「三井物産流通グループ フードショー2024」で見つけたイチ押しの酒

春から初夏にかけては酒問屋の展示会が多い時期です。「三井物産流通グループ フードショー2024」では、おつまみやビール、RTDを取材しました。特に新鮮だったのは、伝統的なベルギービールに新しい商品が登場していたことです。伝統は革新の連続とはよくいったものですね。

メインビジュアル:「三井物産流通グループ フードショー2024」で見つけたイチ押しの酒

これはおいしい! 生ハムのような鰹節

会場に入ってすぐに目に留まったのは「食べる削り節」です。熱心に試食をすすめられ、「生ハムのようだとよく言われます」とスタッフさん。たしかに適度にしっとりしていて、ほどよい塩気と歯ごたえがあり、ジュワジュワッと旨味が染み出てきます。後味で燻香が戻ってくる感じも生ハムに似ています。

「これは酒の肴になるね。簡単に出せるからバーで喜ばれるんじゃないかな」と感想を伝えると、「先ほどの方も同じことをおっしゃっていました」とスタッフさん。燻香があるのでピートをアクセントに使ったウイスキーに馴染むでしょう。強い旨味は日本酒や本格焼酎ともよく合うはずで、燗酒か麦焼酎のお湯割りで試してみたい一品です。
食べる削り節
ひと口サイズに削ってあるのですぐに食べられる。マヨネーズをつけてもおいしい
かつをぶし池田屋製の「食べる削り節」
かつをぶし池田屋の「食べる削り節」。この日に摘まんだおつまみの中でイチ押し

この秋、「シメイ ホワイト」ビールに缶が登場

三井物産流通グループは早くからベルギービールを日本に紹介してきました。同社が修道院ビールで最初に名前が挙がる「シメイビール」を手掛け始めたのは30年以上前のことです。

「シメイビール」は複数のボタニカルを使う秘伝のレシピで、シャンパンのように瓶に詰めてから中で炭酸発酵させる瓶内2次発酵で造られます。味わい深いオリジナルの「レッド」、クリスマス用に開発された「ブルー」はさらにリッチな味わい、そしてシメイ侯爵国建国500周年を記念して1986年に誕生した「ホワイト」の3つが長く定番でした。
シメイビール
「シメイビール」の定番は「レッド」「ブルー」「ホワイト」の3つ。近年は「ゴールド」「グリーン」が加わって5タイプが輸入されている

5つのシメイビールのなかで私が一番好きなのは「ホワイト」です。ビアスタイルは「トリぺル(Tripel:3倍)」というアルコール度数の高いエールです。オレンジがかった濃いブロンド色、ホップの香りが豊かでドライ、かつアルコール度数は8%でドシンと来ます。
シメイビールの「ホワイト」
グラスに注いで、酔いを感じながらゆっくりテラスで飲むのがお気に入り

驚いたのはこの「ホワイト」に缶ビールが登場したことです。容器に詰めてから二次発酵させるので缶製品は難しいと思っていましたが、10月になんと「シメイ ホワイト缶 330ml」が発売されるのことになりました。
アイボリーの缶の「シメイ ホワイト缶 330ml」
アイボリーの缶が印象的な「シメイ ホワイト缶 330ml」。軽くて割れないので紅葉狩りのお供によさそう

ランビック&エールビールの「リンデマンス・タロット」が登場

ベルギービールの新製品はもうひとつありました。ブリュッセル近郊で造られる自然発酵ビール(ランビック)は強い酸味が特徴で、多くはさくらんぼや桃などのフルーツを漬けたり、果汁を加えたりしてフルーツビールとして飲まれています。

リンデマンス社は世界中にフルーツビールを輸出し、ランビックのメーカーとして広く知られています。今回、同社から登場した「タロット」シリーズは、ランビックとエールビールをブレンドして、さらにフルーツを加えた新しいタイプのビールです。

