ミードは世界最古のお酒?人気の理由やおすすめの飲み方を聞きました

はちみつから作られたお酒「ミード」がひそかなブームになっています。ミードとはどんなお酒なのか? 歴史やブームの背景、美味しい飲み方をご紹介します。

ライター:nonnon
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「ハリーポッター」やRPGゲームに謎のお酒として登場し注目されるようになったミード。はつみつが原料であることからヘルシーな印象もあり、人気が高まっています。その魅力や味わいについて、日本ミード協会理事のの市川佑さんにお聞きしました。

ミードは世界最古のお酒?

はちみつ
――ミードは歴史のあるお酒だとお聞きましたが、いつ頃からあるものなのでしょうか?

市川:はっきりしたことは分かっていませんが、1万年以上前から飲まれていたようで、世界中でミードが飲まれた記録やミーダリー(はちみつ酒の醸造所)が存在します。特にヨーロッパではドイツなどを中心に、「バイキングが愛飲した」「ハネムーンの語源になった」などの逸話も多く残されています。

とくに有名なのは「ハネムーン」の語源という説。中世のヨーロッパでは新婦がはちみつ酒を造って新郎に飲ませ、子づくりに励んでいた風習から、はちみつの一か月=蜜月(ハニームーン)ハネムーンの語源になったと言われています。

――ミードは世界各国で飲まれているお酒なのでしょうか?

市川:ヨーロッパを中心に人気がありますが、ぶどうが育ちにくい北欧などではワインよりもポピュラーです。

また、アメリカではクラフトビールブームの後にミードブームが起こり、ミーダリーも急増しています。2003年には30社ほどだったミーダリーは2016年には300を超え、現在では400~500が存在すると言われています。もちろんアメリカの酒造に関する規制の緩さもありますが、地元のはちみつを地元の醸造家がお酒にして消費する「地産地消」の傾向が高まっていることも大きな要因だと思われます。

ミードが広まったきっかけは「ハリーポッター」だった?

――海外では昔から飲まれていたようですが、日本で広まったきっかけは?

市川:日本に輸入ミードが入って来たのは15年くらい前だと思います。当時はドイツなどの輸入ミードをワインの輸入業者が輸入し、一部の酒販店だけで売られていたので、酒造メーカーの人やソムリエでも知らない人も多いマニアックなお酒でした。

日本でミードが広がりを見せはじめたのは2010年頃。ハリーポッターに「魔法のお酒」として登場したり、PRGゲームで回復アイテムとして「はちみつ酒」が使われたことがきっかけだと思います。映画やゲームで知った人が興味を持ち「はちみつ酒」を実際に飲んでみたい! とインターネットを通じて購入。ブログやツイッターなどで飲んだ感想を書き込んだことでその存在が知られ、じわじわと人気が広がったようです。

――お酒好きの間から広まったわけではないんですね。

市川:そうですね。いわゆる「オタク層」の人たちが面白がって飲み始めたのですが、ミードは甘さがあって飲みやすいので受け入れやすかったのかもしれません。その後、日本でもミードが作られるようになってお酒業界の人たちも注目するようになりました。

――ミードは二日酔いしにくいとも聞きますが?

市川:確かに、日頃から飲んでいるとそうした実感はあるようです。おそらく、はちみつに含まれている果糖がアルコ―ルの分解を促進してくれるからではないかと思います。また、はちみつはビタミンやミネラルなど栄養も豊富なので、体にいいお酒とも言われています。口当たりがよくすいすい飲めてしまいますが、アルコール度数は7~15%ほどあるので、飲みすぎには注意してくだい。

ミードのトレンドは古典派とモダン派

――ミードはどのように作られるのでしょうか

市川:ミードは、はちみつ、水、酵母菌だけで作られるとてもシンプルなお酒。もともとは、クマに荒らされた蜂の巣に溜まった雨水を、狩人が飲んだことから始まったとされています。発酵食品であるはちみつと水が混ざり、偶然にお酒ができたのではないでしょうか。

現在でも、はちみつと水、酵母菌で作るのが基本。はちみつは殺菌作用が高く発酵しにくいので、水で2~3倍に薄めて糖度をさげ、1~3ヶ月ほど醸造。ワインやブランデーの酵母を使用したり、醸造期間を長くしたりすることで味が変化していきます。

――醸造法によってどんな違いがあるのでしょうか?

市川:大きくは、ハーブなどを使った伝統的な醸造法で作られる「古典派」と、ワインやブランデーの酵母を使用したすっきり派の2つに分けられます。古典派は発酵の力を十分に引き出すために醸造期間が約3ヶ月と長く、出来上がったお酒も濃厚で甘みが強いのが特徴です。一方、モダン派はワイン酵母などを使うため約1ヶ月の熟成で仕上がり、あっさりとしてライトな飲み心地のものが多いですね。   

――日本産のミードも増えているそうですが?

