なめこ
・お米
・鮭の切り身
・野沢菜(細かく刻む)
・焼き海苔
<作り方>
① 洗って浸水させた米、鮭、なめこ、野沢菜を飯盒や炊飯器に入れて炊く。
② 炊き上がったら鮭の身をほぐし、おにぎりにして海苔を巻く。
またもや味付けの説明はありませんでしたが、私は甘塩の鮭を使い、炊飯時にだし醤油を適当に加えました。鮭の塩加減に合わせてお好みで調味してくださいね。そして野沢菜は半分を炊き込み、色味と食感のために残り半分は炊き上がってから加えました。
とぅるっとしたうっすら醤油味のなめこ、ほんのり塩っぽくてほっくりとした鮭、そしてシャキシャキの野沢菜という組み合わせが絶妙です。ご飯ものだけど充分お酒のつまみになります! これは日本酒いっときましょう。
炊きたても、さめて味が馴染んだものも両方美味しかったです。
***
いつもは脇役に徹することが多いなめこが堂々と主役をつとめた3品に大満足! 特に洋風の味付けにすると、また違った表情を見せてくれるのが楽しいです。そしてお酒に合います。
なめこは冷凍もできると聞き、今うちの冷凍庫には小分けにしたなめこがいつでも登場できるようにスタンバイしている状態。これで好きなときになめこおつまみが作れます。
ここまで読んでくださったあなたも「なめこくーちか」になってくれますように!
※記事の情報は2021年10月5日時点のものです。
- 1現在のページ