マッコリを家で楽しむ! 専門店で聞いた美味しい飲み方&おすすめ銘柄
白く濁った韓国のお酒「マッコリ」。日本でも韓国料理店や焼肉店のメニューでよく見かけますが、そもそもマッコリとはどんなお酒? アルコール度数は? 家飲みで楽しむには? 韓流びいきの方もそうでない方も、読めばマッコリを飲みたくなること請け合いです!
マッコリブーム再来か?
かの韓国ドラマ「冬のソナタ」に端を発した韓流ブームの波に乗って、日本でのマッコリ輸入量も2006年頃から伸びはじめ、2009年には対前年比30%以上も増加したそう。
ここ数年はそのマッコリ人気も落ち着いた感がありますが、動画配信サービス「Netflix」などの登場で最近再び韓国ドラマ人気が高まっています。ということは、マッコリもブーム再来の可能性大!
そんなわけで改めてマッコリというお酒に向き合うべく、東京・四谷にあるマッコリ専門店「マッコリバー」の店主、Maさんにお話を伺いました。
マッコリとはどんなお酒? アルコール度数は?
米などの穀物に麹を加え発酵させて造るお酒で、白く濁っているのが特徴です。アルコール度数は5~8%くらいかな。
別名『農酒』とも呼ばれているんですが、昔はどこの農家でもマッコリを造っていて、食糧が乏しい時代は栄養補給源としても親しまれていました。
良いマッコリは、甘味・酸味・苦味・渋味のバランスが取れていて後味が良く、涼味があります。汗を流して働いた農夫らの渇きや疲れを癒すお酒として愛されてきたんです」
ここで日本酒好きの方はピンときたかもしれませんが、どうやらマッコリは日本の「どぶろく」に、造り方も辿ってきた歴史もかなり近いものがあるようです。
マッコリの原料や製法は?
Ma「私が店で仕込むマッコリには日本のもち米を使います。日本のお米を使うと甘いマッコリができるから。タイ産やベトナム産など、使う米によって味が変わります。
また韓国では、昔は米がとても貴重なものでした。その流れで、麦やトウモロコシを使ってマッコリを造ることもあります」
マッコリ造りの工程は、とてもシンプルです。
①米などの穀物を蒸して、冷ます。
日本のもち米を蒸して冷ましたもの
②容器に蒸した米を入れ、麹(韓国では「ヌルク」と呼ぶ)を入れて混ぜる。
麦麹を細かく砕いたもの
日本のどぶろくが米麹のみを使うのに対し、マッコリは米麹でも麦麹でも特に決まりはないそう。Maさん曰く、米麹を使うとマッコリが上品な味に仕上がり、麦麹だと大衆的な味になるとのこと。
③水を入れて混ぜ、24~26℃くらいの環境で2~5日程度置く。
米が溶けて形がほとんどなくなった状態(濾す前)
Ma「日本のどぶろくは濾さずにそのまま飲むけれど、マッコリは『粗雑に(マッ)+濾す(コルダ)』を語源とするとおり、粗く濾して飲みます。
ちなみに韓国では、濾さずに米粒が残った状態のお酒を『トンドン酒』と呼びます」
このように製法はいたって簡単なので、韓国の家庭で当たり前のように造られているというのもうなずけます。ただし、日本では免許をもたない個人がお酒を造るのは酒税法で禁止されていますので、イメージするだけにとどめておいてください。
マッコリと生マッコリの違いは?
Ma「韓国では生マッコリのほうが人気です。ヨーグルトのように乳酸菌がたっぷりだから腸内環境を整えてくれる。若い女性の中には健康や美容目的で飲む人もいます」
ただし、放っておくと発酵がさらに進み、酸味や炭酸感が強くなってしまいます。なので、生マッコリは長期保存ができません。賞味期限は冷蔵庫に入れても2~3週間程度です。
それに対して、日本のスーパーやコンビニでもよく見かける「マッコリ」は生マッコリを加熱殺菌処理して長期保存を可能にしたもの。生マッコリよりもコクがあり、味も一定で扱いやすいのが特徴です。
本場・韓国式マッコリの飲み方は?
マッコリはアルコール度数が低く、お店で飲んでも安いので、ずーっと飲んでいられます。マッコリが入った甕(かめ)ややかんから、サバルと呼ばれるお椀に注いで飲むのが韓国式です」
マッコリを追加するたびにおつまみの種類も入れ替わり、マッコリを心ゆくまで楽しむための独自システムが確立しているんだとか。
若者や女性に人気のマッコリカクテル
Ma「特にざくろやアセロラなどビタミンたっぷりのフルーツを加えたマッコリカクテルが人気ですね。
旬の果物をミキサーにかけて加えても美味しいけれど、家で簡単に作れるジュース割りもおすすめ。甘いのが好きじゃない人は、マッコリを炭酸で割るだけでもさっぱり飲めていいですよ」
作り方は簡単で、氷を入れたグラスにマッコリ1、ジュース1を加えて混ぜればOK。
●りんごマッコリ
●アセロラマッコリ
●マッコリ梅ソーダ
マッコリに合うおつまみは?
