おでんに絶対欠かせないもの~私の場合~
あつあつおでんが楽しめる時期も残りわずか。おでんには人それぞれ、好みの出汁や具材があるものですよね。今回は、お酒好きのフードライター白央篤司さんが、いつも家で楽しんでいるこだわりのおでんを紹介してくれました。みなさんも、今宵はお好みのおでんで一杯、いかがですか?
ちょっと春めく日は暖かさが嬉しい反面、「ああ、もうおでんの時期が終わってしまう…」となんだかさびしくもなり、思わず大根を手に取ってしまう私がいます。
うちのおでんは仕込んでからひと晩寝かせ、翌日に食べるのが常。暖かい日の翌夜なんてのはまた急に冷え込むことも多く、仕込んでおいた自分を褒めながらよく一杯やっております。
きょうはおでんの話でもしながら、飲みましょうか。
うちは「鶏がら×昆布」がベースなんですよ。ですが昨日、たまたま骨付き鶏もも肉がえらい安くなっていたので使ってみました。うん、いい出汁でるなあ。
昆布と一緒に沸騰ギリギリぐらいのやさしい火加減で30分煮て取り出します。出汁がらの昆布は佃煮にしてもいいし、私は細かく刻んで五目炊き込みごはんに加えることも。鶏の肉の部分はむしって、きゅうりと和えものなんかにしてもおいしい。
面倒なときは、めんつゆでも。私はミツカンの「プロが使う味 白だし地鶏昆布」によく助けてもらってます。今回おでん原稿を書くにあたり、ツイッターでおでんに関するアンケートも取らせていただいたんですが、「創味の『京の和風だし』がいい」「東北醤油の『万能つゆ 味どうらくの里』が一番味が決まる」「熊本ではホシサンの白だしが欠かせない」など、めんつゆ派のお気に入りもいろいろ。あるいは「しじみと昆布」をおでん出汁にされている方もあり、家の数だけおでんつゆもあるなあ…と感じ入りました。
おでんって具だくさんがおいしいけれど、逆に考えると「ミニマムに作るなら何が必須?」という問題にもぶち当たりますね。私個人の考えとしては
① 大根(おでんらしい風味を構成する軸となる)
② 魚介系の練りもの(ちくわ、さつま揚げなど)
③ 個人的に「絶対欠かせない」と思っているもの
この3要素だと思っています。大根独自の出汁と香り、魚介の練りものから出るうま味と塩気と甘味、そしておでん好きなら誰しもある「○○がなきゃおでんじゃない!」というエトセトラ。これらが一緒に煮込まれたとき、はじめておでんが成立するのではないでしょうか。
私の場合は筆頭が厚揚げなんですよねえ…。なぜか年々好きになる。
豆腐のさっぱり感は保持しつつ、それなりの食べごたえもあり。かたいのと柔らかいのがありますけど、私は柔らかな絹揚げ派です。薬味は辛子もいいけど、山椒の粉もいい。軽くパラッとふったところを日本酒と合わせるとね…もう、たまらんのです。
ちなみに「おでんの好きな具」、関東ではちくわぶ、関西では牛すじを挙げる方がとても多かった。最近は西日本でもちくわぶを買えるところが増えてきたな、と旅していて感じます。上の写真のちくわぶの横は、さつま揚げ。こちらもおでん界のスターですな。
飲みつつこんなことを考えるのが、私は妙に楽しくて。三角に切った黒っぽいこんにゃくも好きだけれど、結びしらたきが私は好きでねえ…。板こんより早く味が染みるのも嬉しい。
そして後ろ、分かります?
アンケートでかなり票を得た、紀文の「魚河岸あげ」です。「好物!」「一家全員が好き」なんて熱いコメント多し。白身魚のすり身と豆腐を混ぜたふわりとした食感が特徴。マイルドな味わいが身上ですが、私はちょっと黒七味をふってつまみにするのも好きです。
私のおでん作りですが、出汁だけで一度練りものと野菜を10分ぐらい煮てから味見して、薄口醤油、酒、みりんちょいで仕上げてます。練りもの類の量にもよりますが、さつま揚げやちくわなどから塩気と甘味が結構出るんですね。その塩梅を見てから醤油の量を調節してます。甘みが強く出てるときは塩を加えることもあるし、うま味が少なければ白だしを足すことも。
きのこやほうれん草はおでんつゆにその個性を強く残しがちなので、私は別鍋につゆを取って煮ていますが、そのへんはお好みで。
様々な出汁を存分に吸い込んだ大根、やっぱりおでんの主役だなあ…としみじみ。ああ、満足だ。このへんでおでん晩酌も、お開きとしますか。
「まだ玉子やがんもが出てない!」「巾着やはんぺんは⁉」とお怒りの方もいるかもですが、ごめんなさい。続きはぜひ、みなさんの今晩の食卓で。
※記事の情報は2023年2月28日時点のものです。
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