たな『ごはんのおとも』の再現レシピ《肴は本を飛び出して⑳》
「小説やエッセイ、漫画に出てきた食べ物をおつまみにして、お酒を飲んでみたい」 家飲み派の筆者がささやかな夢を叶える連載、今回は食ストーリー漫画『ごはんのおとも』からの再現です。
お腹グーグー&心ぽかぽかになる、「ごはんのおとも」をめぐる人々の日常物語
◾あらすじ
とある街の路地奥に佇む気軽な料理店『ひとくちや』に集まるさまざまな客が、一話ごとに入れ替わりで主人公となるオムニバス形式の食ストーリー漫画。
「まるで魔法みたいに」みんなが食べたいものをなんでも用意してくれる『ひとくちや』店主のクマさんと最愛の姉さん女房をつないだ「そぼろのおむすび」、常連の食いしん坊サラリーマンが自炊の楽しさに目覚めた「たまごの黄身のしょうゆ漬け」、せっかちで心配性なお父さんの誕生日に中学生の娘が作ってあげたクマさんレシピの「づけ」などなどなど。全2巻18話にわたってそれぞれの主人公と「ごはんのおとも」がおりなす、やさしく、時にせつない物語がフルカラーで描かれています。
各話の最後には簡潔なレシピとおまけ漫画がついていて、これを読むのも大きなお楽しみ。例えば「なすの浅漬け」の回なら、基本の浅漬けレシピに加えて、お茶漬け、そうめん、塩昆布和え、かつおまぶしと、作者のたな先生が実際に何度も作って普段から食べ親しんでいると思われるアレンジ例も見逃せません。
全編を通して、たな先生の描く食べ物がほんっっっとうに美味しそうで美味しそうで、お腹がいっぱいのときに読んだとしても「あーこれ食べたい!」と思わざるを得ないほど。「たまごの黄身のしょうゆ漬け」が1日目のとろっとろから3日目のキュッと締まった状態になるまでの変化を幾重ものグラデーションで描いたのとかね、夏野菜をこまかーく刻んだ中に昆布のぬめりがぷくぷくしている「だし」とかね、写真よりもリアルな描写に激しく心奪われております。
私が特に好きなカットをいくつかご紹介しますね。
たな /実業之日本社 『ごはんのおとも』2巻より
たな /実業之日本社 『ごはんのおとも』2巻より
たな /実業之日本社 『ごはんのおとも』2巻より
◾ここを再現
たな /実業之日本社 『ごはんのおとも』2巻[かあちゃんの備え]より
たな /実業之日本社 『ごはんのおとも』2巻[かあちゃんの備え]より
たな /実業之日本社 『ごはんのおとも』2巻[かあちゃんの備え]より
『ごはんのおとも』再現レシピ
《にくみその作り方》
・豚ひき肉
・ニラ(小口切り)
・ショウガ(みじん切り)
・豆板醤
★水、砂糖、醤油、味噌を合わせたもの
<作り方>
① フライパンを熱して豚ひき肉を炒める。※作中では表記がありませんでしたが、ここでショウガも加えました。
② ひき肉の色が変わったら、にらと豆板醤を加え混ぜ合わせる。
③ なじんだら★を加え、中火で汁気がなくなるまで炒める。
◾お品書き
・にくみそ入りオムレツ
・にくみそチーズトースト
・にくみそマヨと夏野菜(おまけ)
【ごはんのおとも再現レシピ①】にくみそ入りオムレツ
・にくみそ
・玉子
・ホウレンソウ
<作り方>
① ホウレンソウは軽く茹でるか電子レンジで加熱して、食べやすく刻む。
② 玉子を溶いてにくみそと①を入れ、小さめのフライパンでじっくり弱火で焼く。
「トルティージャ!」(スペイン風オムレツ)とたな先生がコメントされているように、厚めに焼くのがポイント。にくみそにしっかりと味が付いているので、材料を混ぜて焼くだけなのが簡単でいいですね〜。アツアツでもさめても美味しいのが酒飲みにうれしい。冷え冷えの白ワインと一緒にたっぷりと味わいました。
【ごはんのおとも再現レシピ②】にくみそチーズトースト
・にくみそ
・食パンなどお好みのパン
・チーズ
<作り方>
①パンににくみそ、チーズをのせて焼く。
おつまみ仕様に小さくカットした食パンを使いました。みそとチーズは発酵もの同士だから相性がいいんですよね。とろ〜っととろけるチーズの中から顔を出すこっくり味のにくみそ、いいあんばいです。これはビールがグイグイ進むやつ!
【ごはんのおとも再現レシピ③】にくみそマヨと夏野菜
・にくみそ
・マヨネーズ
・キュウリ、セロリ、ミョウガなど
・七味唐辛子など好みの薬味
<作り方>
① 常温にしたにくみそとマヨネーズを和える。
② 食べやすくカットした野菜に①を添える。
すみません、これは本編には登場しない私の勝手なアレンジです。オムレツもチーズトーストもこっくり系だったので、ちょっとあっさりめの味を入れたくて……。にくみそだけを添えるのもアリだと思うのですが、夏なので少し軽めにしたくてマヨネーズを加えました。さらに七味唐辛子で刺激をプラス。冷酒をスイーとやりながら、ポリポリと野菜を食みましたよ。
【ごはんのおとも再現レシピ④】にくみそ目玉ごはん
・にくみそ(常温に戻すか、温めておく)
・玉子
・ごはん
<作り方>
① 玉子は好みの焼き加減で目玉焼きにする。
② ご飯ににくみそと①をのせる。
これは先の3品を作った翌朝に持ち越した締めごはん(というか朝ごはんか)。半熟の黄身を絡めたにくみそのうまいことうまいこと……。想像に易いと思います。ごはんを麺にしても間違いないですね。パクチーやネギなどをたっぷりトッピングするのも美味しそうです。
***
「白飯に合うものはすべからく酒にも合う」というのは、我ら家飲み派には周知の事実ですが、今回の再現でしかと再認識しました。「ごはんのおとも」は「おさけのおとも」。
残り17話分の「ごはんのおとも」がどんなお酒に合うのか想像するだけでもひと夏楽しめそうです。
※記事の情報は2021年6月24日時点のものです。
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