高級ワイン産地を訪ねるイタリアの日帰りツアー体験記
イタリアを代表する高級ワイン「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」の産地は、なだらかな丘陵が広がる世界遺産のオルチャ渓谷にあります。トスカーナの州都・フィレンツェからの日帰りツアーで、モンテプルチアーノ、ピエンツァ、モンタルチーノの3つの町を訪ねました。
ツアー前日はフィレンツェで腹ごしらえ
オルチャ渓谷へのツアーの出発は午前8時。前日の午後にフィレンツェに入り、街を歩いてみました。
中心部から少し離れた広場で開催されていたクリスマス・マーケットは、クリスマスや新年向けの飾りや食品を販売する売店がたくさん並び、ホットチョコレートの甘い香りが漂います。そして定番のホットワイン。日が陰り始める頃、暖を求めてつい手が伸びます。大きな寸胴鍋で温めたワインを、お玉で紙コップに汲んでもらいます。八角やシナモンが香り、思ったほど甘くなく、温まりました。
最初の訪問地・モンテプルチアーノ
ミニバンに乗り込み高速道路を走ること1時間半。10時には最初の訪問地・モンテプルチアーノに到着しました。今回の訪問先はこのほかにピエンツァとモンタルチーノの計3ヶ所。すべて標高500mを超える山の頂に町がある城塞都市です。麓にはなだらかな丘が広がり、道路沿いには細い糸杉の並木が続きます。ピエンツァからモンタルチーノにかけてはオルチャ渓谷と呼ばれ、古くから美しい景観を維持してきた地域として2004年に世界遺産に登録されました。
45分の自由見学の後は、広場から歩いて数分のところにあるワイナリーを訪問。試飲ルームを備えたショップと醸造所、そして貯酒庫で、ブドウ畑は麓にあります。「ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノ」というワインの産地で、日本ではあまり知られていませんが、バローロやモンタルチーノと同時期にDOCG*として認定された銘醸地です。ブドウはサンジョベーゼ種主体の、ほどよい渋味の上品な味わいです。テイスティングは2012年からヴィンテージの異なるものを3点、チーズやサラミとともに試します。
*Denominazione di Origine Controllata e Garantitaの略。イタリアワインの格付けにおいて最上位の等級産地
おもしろいのはワイナリーが皆、オリーブオイルをつくっていること。ここでは昔から畑にブドウとオリーブを混植しています。
ペコリーノチーズの町・ピエンツァ
高価なワインを有料で試飲できるよう専用のマシンが置かれていたので、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノを約500円で試飲してみると、これがとてもおいしい。ですが、ボトルでのお値段は8000円とのことで触手が動かず、近いタイプだとすすめられた2500円くらいの「ロッソ・ディ・モンタルチーノ」を購入しました。先ほどの「ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノ」に続いて本日2本目のお買いもの。
そしてこの町で有名なのはペコリーノチーズです。原料は羊の乳。山岳地帯のこの地域で放牧された羊は、他所から調達した飼料ではなくこの土地の牧草を食べて育ちます。だから乳はこの土地ならではの味で、当然チーズにも反映されます。○○産といっても輸入飼料を与えて畜舎で育てたのでは、その土地ならではの味にはなりません。ショップもあちこちにあり、現地では安価なのでお土産としても人気のようでした。
調子に乗って買うと荷物がかなり重くなります。すでに今日はワインを2本、オリーブオイルを1本買っているので、自重して中くらいのものを2個だけで我慢です。
モンタルチーノの極上ワイン
「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」は、厳しい生産規定が設けられています。モンタルチーノ地区で生産・瓶詰されるだけでなく、1ヘクタール当たり最大収穫量8トン以下に抑えたブルネッロ種(サンジョベーゼ種の一種)を用いて、最低4年間の熟成を経て初めて出荷されます。味わいは豊潤で凝縮感があり舌触りは滑らか、ワインに詳しい方でなくとも上等なものだとわかります。
ツアーはモンタルチーノの市街地で1時間の自由行動、雨が降り出したこともあり参加者は皆、町の入口近くにある城塞跡に向かいました。中にはワインの試飲ができるショップがあり、塔に登って町を上から眺めることもできます(有料)。小さな町なので1時間あれば十分でしたが、寒さと雨で景色をゆっくり楽しめなかったのは残念でした。
壁にかけられた古い写真は、このワイナリーの昔のブドウの収穫風景です。皆、長袖のシャツを着て、女性のスカートは足首まであります。オーナーは「服装は変わったけれど、今も変わらず手で収穫する」と説明しました。
※記事の情報は2023年10月19日時点のものです。
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