市川:菊水酒造さんが2005年に作った「シークレット・オブ・クレオパトラ」が最初の日本産ミードだと思います。その後も、斎藤酒造の「ハニーワイン」、福島県・峰の雪酒造さんの「美禄の森」など、次々と日本産ミードが誕生しました。

2019年現在では国内22都道府県29メーカーの実績があります。日本ミー ド協会でも全国から問い合わせをいただいていて、47都道府県でミードが作られる日も近いのではないかと思います。日本酒酵母を使う日本産ミードはすっきりした口当たりのものが多く、初心者の方にもおすすめできます。

ミードのおすすめの飲み方

乾杯イメージ
ロックやソーダ、フローズンなど飲み方もいろいろ
――ミードはどんな飲み方がおすすめですか?

市川:ご家庭で飲む場合にはロックやストレート、ソーダ割りなどが手軽でいいと思います。これからの季節には瓶ごと凍らせて、フローズンスタイルで飲むのもおすすめです。カクテルにしても美味しく飲めますが、まずはミード本来の味を楽しんでみてください。特に古典派タイプのしっかりとしたものははちみつの香りを楽しむためにも、ぜひ、そのままで味わってください。
 

ミードの美味しい飲み方

美禄の森
市川さんもおすすめの日本産ミード「美禄の森」で試してみました
・ストレート
ストレート
やや黄色味がかった白ワインのような色合い
まずは、本来の味を確かめるためにストレートで。確かにはちみつの甘い香りはしますが、想像していたよりもすっきりとしていて甘さのある白ワインのような感じ。食後酒にもよさそうです。

・ロック
ロック
一番のおススメというロック
ロックで飲むとはちみつの甘さと香りを感じつつも、冷たさと氷の水分でよりすっきりと飲めます。

・ソーダ割り
ソーダ割
レモンのスライスで、はちみつレモン風
ソーダで割ると甘さが抑えられて、さらにさわやかに。これからの季節にはぴったり。さっぱり飲めるので食事にも合いそうです。
ベリー系のフルーツとりんごのスライスを浮かべてみました
ベリー系のフルーツとりんごのスライスを浮かべてみました
ソーダ割りにフルーツを浮かべてよりフルーティーに。はちみつがベースになっているためか、フルーツとの相性がとてもよく、フルーツの香りが溶け込んで上品な味わいになっています。   

・ジンジャーエール割り
ジンジャーエール割
甘さ控えめのジンジャーエールを使いました
ストレート、ロック、ソーダ割りもの基本を試したので、簡単なカクテルにも挑戦してみました。しょうがとはちみつも相性がいいに違いない! とジンジャーエールで割ってみました。すっきり感とピリッとしたしょうがの風味がはちみつの甘さとよく合います。ライムを入れたらモスコミュール風にも楽しめそうです。

・フローズン
シャリシャリ感が楽しめるフローズン
シャリシャリ感が楽しめるフローズン
冷凍庫に瓶ごと入れて凍らせてフローズンに。糖分が多いのでカチカチにならず、冷凍庫から出してしばらくすると溶けてシャリシャリとした飲み頃に。ほどよい甘さがありフローズンカクテルを飲んでいるような感じです。ミントなどを入れてもよさそうです。

甘いお酒というイメージがあったミードですが、飲んでみると甘さは控えめで、醸造されたお酒ならではの深い味わいがありました。飲み方によって味わいの変化が大きいので、ぜひ、いろいろな飲み方でミードを楽しんでみたいと思います。

ミード協会おすすめ銘柄7選

ミード協会の市川さんにおすすめの銘柄を教えていただきました。

①はちみつのお酒 蜜月
金市商店が城陽酒造と共同で作った国産ミード。はちみつらしい甘みが感じられます。

②はちみつのお酒 桜花
金市商店が城陽酒造と共同で作った国産ミード。国産のさくら蜂蜜のみを使用したさわやかな香りが魅力。

③ポーランドミード ヤドヴィガ
極甘口ですが、しっかりと熟成された味わいはワイン通のソムリエにも高評価。ロック、またはバニラアイスにかけても。

④インターミエルミード ロゼ
バラの花びらを漬け込み、クランベリー果汁を加え発酵させたピンク色のミード。軽い飲み口で初めての方にも人気。

⑤峰の雪酒造 美禄の森
国産ミードの第一人者、峰の雪酒造のミード。日本酒酵母で作られたドライな飲み口が特徴。料理との相性がよく、食中酒としてもおすすめです。

⑥天鷹酒造 はちみつのお酒
国産ミードで初めてメイザーカップ(はちみつ酒の世界大会)で入賞したミード。はちみつの甘みと爽やかな香りが特徴。

⑦リトアニアミード スタクリシュケス
リトアニアの国家遺産でもあるミード。濃厚な蜂蜜の甘みと、アルコール感で飲みごたえ抜群。
 
※記事の情報は2020年4月25日時点のものです。
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