特にマッコリと一緒によく食べられるのがチヂミ。
韓国人は雨の日にマッコリを飲みたくなると言いましたが、チヂミもそう。チヂミを油で焼くときにチリチリという音がするでしょう? あれが雨音に似てるから、雨が降り出すと韓国人は『ああ、チヂミ食べながらマッコリ飲みたいな~』となるんです(笑)。
あと、マッコリにはキムチやお肉も良く合いますよ」
ということで、Maさんにマッコリと相性抜群!という本場韓国のおつまみレシピを3品教えていただきました。
●パジョン(ねぎチヂミ)
材料
- 小麦粉 1カップ
- 卵 1個
- 塩 大さじ1/3
- 水 4/5カップ
- 油 大さじ3
- ▼具材
- ・青ねぎ 1束
- ・人参 1/3個
- ・玉ねぎ 1/3個
- ・キムチ 20g
- ▼たれ
- ・しょうゆ 大さじ2
- ・酢 大さじ1
作り方
- ボウルに小麦粉、塩、卵、水を入れてしっかり混ぜ、生地を作る。
- 青ねぎは5㎝の長さに切り、人参は細切り、玉ねぎは薄切にし、刻んだキムチとともに生地に混ぜる。
- フライパンに油を中火で熱し、②を丸く平らに流し入れて、両面をこんがり焼く。
- チヂミを好みの大きさにカットし、しょうゆと酢を混ぜたソースに付けていただく。
●ドゥブキムチ(豆腐キムチ)
材料
- 木綿豆腐 1丁
- 豚肉(バラ肉やこまぎれ) 100g
- キムチ(熟成が進んだもの) 100g
- しょうゆ 大さじ1
- 砂糖 大さじ2
- ごま油 大さじ1/2
- 青ねぎ(小口切り) 少々
- ごま 少々
作り方
- 豆腐はキッチンタオルに包んで3分間レンジにかけ、水切りをしておく。
- 豆腐を食べやすい大きさに切る(12等分くらい)。豚肉、キムチも3cmほどに切っておく。
- 熱したフライパン(油を引かない)で豚肉を炒め、肉の色が変わったらキムチ、しょうゆ、砂糖加えてよく炒める。
- 最後にごま油を加えて、全体を和える。
- お皿に豆腐を並べて青ねぎを飾り、ごまをふった豚キムチをのせて完成。
●プルコギ
材料
- 牛肉(薄切り) 200g
- 玉ねぎ 1/2個
- キクラゲ(水で戻す) 4枚
- にんじん 1/3本
- ピーマン 1個
- 長ねぎ 1本
- 春雨(水で戻す) 100g
- ▼たれ
- ・しょうゆ 大さじ2
- ・砂糖 大さじ2
- ・塩 大さじ1/3
- ・こしょう 大さじ1/3
- ・ごま油 大さじ1
作り方
- 牛肉、玉ねぎ、キクラゲ、にんじん、ピーマン、長ねぎ、春雨を食べやすい大きさに切る。
- ボウルにたれの材料を混ぜ合わせ、①の具材を入れて30分程度漬け込む。
- 油をひかずにフライパンを温め、②を漬けだれごと入れて肉の色が変わり、野菜に火が通るまで炒める。
マッコリのおすすめ銘柄は?
Ma「生マッコリは、賞味期限は短いけれど、加熱処理したマッコリと比べて乳酸菌がたっぷりだしフレッシュ感が全然違います。日本で入手できる銘柄は限られていますが、ぜひ飲んでみてください」
●釜山 センタク 生マッコリ
DATA
販売価格 : 645円 (税込・送料別 ※楽天価格)
内容量 : 750ml
アルコール分 : 6%
賞味期限:製造日から40日
楽天
釜山で人気No.1の生マッコリ。釜山で瓶詰めされ、急速冷凍による徹底した温度管理で日本に輸入されている。フレッシュ&フルーティな味わいが特徴。
●ボクスンドガ (福順都家) ソンマッコリ
DATA
販売価格 : 1800円 (税別)
内容量 : 935ml
アルコール分 : 6.5%
賞味期限:生産日から20日
公式サイト
韓国の蔚山市で伝統的な醸造方法を守り造られている生マッコリ。原料の米も合鴨農法で生産されたものを使用するなど、造り手のこだわりが詰まった1本。
****
乳酸菌や酵母が醸すマッコリは、まさに飲む発酵食品。心地よく酔えてうれしい栄養がたっぷりのこのお酒を、健やかな家飲みのための美味しい相棒としてぜひ取り入れてみてください。
販売価格 : 1800円 (税別)
内容量 : 935ml
アルコール分 : 6.5%
賞味期限:生産日から20日
公式サイト
韓国の蔚山市で伝統的な醸造方法を守り造られている生マッコリ。原料の米も合鴨農法で生産されたものを使用するなど、造り手のこだわりが詰まった1本。
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乳酸菌や酵母が醸すマッコリは、まさに飲む発酵食品。心地よく酔えてうれしい栄養がたっぷりのこのお酒を、健やかな家飲みのための美味しい相棒としてぜひ取り入れてみてください。
この方にお聞きしました
Maさん
東京・四谷にある「マッコリバー」の店主。韓国出身。店では店主お手製の生マッコリを提供し、メニューに載るマッコリドリンクは50種類以上。不定期で韓国家庭料理教室も開催している。
生マッコリ専門「マッコリ バー(MACCORI BAR)」
東京都新宿区舟町4-4サエンロウビル
TEL:03-6457-7097
営業時間:18:00~26:00(L.O 25:00) 日曜日定休
公式HP
<参考文献>
『マッコリの正体―その歴史と文化』ホ・シミョン(亜紀書房)
※記事の情報は2020年7月15日時点のものです。
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