2年前にリンデマンス社を訪ねた時に、創業200周年となる今年、隣のゴイック村に新しくエールビールの醸造所を稼働させると話していました。そこで造ったエールビールを使って、これから新しいスタイルのランビックビールが続々と登場してくるのでしょう。
「リンデマンス タロット・ノワール」
ランビックにエールビール、ベリー系果汁を加えた「リンデマンス タロット・ノワール」
「ゴーイック」
ランビックとエールビールをブレンドした(果汁は加えない)「ゴーイック」は著名なビアコンテストで高く評価された

「バラデン」は缶とコーラがおもしろい

イタリアのクラフトビールの「バラデン」にも缶製品が登場しています。同社はワインの国イタリアでクラフトビールを造り始めたパイオニアです。創業者のテオ・ムッソさんはバローロのすぐ近くで生まれ、ワインに囲まれて育ちます。けれども彼が惹かれたのは「シメイビール」でした。「シメイビール」にあこがれて彼が起ち上げた「バラデン」は、短期間のうちに人気ブランドとなり、トリノ、ボローニャ、ローマとイタリアの主要都市に直営パブを出店、その成功を追うようにイタリアにもクラフトブルワリーが次々に誕生していきました。

「バラデン」の特徴は斬新な商品開発とおしゃれなデザインです。缶製品はカラフルでポップです。しかも缶蓋はフルオープンです。同じフルオープン缶でも泡立ちを重視した「アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶」とは違い、「バラデン」はビールの香りを楽しむためのフルオープンです。
フレッシュな香りの「ポップ(POP)」、4種類のイタリア産ホップを使ったIPA「イッパ(L'IPPA)」、すべてイタリア産の原料で造った「スッド(SUD)」
フレッシュな香りの「ポップ(POP)」、4種類のイタリア産ホップを使ったIPA「イッパ(L'IPPA)」、すべてイタリア産の原料で造った「スッド(SUD)」
「ロックンロール(Rock’n Roll)」
スパイシーなアメリカンペールエールタイプの「ロックンロール(Rock’n Roll)」の缶もフルオープン

さらに「バラデン」で注目したいのはコーラです。ナチュラルな素材を使った微炭酸のエレガントな味わいは、ノンアルコールの日にビールやチューハイの代わりに飲むのにもおすすめ。甘さを抑えているので食事と一緒に楽しめます。
アフリカ産コーラ
アフリカ産コーラナッツのナチュラルな香りと優しい味わい

地ビールのパイオニア「エチゴビール」30周年

最後に国産の商品から注目の2つを紹介します。

ひとつは日本の地ビール第1号「エチゴビール」です。規制緩和でビールの最低製造数量が60キロリットルに引き下げられたのは1994年。各地にブルワリーが誕生し「地ビール」と呼ばれてブームとなります。その先陣を切ると同時に、各地に土地に根付いたブルワリーがもつビール文化の豊かさを説いたのがエチゴビールでした。

あれから30年。現在のクラフトビールにつながる原点のビールを、今、あらためて味わってみてはいかがでしょうか。
基幹商品「ピルスナー」(左)、「華やぎホップのうきうきエール」(右)
創業からの基幹商品「ピルスナー」(左)には指揮者が描かれ、バランスよく響きあう味わいをイメージ。右はハロウィーンで人気になった「華やぎホップのうきうきエール」

渋いロングセラー「宝焼酎のお茶割り」再発見!

もうひとつのおすすめは「宝焼酎のお茶割り」です。ピュアな味わいの甲類焼酎ベースで、お茶の味わいが生きています。酒が主張しすぎず飲んでいて疲れません。

アルコール度数が4%と低いのもうれしいところで、2缶飲んでも9%のストロングチューハイ1缶分よりアルコール摂取量は少ないのです。アルコール度数の低いチューハイは甘くないものはないと思っていましたが、期せずしてこの商品と出会い、長い付き合いになりそうだと思うこの頃です。
「宝焼酎お茶割り」
飲んでみたらうまかった。そしてアルコール度数が低かった「宝焼酎お茶割り」

※記事の情報は2024年8月8日時点の情報です。

  

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